第??話 ILLRO活動記録 ~整地という名の聖地作り~

前半に、演説があります。皆さん、あの声優さんで脳内再生して下さい。


ブルァ!


ーーー


これは、イチロウ達がプロスペリア王家と特別試合を繰り広げている間の記録である。


ペア岬の間のブレッシングリバー沿い。そこに、総勢155名もの女性達が一斉に集まっていた。彼女達全員が来ているシャツには、


『All of me for the sake of ICHIRO』(私の全てはイチロウ様のために)


という文字が刻まれている。


「『イチロウ大好きラブ米機構』議長ファースト米より、御言葉。」


司会進行を務めるセカンド米が、議長に演説を振る。


「米星!」


「「「「「「米星!」」」」」」


親指・人差し指・中指を立てた右手を目元に活きよい良く俊敏にかざした独特な挨拶は一瞬の遅れもなく、統率されている。そして、イチロウを『教祖様』と奉るILLROの演説が開始された。


「世界は平等ではない。生まれつき魔力が優れている者、美しい者、国が貧しい者、病弱な身体を持つ者。生まれも育ちも才能も、世界においてはみな違っているのだ。」


その言葉に刻々と頷くILLROの信者メンバー達。


「そう、世界には格差が存在する!だからこそ国は争い、競い合い、そこに飢餓が生まれるのだ。不平等は!善ではない、平等こそが善なのだ。実力主義の帝国はどうだ。人気取りの衆愚政治に堕しておる。信仰を第一にした聖国は、あぐらをかくばかり。」


さらにファースト米唯一皇帝陛下は言葉を繋げる。


「だが、我々ILLROはそうではない。イチロウ様という教祖に尽くすことで、常に進化を続けている。」


「『進化』。いい言葉です。」


サード米がうっとりした顔で、ファースト米に賛辞を送る。


「我々ILLROだけが前へ、未来へと進んでいるのだ。我が教祖イチロウ様の華やかな功績も、ILLROが進化を続けているという証。尽くすのだ!敬い、信仰し、身を捧げ、奉仕する。その果てに未来がある!!」


ファースト米は拳を天へと捧げ、次の言葉で演説を締める。


「オール・ハイル・イチロウ!!!!」


「「「「「「オール・ハイル・イチロウ!」」」」」」


ILLROの信者メンバー全員がファースト米の後に続く。端から見たら、完全にヤベー集団である。


「あいつのため、か...。」


そこに、唯一の良心者である、ラゼバ...失礼、Ms.ラゼローズがハァァと溜息をつく。


それから、彼女達は宗教活動せいちづくりを開始した。


まず、風属性魔法と土属性魔法と水属性魔法を合わせることにより、凸凹した土地を平らにし、『やまファーム 米の種から白き宝石まで』という聖書に従って、田畑を形成していく。その規模、東京ドーム3つ分。イチロウやツカネにより創りおきされたMP回復ポーションを使ってMPを回復しつつ進めていく。


その間に、昼となったため、料理し...失礼、ファースト米が予め作った焼きおにぎり(醤油、味噌味)300個分を供給される。そして、それを受け取った信者はそれぞれで祈りを捧げ、食していった。『イチロウ様がお召しになられた神聖な物』として。


土は、メル...失礼、セカンド米の<ワープホール>によりブレッシングリバーの底に積もった砂を運搬。瞬く間に、米栽培に適した田畑へと変化していった。


そしてそこに、別動隊が討伐した魔物の死骸を土に混ぜてより魔力のこもった土壌を形成させていく。


「ファースト米。フォース米より朗報です。イチロウ様がギルアに勝利したとの連絡を承りました。」


「セカンド米。これで、我がILLROはまた進化した。信者よ。我が教祖様がプロスペリア王国王家を討ち果たしたぞ。」


このファースト米の御言葉により、ILLROの信者のボルテージは最高潮となる。


「「「「「きゃあああ、教祖様万歳!万歳!」」」」」


中には鼻血を出して、気絶する者もいた。


「ファースト米。我々はここで、謁見の方へと席を外します。といっても、後はMs.ラゼローズら水属性組が田畑にブレッシングリバーの水を引き、風属性組が撹拌を行えば終わりますがね。」


「フへヘヘヘ。結婚、結婚。イチロウ様と結婚。」


未来に思いを馳せるサード米を連れて、セカンド米は<ワープホール>で王城へと帰っていった。


「Ms.ラゼローズ。イチロウ様は『プリペア』の町では本当に収まらなかった器だったみたいですよ。」


「フフ。あたしがファーストキスを捧げた相手なんだ。これくらいはやっってもらわないとな。さて、<ウォーターオペレーター>。」


水属性魔法で、川から水が引かれていき、それは次第に、聖書にあったあの絵の形に近づいていった。


「素晴らしい。最高の風景とは思わんかね?Ms.ラゼローズ。」


「今はまだ水引き中だ。あの聖書によれば、寸分の狂いも許されないのだろう。」


某天空に浮かぶ城の王(仮)みたいな発言を尻目に、Ms.ラゼローズと信者達は最後の仕上げとして、風属性魔法で水を張った田面を攪拌していった。


これにより、後に『エプタ』の国のシンボルとなる田というものが、この地に降誕することとなった。


何処かの国の聖女様がこの土地を聖地と讃えることとなるとも知らずに。


以上で、この記録を終えるものとする。


ーーー


次回、ヤベー女神追加されます。全能神の次にヤベー奴です。

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