3章 聖国で全力全開!

1部 聖国への移動と聖女との出会い

第63話 指名依頼を受けました

4章開始!しっかりとハラハラドキドキものに出来...れば良いなぁ...。


???「それと必ず野外でも...グフフフ」


ーーー


冒険っ冒険っランランラーン♪イチロウです。


異世界生活9日目。僕達はいつも通りの朝を迎えた。さすがにもう、厄介なお客様は来ないよね(フラグ)。


ピンポーンッ♪


ハァァァ。取りあえず、今度は僕が対応するか。玄関の扉に行き、お客様を迎える。


そこには、未来の義父様となるプロスペリア王国のギルアが立っていた。ウホッ、いい国王。


ゴゴゴゴゴ


「んふ♡」


彼は僕を見つけると、満面の笑顔を浮かべた。い、い


「嫌ァァァァ!」


私に厄介なお客様が舞い降りてきた。あなたのすぐそばにいるよ♪気ままな厄介事義父親


◇◇◇


応接間、僕達はギルアにお茶を振る舞っていた。<創造魔法:午前の紅茶 ロイヤルミルクティー>で出した紅茶だけど。


「うむ、美味い。戦士たる者の鉄則、食事の質の向上は欠かさぬべし。よく分かっているじゃないか。」


「それで、本日はどの要件で?」


ギルアは次第に頭を抱えていく。


「お前達、あの貴族連中のことを覚えているか?」


彼の言う貴族連中とは、『レベル増強剤』を取り引きしていた貴族のことだろう。


「奴らが所持していた『レベル増強剤』。そのルート先が判明した。」


緊張が走る。僕と女神達は普通に聞いているが、王女様ズは真剣な顔をして耳を傾けている。


「お父様。その場所とは」


ギルアは時間を掛けて、その重たい口を開いた。


「聖国『レリッジ』。アウラ。お前の友人のいる国だ。」


「馬鹿を言わないでくれ。あの国がそんな代物を持つわけが」


激高するアウラだが、ギルアの真剣な表情を見ると途中で言葉を途切れさせる。


「それを確かめるために『女神の家』。お前達に俺から指名依頼を出す。」


僕達は渡された依頼書に目を通した。


指名依頼:聖国『レリッジ』の実態の調査


依頼ランク:S級


依頼者:ギルア・デ・プロスペリア


内容:『レリッジ』に行き、『レベル増強剤』の取引場所を調べよ。場所が特定できた場合、そこを取り潰し、『レベル増強剤』を根絶せよ。


報酬金:王金貨100枚


形は想像していたものとは異なるが、僕達『女神の家』パーティー結成以降、初の指名依頼が来た。アウラの方を見ると、『受けてくれ。受けてくれ。』オーラがビリビリと伝わってくる。それ以前に、僕は依頼を受けて達成するという冒険をやりたいのだ。断る理由は...ない。


「その話は終わりにして...」


ギルアは長刀を取り出した。


「ここにいる誰かで良い。少し俺の相手をしてくれないか?体を動かしたい。」


やっぱりか。玄関で会った時から、背中に長刀を背負っていたからまさかとは思っていたけど。


「ふん。こやつ如き、婿殿が出る幕ではない。妾が引き受けようじゃないか。」


開口一番にシラユキが名乗りを上げた。


「おお。アウラを撃退したお前が相手をしてくれるか。ガハハハ。良かろう。存分にやり合おう。」


シラユキとギルアは庭の方へと向かうが、


「だ、駄目だよシラユキくん。君のその白い羽が赤色に染まるのは」


アウラが尻尾の方にルパンダイブしていく。


「妾の尻尾に触れるでない。」


バキッ!


シラユキの尻尾がアウラの頬にクリーンヒットする。しかも鳴ってはいけない音が鳴っているし。僕は心配になって、彼女に声を掛ける。


「ああ、姫。大丈夫だよ。しばらくすれば<HP自動回復>で動けるようになるから。それに」


顔の頬が次第に赤く染まり、


「一瞬だけど、シラユキくんの尻尾のモフモフ感を感じられるからむしろご褒美。そう、僕達の業界ではご褒美だから。」


ハァハァと息を荒くするアウラ。シラユキよ。お前はこの先、残念な変態淑女を相手にすることになりそうだぞ。


「あ、勿論。姫も同じだよ。さあ、ぼくの胸に飛び込んで」


大丈夫そうなので先に行きますね。


「あ、待ってよ。君達は聖国の場所が分かるのかい?ぼくがいなければ、誰が案内するんだい?だから姫、置いてかないで!ぼくの責務を全うさせてよ!」


アウラ、君のことは...忘れない。


「そ・う・は・い・か・な・い・よ。姫を守るのは勇者の務め。おめおめと置いていかれてはたまらないさ!」


着物の端を掴んで、僕の足を止めにかかる。HA☆NA☆SE。僕はこれから、準備をしないといけないんだ。スイカの留守番用の日本酒、スイカとソールの2人分の食事、何故か消費の激しいMP回復ポーション等を<創造魔法>で創っていかなきゃならないんだ。


「いっくん。そろそろこっちは準備できたよー。」


「お兄ちゃんも早く早くー。」


ツカネ・アカネ姉妹も呼んでいる。それにもう分かっているからな。


「アウラ。実はもう動けるだろ。」


「テへッ。バレちゃったか。もう少し二人きりの時間を楽しみたかったんだけど、贅沢は言えないね。」


スッと着物の端から手を離し、立ち上がる。だが、


スルッ


と体が宙に浮いた感覚がするといつの間にか彼女の腕に抱き留められて、お姫様抱っこの体勢になっていた。


「やっぱり君は不意打ちに弱いね。」


チュッ


そしていとも容易く行われるえげつない好意キス。こういう所で、僕は勇者に負けてしまうのであった。


ーーー


次回、あの女神に危機が迫る!?

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