第54話 特別試合 ”純白の従者”シラユキVS”残光”アウラ
「それでは、今後の試合について発表します。第3試合はイチロウ様の獣魔様で、”純白の従者”と呼ばれているシラユキさんVS”残光”の勇者アウラさんです。勇者様の戦いが見れるこのチャンスは見逃せませんよ。」
試合はこれで半分が消化され、残りの対戦相手は王家の父娘、こちらは僕とシラユキの主従コンビの番となった。なお。タオさんはそのまま搬送されていった。
「気は乗らないけど、ぼくはシラユキくんと戦わないとね。」
勇者のアウラはとぼとぼとリングの上に立った。
「ふん。気は進むし、妾はあやつと存分に戦わねばの。」
人化した竜神のシラユキはのしのしとリングの上に立った。白vs白の夢の狂演、殺る気レベル最大のシラユキVSやる気レベル最低のアウラの戦いが今、始まる。
「シラユキくん。戦いに勝ったら、そのモフモフの尻尾を触ってもいいかな?その条件だったら、ぼくはやる気を出せるんだけどなぁ...」
「ほう。まだそんなことを抜かしおるか。この尻尾の付け根から先っぽまで全部、婿殿のものじゃ。お主みたいな有象無象が触れて良いものでは無い。」
「はぁぁぁ。本当に受けたくはないなぁ。この試合。」
一層やる気レベルが下がっていくアウラ。最低より下がったらいよいよ最底になるぞ。
「ならばこの勝負、妾に勝ったら婿殿に尻尾お触りの許可を尋ねる権利をくれてやろうではないか?」
シラユキは目の前に人参をぶら下げ、
「え?いいの?やったー!」
見事に
(これで思う存分、TA・O・SUことができそうじゃ。)
というように真っ黒な精神で満ちているのが真実だった。
「それでは、試合開始。」
アウラは早速、聖剣を抜いて
「遅いのう。」
横に殴り飛ばされる。
「!?」
彼女は困惑した顔を見せ、シラユキの方を見る。その手には、白い金棒が握られていて、その先端にはギラリとした棘が埋め込まれていた。
「ツカネ、あの武器って。」
「うん。シラユキちゃんの白い羽毛と牙を素材に<鍛冶魔法>で作ったものだよー。更に、<付与魔法>で<不壊>もつけているから壊れる心配ナッシングに仕上げたんだー。」
いつの間に...ああ、某海賊漫画の四人の皇帝の内の一人を参考に作ったのか。
「どうじゃ。妾の新技、竜鳴八卦の威力は。」
「う...とても速いし、威力もそれなりに乗っているよ。」
頭から血をダラリと流すアウラ。
「なーに。今のは挨拶代わりじゃ。ほれ。お主も本気を出して、打ち込んでこい。」
「そうさせて貰うよ。<
白い金棒と白い聖剣。2振りの武器の衝突は凄まじいものとなった。
「<
光の大奔流が放たれれば、
「温い!<竜鳴六十四卦:五十・火風帝>!」
金棒の一振りで、天に昇る巨大な白炎柱を形成させて防ぐ。
「<竜命六十四卦>」
シラユキは白炎柱の炎を金棒に纏わせ、それを以てアウラへと突進して振り抜いた。
「<十三・天火童神>!」
アウラは
「ふふ。良いぞ...二度目はまともに食らわないか...!!」
金棒を地面に突き立てて笑うシラユキ。彼女はまだまだ余裕そうだ。
「ならば、ここから更にでかくするぞよ。」
おや?シラユキの様子が...。腕と足が竜化して白い羽毛に包まれ、さらに頭から角が生えてくるが、翼はない。
そして現われたのは、髪から上が白い羽毛に覆われた『人:竜=50:50』みたいな姿のシラユキだった。
「ふむ。始めて変化させたが、これなら人vs人の戦いに、竜の
ああ。あれも某海賊漫画の能力者を参考にしたやつか...とイチロウは思った。
「わぁ、モフモフだね。でも、戦闘においてはもっと厄介になったという認識で間違いないね。」
「ふっ。今まではギリギリで耐えたみたいじゃが、この状態になった妾から繰り出される攻撃の場合はどうかのぅ?」
「!?」
すると、空が曇り始め、上空で雷がバリバリと轟き始める。
「行くぞ。最上級竜魔法<雷光>。」
そもそも竜神とは、風水を司る神の一柱であり、ただ炎を吐くだけではない。むしろ、風、水、そしてそこから発生する雷を操っていくのが最上級竜魔法の神髄。
そして、その規模はただただ天災。天から1つの雷がアウラへと降り注いでいき、アウラが回避した地点を抉っていった。
「ハァ...ハァ...。さ、さすがにこれはヤバすぎ。」
「なら、ギブアップするかえ?」
「いいや。ぼくは勇者。降参は出来ないさ。」
アウラは意を決し、魔力を込める。あのプラチナ・キングドラゴンにトドメをさした一撃を今度はドラゴンの神へと放つのだ。
「潔いのう。であらば、こちらも答えよう。<雷光>よ。」
天から降り注ぐ雷が金棒に集まっていく。これにより、金棒にバリバリと稲妻が迸る。両者、これが最後の一撃となる。
「<
「<竜鳴六十四卦:先天三十二・不動・震威雷>!!!」
互いの技は衝突し、リング全体が破壊された。
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