第55話 特別試合 ”終焉を司りし者”イチロウVS”英雄王”ギルア

強く~なれる~理由を知った~♪ことはないイチロウです。いや、知っているけれど(主にヴィシュヌとかヴィシュヌとか)。


(エヘヘ。そんなに私の名前を呼んでくれて嬉しいです。なので、お礼として今夜の絞り取りを2年分に増量しますね♡)


そんな感謝の仕方は知らない!褒めても2年分、罰でも2年分とかどうすれば良いんだよー(刺激させないのが一番)!僕の性殺与奪の権はヴィシュヌに握られています。


リングが全壊し、煙が上がる。そこからピュンと飛び上がったのは、アウラを抱っこしたシラユキだった。これより、勝利した者がどちらであるかは明確となった。


「第3試合勝者、シラユキ。」


審判は声を高らかに、シラユキの勝利を宣言、会場中は動揺を隠せていなかった。


◇◇◇


「ほーう。まさか俺の娘がああもコテンパンにやられるとはな。『女神の家』、ますます欲しくなるぜ。」


「そう言うけどなぁ、ギルア。俺達がこんなザマを晒すと、あいつらが思い上がりを起こすぞ。」


「それで良いのだ。俺は強ぇ奴と戦えるし、国の腐も払拭出来る。万々歳ではないか。」


「全く、ギルアは昔と変わらねぇなぁ。」


ギルアとハッシュは古なじみとして会話し、


「それじゃ、楽しんでくるぜ。宴の始まりだ。」


「ああ。思いっきり、楽しんでいけよ。」


ギルアはリングに上がっているイチロウを捉えて、リングのない闘技場の中心へと歩を進めた。


◇◇◇


さて、僕はこちらに向かっている国王様を密かに鑑定していた。


ギルア・デ・プロスペリア 50歳 男

レベル:85

種族:金剛鬼族

二つ名:英雄王、プロスペリア王国国王

[能力値]

HP:8,500/8,500

MP:8,500/8,500

攻撃力:8,500

防御力:8,500

[スキル]

<HP自動回復>、<金剛力>、<特級剣術>、<英雄覇気>、<覇王化>

[固有スキル]

<魔神の加護>、<英雄>、<プロスペリアの血統>

[好感度]

65/100


これは、強い。何が強いかというと魔法なしでここまで上がりこれたその身体能力パワー。『歴戦の戦士』を指すならば、まさにこの人といった感じのステータスだ。これはアウラの時以上の戦いになりそうで...ゾクゾクする。


「いい目だ。始めはただの冒険者かと思っていたが、今は違う。その目は...無意識で戦いを楽しもうとする戦闘狂せんしのものだ。」


そうかな?僕はそんなことを感じたことはないけどな。


「へぇー。あの国王、いっくんの本質を見抜いているねー。」


「さすが。勝手な振る舞いをしても国王なだけはありますね。」


「まぁ、婿殿には遠く及ばないがのう。」


外野から何かが聞こえてくるが、無視だ無視。今は目の前のことに集中しないと。


「それでは、皆さん。長らくお待たせしました。本日の最後にして大本命の最終試合が始まります。選手は我が国の国王様で、稀代の”英雄王”と言わしめる豪傑のギルア・デ・プロスペリア。」


男性観客から『国王陛下、万歳!』という応援と、『怨敵”イチロウ”に死を』という怨嗟の言葉が溢れる。あ、女神様達がブチ切れている。


「対するは、勇者様と同ランクのSS級冒険者で、”終焉を司りし者”と呼ばれている、かっこよくて素敵でクールで可愛くて胸がキュンとするフェイスを持つ、私達の天使ことイチロウ様です。」


おーい。司会者のミミルさーん。国王様を差し置いて、一個人を過剰紹介するのは止めて下さい。


今度は女性観客から歓声が上がっていくが、そのシャツには何故か


『All of me for the sake of ICHIRO』(私の全てはイチロウ様のために)


と書かれていた。いつの間にあんなシャツが作られていたんだ?


※ILLRO監修のシャツで、一着銀貨5枚となっていまーす。by セカンド米


そして、男性観客からは更に嫉妬を受けました。


「イチロウよ。外野なんぞただのおまけだ。ただ目の前に集中すればいい。」


「そうですね。国王様の言う通り、集中させて貰いますよ。」


互いに剣を構える僕と国王。”終焉”と”英雄”の対決が幕を開く。


「それでは、最終試合開始!」


戦いの幕が上がった。


「まずは準備運動だ。お互いに目を覚ましてまだ数時間だ。体を温めておこうぜ。」


ギルアはそう言って、接近した。こちらも神剣を構えて応対。剣と剣がぶつかり合った。


(重い!)


それが最初の僕の感想だった。恐らく<金剛力>による効果だろうか。ならば僕もと、<剛力>を発動させると自分の異変に気づく。


前のプラチナ・キングドラゴン戦の時とは、力の上がりくらいが違うぞ!?


これにより、<金剛力>という<剛力>の上位にも対抗して、剣を受け止めることが出来た。


「ガッハハハ。さすがに受け止めたか。いいぞ!いいぞ!これだけで、半数が剣を受け止められずにやられて逝ってしまうんだ。」


心の底から笑う国王様、いやギルア。僕の方はそれよりも自分の変化に戸惑いが隠せない。こりぁ、この戦いで試しておく必要がありそうだと感じ、僕は再び剣を構えた。


◇◇◇


(ヴィシュヌ視点)


フフフ。早速、自分の変化しんかを感じ取っていますね、イチロウさん。ですが、あなたの変化はまだまだこれだけではありません。あの狼藉者に目に物を見せてあげて下さい、私のを。


それにしても、今夜も2年分搾り取れるなんてゲヘへヘヘ...。


ーーー


全能神がトリップしてしまったため、ここで一旦区切らせていただきます。m(_ _)m by 作者

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