第65話 これが本当の消毒だ!
現在、オークゾンビに襲われている『女神の家』+勇者+武器神+行者です。ここで、現在のメンバーの状態を確認する。
チヒロ:乗り物酔いによりダウン!
ツカネ&アカネ:チヒロの介抱により、参加不可!
シラユキ:爆睡中!
結論。僕以外の『女神の家』が戦闘不可!まだ旅の途中なのにいきなり苦しい状況じゃねえか。
「アウラは火属性魔法の方は」
「大丈夫。しっかり使えるよ。」
良し。ならば僕達二人で!
「お待ちになって!」
すると、
「私も戦いますわ。大丈夫です。焼却処分なら最も得意な分野ですので。」
魔物退治については大丈夫であることは間違いないんだ。けどね、昨日の戦いを見たせいで別の意味で大丈夫じゃないんだ。だって、手加減して
「ソールは待機!これは元々、『女神の家』の依頼で」
「おいでなさい!神銃『ファイアフェニックス』。
僕の話など何処吹く風で、ソールは魔法陣から赤色の火炎放射器を召喚!
ヴァァァァ!!!
そのままオークゾンビ100体に無慈悲な
世紀末だ。目の前に世紀末が展開されている。ユー・アー・ショック!愛は取り戻せても、自然は取り戻せない。あーあ、討伐部位もドロドロに溶けてこれではお金に換えられないじゃないか...。彼女には一度、もったいない精神の書かれた本でも読ませないと!
「ソールくん。いくら何でもこれはやり過ぎだと思うよ。消毒の部分はぼくとしても賛成だけど、討伐部位だけは残して欲しかったよ。路銀にもなるし。」
アウラすらドン引きしている。それと、消毒の部分も否定して欲しかった。某新撰組三番隊組長のように。
「あら、そうですの。冒険者というのは物好きですわねぇ。」
そんなソールさんに僕は次の言葉を伝えたい。
物好きだっていいじゃないか 冒険者だもの by イチロウ
「<ウォータークリエイト>。」
僕は水属性魔法による水で火を消し、馬車は予定していたルートへと進行した。
◇◇◇
(???視点)
「ば、馬鹿な!?100体、100体だぞ!?それを一瞬で!?う、嘘だ。そんなことあるわけ無いんだ。ええい、こうなったら寝込みだ!奴らが馬車を止め、全員が眠りについたところを狙うしかない!」
◇◇◇
僕達は現在、快適な旅を過ごしている。窓を開ければ、冷たい風、ぼかぼかと温かい太陽。頭の上にはぐっすりと眠っているモフモフの小竜状態のシラユキ(何故かアウラが触ろうとすると、尻尾で全力薙ぎ払いをする)。目の前には巨大な山脈があって迫力満点な風景が広がっていた。
手には、<創造魔法>で創った幕の内弁当とお茶。ラードさんに感謝の気持ちとして渡したら、
「おお、
と言われ、握手までされた。いやいや、これは当然です。
「イチロウさん、助かります。これなら後2日は耐えられそうです。」
チヒロさんは馬車に横になっている。
「それにしてもこの衝撃吸収マットというやつ。これは革命だよ、姫。」
「だよねー。これ敷いたら全然違うもんねー。」
「後、お弁当美味いです。」
アウラ、ツカネ・アカネ姉妹も大好評。これぞ、僕が<創造魔法>で創った衝撃吸収マット(黒色)。これを発明した人に敬礼!
「そんな黒い物より圧倒的にあなた様の膝の上が快適ですのに。」
ソールはオークゾンビ後も僕の膝の上に座ろうとしたが、ツカネ・アカネ姉妹がそれを妨害。現在はローテーションで僕の膝の上に座っている。ちなみに今は、アカネが座っている。
「あ、すみません。ご飯をポロッと落としてしまいました。」
アホゥ...。
そんな一コマが続きつつ馬車は揺れ、気づけば夜になっていた。
◇◇◇
(アウラ、ラード視点)
「それでは、本日はここで泊まります。勇者様、明日は朝9時頃に再出発でよろしいですか?」
「ああ、それで構わないよ。料理もこちらで用意出来るし、イチロウくんがラード殿に素敵なアイテムを提供してくれるらしいから。」
「...本当に何者でしょうか?あの少年は?麗しきお嬢さん方にも慕われ、勇者様であるあなたですら信頼を寄せるなんて...。」
ラードはイチロウに尊敬に近い感情と疑問を抱いていた。
「でも、意外と弱い部分もある。ぼくはそれを一目見た時に感じたし、守ってあげたいと思った。もうその時には」
「恋というものをしてしまわれたんですね。」
ラードは妻子持ちの年長者特有の観察眼で、アウラの恋心を抱く。その顔は娘を見ているようなものだった。
「勇者様。あなたは強いがまだ若い。後悔のないように生きて下さい。」
「肝に銘じるよ。」
アウラとラードの人組はそう会話を閉じて、神達の元へと向かった。
◇◇◇
さて、僕です。例によって、チヒロさんが料理を作っています。いや、本当にチヒロさんと僕の2人がいると何処でも食う物には困らないと思う。
今夜の献立は森の中にいたオークの肉の照り焼きと白飯のセットで、全員がガツガツと食していたが、
「お兄ちゃん。森の中に魔物が多くいます。」
アカネにより僕達は夜戦へと突入していくこととなった。
ーーー
次回、布団の中からやって来る...???の恐怖...
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