第43話 出会ってはいけない二人が出会ってしまった
[注意] 作中最狂最悪のヤベー奴が登場します。今まで登場した女神達の方がまだマシだと思えるくらいにヤベー奴が登場します。
ーーー
引き続き、夕食を食べているイチロウです。僕は<創造魔法>で創ったしょうゆラーメンをずるずると啜りながら、目の前の光景を見ています。
「アハハハハ。いっくんがいっぱいだぁー。」
「ひ、1人くらいお持ち帰りしてもいいですよね?独占しちゃってもいいですよね?あ、やめてお兄ちゃん。そこは駄目!いや、やめないで。」
ツカネ・アカネ姉妹は目の前に沢山の僕がいる幻覚を見ているようだ。それにしてもアカネはどんなことを妄想しているんだろう?
「ウウウ...グス...グス...。何故じゃ。何故、妾の胸はこんなに魅力的ではないのですか?夜一様。」
シラユキは何故か自分の体に対して悲しみを抱いている。強く生きれよ、シラユキ。というか、夜一様って誰?
「大体、陛下は...ブツブツ...。王妃様を...ブツブツ...。」
「私なんてブツブツ...。」
「お父様はブツブツ...。お姉様はブツブツ...。」
チヒロさん、メルアさん、シャルティアは普段、内に抱える鬱憤を口から吐いている。全員もれなく泥酔状態だ。こうなった元凶の方を見てみると、
「イチロウ。この日本酒っていうの、マジでうめぇよな。なぁなぁ、作り方教えてよぅ。ヒック。」
日本酒を既に20合瓶を開けていた。いや、日本酒ならまだいい。彼女はさらに別の酒を用意しろと注文してきたので、ビール、チューハイ、果実酒、果てにはウイスキーまで<創造魔法>で創って与えたが、見事に1人で飲みきったのだ。酒神、マジやばくね?
しょうゆラーメンを食べ終わり、<創造魔法>で酔わない程度にレモンチューハイを飲んでいるとフラッとスイカが近づいてきた。その茶色の瞳は僕の瞳を真っ直ぐに捕らえている。そして、互いに瞳へ吸い込まれると自然に唇が重なった。
すると、ガシッと頭部を掴まれ、口の中に何かの液体が流れ込んでいく。ペロ...これは日本酒! ! 気づいた時にはもう遅かった。体がふわふわしてきて、誰かを抱きしめたい衝動に駆られる。
「皆ー。ちゅーもーく。いっくんが酔うとこんな風に誰かに抱きしめずにはいられない程の甘え上戸ぶりを発揮しまーす。なので、今がチャンスですよー。」
「普段出来ないことをやってもらいまひょー。今なら、イチロウさんの方から絞り取られに来てくれますよー。」
「じゃあ、襲っちゃう?」
「「「「「「「賛成!」」」」」」」
その場にいる女性全員がイチロウをベッドの方に運んでいく。
「昼はあんなに嫌だ嫌だ言ってたのに、今はもうウェルカム状態じゃないですかぁ。」
アカネが代表で言うと、皆はじゅるりと着脱。瞬く間に絞り取り攻撃をイチロウへとお見舞いしていった。
◇◇◇
目を覚ますと目の前には、果てしない白い空間。上の方を見ると夜空がキラキラと輝いていた。見覚えのない場所に困惑していると突然、後ろから両肩を叩かれる。
「ようやく逢えましたね、イチロウさん。」
!気配を全く感じなかったぞ!慌てて後ろを振り抜くと、1人の少女が立っていたが、僕はそのまま時間が止まったように静止してしまった。
その少女は今まで見た中でもダントツの美少女だった。流れるような銀髪、天色のつぶらな瞳、白い肌、そして桜色の唇をしていて、愛嬌さ、清涼感、艶めかしさ、あざとさの4点が最大限に発揮され、互いにマッチングしていた。鑑て...!?
「いきなり女性の内を探るのは野暮だと思いますよ、イチロウさん。まずは私のイチロウさんへの愛の深さを知っていただきませんと。」
体が動かない。何で!?僕はあっという間に目の前の少女に組み伏せられてしまう。
「私は『ヴィシュヌ』。全能神をやっています。言った筈ですよ。夢の世界で逢いましょうって。」
目の前の少女は自ら全能神と名乗った。この方が...全能神様。ということは、
「やっと。やっと逢うことが出来ました。この時をどれほど待ったことでしょう。ああ、食べたい。触れたい。しゃぶりたい。貪りたい。舐めたい。クンカクンカしたい。閉じ込めたい。繋がりたい。悲鳴を上げさせたい。一体化したい。」
ヒェェェェェェェェ!?最狂のクレイジーサイコヤンデレ女神だぁぁぁ。<全能神の加護>による通信の時から分かっていたけど、実物はその何倍もヤバかった。さらに、今度は僕の髪や顔をその白い手で触れてくる。
「髪の毛はさらさらで気持ちいいですね。おや、ここの毛が少々痛んでいますね。トリートメントはしていますか?女の子みたいに艶々な髪の毛なんですから、ちゃんと洗わなきゃ駄目ですよ。わぁ。肌はスベスベですね。ほっぺたはモチモチしていてちょっと食べちゃいたいです。というより食べます。では、いただきまーす。」
あーむっ
ジュルルル
うひぃぃぃぃ。歯を突き立てられたし、舐められた。さっきから指で触られる度にゾクゾクして、心の底から冷気のような恐怖が浸食してくる。もうこれだけでメンタルが崩壊しかけている。
だが、そんな認識は甘かった。本当の恐怖はここからだったと僕は後々後悔することとなる。
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