第41話 ランクアップと動き出す者
その後、僕は<アイテムボックス>から奈落の底のラストモンスターの死体を取り出してみせると、ギルド全体が大騒ぎになった。そして、僕とアウラの2人が正当な手順でないとはいえ、冒険者カードの『奈落の底の踏破者』という文字を見せると、再びギルド全体が大騒ぎとなった。
だが、初老の男性が割って入ることで、その騒ぎは沈静化されることになる。
「此度はこちらの不手際でお前達、勇者様と新星を危険な目に遭わせてしまったことを深くお詫びしたい。」
その男性はしっかりと頭を下げた。そもそもこの御方は誰であらせられるのでしょうか?
「この人はメノスさん。ここのギルマスで、現冒険者ギルドの最高権力者なんだよ。ぼくに剣術をご指導して下さった御方でもあるんだ。」
ギルドマスター様でしたか。いやいや、そんな人が初対面の僕に頭を下げちゃいかんだろう。
「そして、よくぞ無事に帰ってきた。お前達、いや、ここにいる冒険者達全員が儂の家族のようなものだ。どこぞの悪党の手で死なれるのは、あってはならない。」
炎を宿したような目で、エックハルトとラプスを睨み付けるメノス。だが、僕は既に、このメノスさんに対して感動を覚え始めていた。この人は素晴らしい考えと心を持っている。こんな人がおじいちゃんだったらいいなとつい思ってしまう。
「こやつらの処遇については一旦置いておこう。アウラ、そしてイチロウ。アウラについてはこれまでの実績に、イチロウは今回のランクアップ試験の成績に加え、奈落の底のラストモンスター討伐と踏破の実績も加味し、儂の権力でSS級冒険者にランクアップする。今後も励み、頂であるSSS級へと到達することを儂は願うぞ、2人のエースよ。」
笑顔でメノスさんと握手をする。その手はとても、暖かった。
◇◇◇
(???視点)
イチロウさんがアルフラトネに転生してまだ5日。まさか、この短期間で5人の女神と夫婦の契りを結び、一国の王女達2人をも手籠めにするとは。さすがあなた達の息子さんです。これは、私と彼が婚約するのもそう遠くはないかもしれませんね。ですが、少なからず嫉妬もしてしまいます。私だってこの立場じゃなければ直ぐにでもイチャラブできるのに。
...そうだ。寵愛だ。加護ではなく寵愛にすれば、限定的ではありますが、イチロウさんとの逢瀬を実現できるではありませんか。狂愛ばかりに目を向けていたので気がつきませんでした。アハハハハ。それでは、加護を寵愛に、そしてついでにあの姉妹にもランクアップ記念として昇進もさせましょう。
イチロウさん。これから毎日、逢瀬を楽しみましょう。第一婦人と彼女は言っていますが、実はそれよりも上の地位があるんです。その地位に君臨するのが私なんです。フフフ。全てはイチロウさんが私を惚れさせたのが悪いんですからね。次に彼が眠りについた時には...。
◇◇◇
(???視点)
とうとう
◇◇◇
(???視点)
な、何だと?あいつらは失敗したというのか?これでは、振り出しに戻るではないか!クソ。あの勇者を廃させば、シャルティア姫を、あの美貌を手に入れる第1歩を踏み出せたというのに。こうなったら、帝国にまた例のものを...。
「ここですか。私を信仰する国の汚点となる場所は。」
「はい。シラユキの話によると、ここの伯爵がイチロウさんを危険に晒した最も愚かな者であると聞きました。」
そこに2人の女が現われる。
「だ、誰だ!?お、お前はシャルティア姫の専属メイドか。」
「よく覚えて下さいましたね。よくもまあ懲りずに、色々とチャレンジされいるご様子でしたが、今回は手を触れてはならない所に触れてしまいましたね。」
専属メイドはその後、<ワープホール>を発生させ、この館の書類全てを吸い込んだ。
「お、おい。やめろ。それには。」
「「イチロウという愛する者に手を出した最も愚かな者には重い罰を受けてもらう、拭いきることの出来ない絶望と恐怖を!」」
2人の女、いや女神により、この館の伯爵は破滅への道に向かうこととなった。
◇◇◇
(パンパカパーン。おめでとうございます。イチロウの<全能神の加護>が<全能神の寵愛>にレベルアップしました。また、ツカネとアカネはそれぞれレベルが100アップし、それぞれ上級神と中級神へと昇進しました。)
メノスさんと握手し、アウラとともにプラチナ・キングドラゴンの報酬金額王金貨100枚を半分ずつ受け取り、そして新たな冒険者カードを貰った後の帰りの途中、アナウンスが突然に鳴り響いた。このアナウンスは姉妹にも聞こえていたようで、2人で喜び合っていた。それにしても、寵愛か。狂愛じゃない分、まだマシかもしれないが、不安なので鑑定してみよう。
全能神の寵愛:全能神と密会できる固有スキル(夢の世界で逢いましょう♡♡♡ by全能神)。
い、い、嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?
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