第42話 女神達のランクアップ祝勝会
<全能神の寵愛>。それは、最もヤベー奴から僕に対する死の宣告だった。この内容から察するに、今後は眠りに入る度に僕の意識体が全能神のいる場所へと連れて行かれることが分かる。
絶望した!夢の中ですら女神から逃れられない現実に絶望した!
(あ、そのことについて補足しますが、意識体でも私の手で生身に変えることができるのでご安心下さい。後は、そうだ!<精力無限大>スキルを授けてと。はい、完成♡)
...。僕は地面に膝をついた。
「もうダメだ...おしまいだぁ...勝てるわけがない!逃げるんだぁ...」
すると、女神達が僕の顔に手を掛け、見上げさせられる。
「いっくん。寝言を言っても駄目だよー。もう決定した事なんだから。」
「お兄ちゃん。大人しく消えたりしなければ痛い目にあわずに済んだものを。これは自業自得です。」
「まぁ、そういうわけじゃ。神妙にお縄につけ!!」
「早く向かうのだぁ。酒を飲みながらとっととおっぱじめたいんだぁ。」
プレデターだ。プレデターがここにいる。
午後6時30分。イチロウはチヒロさんが予めメルアさんとともに購入したとされる王都のとても離れた土地にある豪邸へと到着した。ペア岬の間に位置しており、その値段は驚異の王金貨30枚。王都の門を出て、右に数メートル先にあるトンネルをくぐることで辿り着く場所に建っている。
A級冒険者であるチヒロさんの蓄えは王金貨10枚、王女様の専属メイドであるメルアさんのポケットマネーは王金貨40枚だ。豪邸の購入により、残金は二人を合わせて王金貨20枚となったのだが、今後は『女神の家』と財産を共有するため、僕達の現在の全財産は王金貨123枚金貨1枚銀貨5枚。この世界にあるものについては、もう買えないものはないだろう。
拝啓。お父さん。お母さん。異世界5日目にして、僕はようやく念願の家を手に入れることが出来ました。しかも300万円もの豪邸をです。それに、まだ家族ではありませんが、それに近い者達も出来ました。ツカネ、アカネ、チヒロさん、シラユキ、メルアさん、スイカ。そして、将来的に結婚してメンバーに加わるであろう勇者のアウラと第二王女様のシャルティアも含めて8人です。出来れば、お父さんやお母さんに紹介してあげたかった...。
そして、この豪邸を拠点とし、イチロウ達の冒険はさらに規模をでかくすることになる。
◇◇◇
僕は早速、豪邸の中を探索する...訳もなく、女神様達に直で寝室につれて込めれました。寝室は天蓋付きのベッドが中央に置いてあり、更には大きなテーブルとソファーが1式あるという大きすぎる部屋だった。今夜はここでいつものごとく、僕の<創造魔法>で創った夕食を食べることとなった。僕が皆に夕食のチョイスを聞こうとすると、寝室の一角から見慣れた<ワープホール>が出現し、チヒロさん、メルアさん、シャルティアの3人が合流した。
「遅かったでしょうか、イチロウ様?」
「いいえ、ピッタリです。メルアさん。」
さすがは、王女専属メイド。時間や予定の管理は一級品だ!これで、僕を含めて8人。なお、アウラはエックハルトとラプスが起こした事件の報告と事後処理に奔走している。取りあえず、リクエストを聞こう。
「唐揚げ食いたーい。しょうゆダレのももでー。」
「塩ダレのもも食べたいです。あ、漬け込みダレもお願いしますね。あれのタレをぶっかけた白飯が美味いんですよ。」
「イチロウさんにおまかせします。出来れば唐揚げ以外の肉料理で。」
「妾はツカネに聞いていた餃子の皇将のフルコースを頼もうかの。」
「私は、そうですね。白飯とそれに合うおかずがあれば。」
「私もメルアと同じで。でも、白飯の方を大量に。」
ツカネ、アカネ、チヒロさん、シラユキ、メルアさん、シャルティアの順に答えていく。そして、スイカは
「酒に合うもの。後、この世界にはない酒プリーズ。」
うん、知ってた。酒神にとっての食事は酒しかないのは明らかだった。酒!飲まずにはいられないッ!
「<創造魔法:唐揚げ(ももしょうゆ味)>、<創造魔法:唐揚げ(もも塩味)>、<創造魔法:牛肉しぐれ煮>、<創造魔法:餃子の皇将の一品料理全て>、餃子の皇将の餃子>、<創造魔法:きゅうりのキューちゃん>、<創造魔法:柴漬>、<創造魔法:日本酒>、<創造魔法:塩ゆで枝豆>、<創造魔法:白飯>。」
今までで最大の頻度で料理を出し、皆へと振る舞う。白飯は今回、1000食を出し、日本酒は試しに5合瓶を創ってみた。ソフトドリンクは主にお茶を出した。
ツカネ・アカネ姉妹は唐揚げをバリバリバリと、シラユキは海老チリや豚キムチや回鍋肉を流し込むように食べていく。チヒロさんとメルアさんとシャルティアは互いに牛肉しぐれ煮、きゅうりのキューちゃん、柴漬の3つを白飯にのせながらディベートをかわしていた。
スイカに至っては、
「ウへヘヘ。美味いのぉ。美味いのぉ。」
既に3合瓶を飲み干していた。その飲みっぷりは酒豪を超えた何かだった。
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