第49話 一体いつから錯覚していた?
(???視点)
これは...何?私の知らないことが沢山...。
ペラペラ
!?新しい。これもあれもその隣でさえも。全てが新しい。
ペラペラペラペラ
私は気づけば、見知らぬ知識が書かれた書物で山を形成していた。見たい知りたい確かめたい。そう心に願いながら、私は一晩かけてここに拠点を移すことを決めた。
◇◇◇
僕は現在、風呂に入っています。バスルームもこれまた広く、『プリペア』で泊まった『眠れる森』に比べると全くの桁違い。ただ、この豪邸は『眠れない森』になっているけれど。
ただ一番、感動している点がある。お湯だ。そう。蛇口からお湯が出るのだ。イヤッフー!これで、体を思う存分に洗えるし、十分に体を温めることが出来るぞ。浴槽にたっぷりとお湯を貯め、体の芯から温めていく。五臓六腑に染み渡るぅ。
ボコボコ
あ、いけね。力を緩めちゃった。
ボコボコボコボコボコボコボコボコ
水面の複数の箇所から泡が吹き出してくる。あ、まさか。浴槽から複数の水柱が立ち、瞬く間に僕を取り囲んだ。
「「「「「「「お背中、お流ししますね!」」」」」」」
誰も見たことの無い造形美を惜しげも無く晒す女神様~ズと王女様。いつから入り込んだんだ?
「いっくん。」
皆を代表してツカネが顔の左側に影を形成して告げる。
「一体いつから───────キミと私達が別々の風呂に入ると錯覚していた?」
...何...だと...。僕にゆったりと寛ぐ安寧の地を持つことは出来ないのか?一体何故?
「イチロウ様。元中級神の私の経験からみて今のイチロウ様に足りないものがございます。危機感です。イチロウ様はもしかしてまだ、自分が私達から逃れられるとでも思ってるのではありませんか?」
つまり、僕は愛する人から逃れることは永遠に叶わないんですね。分かりたくない。
「さぁ、皆さん。イチロウさんの創ってくれたこの石鹸で体の隅々を洗って差し上げましょう。そして、泡まみれになったイチロウさんで私達の体も清めていきましょう。」
チヒロさんによる死刑宣告が発せられたことで、僕は十本を超える触手に石鹸まみれにされ、更にはその体を弄ばれた。頭沸騰率100%のご奉仕攻撃によりなす術もなく撃沈した僕は、そのままの状態で寝室に連れ込まれ、石鹸により味付けられたこの身の全てを貪り尽くされていった。
だが、僕はこの時はまだ安堵していた。あの地獄の時間はやってこないだろうとたかをくくりながら。
◇◇◇
ふわぁぁぁ。異世界生活8日目。今日から王都の方で活動を!?
「おはようございます。イチロウさん。」
声の聞こえた方に顔だけを90度回すと、そこには銀髪の美少女が同じ敷き布団の中に入っていた。
信じたくないと思って周りを見渡すと、全てが白い。上の方にはキラキラな夜空。...嘘だよね?だってあの時の気絶で終わった筈...。まさかこのことを見越して、わざと...。
「いいえ。本当にあの時は、頑張りに免じて絞り取りしか行いませんでしたよ。でも、イチロウさんはまた眠ってしまった。つまりこれは、イチロウさんから私の方に逢いに来てくれたということなんです。」
出鱈目な理論を繰り出すヴィシュヌ。要約すると、
一体いつから今回は逢瀬がないと錯覚していた?
となる。しかし、前回と違うのはこの敷き布団。
「私、あの後少しだけですが、イチロウさんの本を覗いてみました。すると、イチロウさんの生前の古い時代『平安時代』というものでしょうか。通い妻というものを見つけまして。そして、ページの傍らにこの敷き布団の絵が描かれていたので、今回から敷き布団というものを追加してみたのです。」
ヴィシュヌも本を読んだのか。いや、読んだではなく覗いたのか。見事に行灯まで設置されている。
「男女のまぐわいというのでしょうか?ただ押し倒すよりもこっちの方がドキドキしますね?」
うん。僕もドキドキしているよ。恐怖で。
「それじゃ、今回も3年間、じっくりと愛し合いましょうね。」
枕に僕の頭を乗せて寝かせ、その上から覆い被さるヴィシュヌ。その瞳はハイライトオフのコバルトブルーではなく、トロンと潤んだ天色をしていて、情欲に訴えてくる。布団が掛かっているからか、より密着度が増し、そして。
気絶した分と合わせ、僕は2年分も搾取されてしまうという結果になってしまった。いとおかしな雰囲気も相まって、僕の方から積極的にガッツリと味わってしまった。
僕は『くっ殺せ!』という言葉を最後に現実へと呼び戻されていった。
◇◇◇
「ダーメですよ♡。イチロウさんが例え、宇宙空間から身投げをしても決して逃がしはしません。太陽に身を焦がそうものなら、その瞬間に全回復させてこの布団の枕元に転移させます。フフ、ウフフフフフフ。離しませんよ。イチロウさんには絶対絶対絶っっっっっっ対に私と子作りをして貰いますから。もし一度でも逃げ出そうものならその時は、
この部屋ではなくあの部屋に監禁して、子供を数億人産むまで出られなくしてあげますよ。イチロウさん。いえ、
××様♡」
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