2章 王国で全力全開!

1部 王城とランクアップ試験

第19話 3人目はすぐそこにいた

グーテンモルゲン。どうもーイチロウです。異世界生活4日目。今日から活動の拠点を王都へと移していきます。ちなみに今日の朝食はブタイノシシのハムステーキ~パンを添えて~で、噛む度に肉汁があふれ出ていました。え?いい加減にお前達の普段の昼食や夕食のメニューを教えろだって?そんなの<創造魔法>に決まってんじゃん。昼食は餃子の皇将のラーメン・餃子・一品料理のセットで、夕食は決まってビーフシチューを食べていたよ。ちなみに、一品料理については昨日で1周しました。


「少し寂しくなるねぇ。でも、冒険者の道は自分で決めていくものだから、引き留めはしないよ。」


「こちらこそ。短い時間でしたが、お世話になりました。」


朝食を食べた後は、宿の女将さんと引き払いの手続きを済ませ、次に冒険者ギルドの方で王都出発の報告へと行った。


「そうかい。まぁ、お前達ではもうこの町では収まる器じゃないし、自信を持って王都に行ってきな。」


「ありがとうございます、ギルドマスター。」


僕はパーティーのリーダーとして挨拶にいったが、突然、口を塞がれる。ふわぁ、口の中に森の香りが広がってくる。


「...ラゼバラとは呼んでくれないのかい?あたし達はもう、ここらの冒険者よりは親密な仲だろう。後、今のはあたしのファーストキス。エルフ族は惚れたらしつこい。だから覚悟しとけよ。」


赤い顔のギルドマスターもとい、ラゼバラは僕に対してきっぱりと宣言をする。言っておくけど、女神様と並ぶのは難しいぞ。


「ラゼバラ。行って来る。気が向いたら王都で会おう。」


僕は平静さを保って、別れの挨拶を済ませる。


「もう行っちゃうのー。いくら何でも早すぎるってば。」


「私も直ぐに王都に向かうからね。約束だよ。」


「イチロウ様。今日もかっこ可愛いですぅ。こっちに顔を見せて。」


女性冒険者達の黄色い歓声を受けた僕は一言挨拶を済ませることにする。


「皆さん、行ってきます。」


ほんのイタズラ心が湧き、試しに最大限の笑顔で挨拶をしてみた。


「「「キャッー♡」」」


所々から噴出される鼻血の噴水。恐るべし、<上級美形>。


「いっくん。今度は人間の女性相手にそれはやめた方がいいと思うなー。最悪の場合、鼻血多量で死者も出てくるからねぇ。」


「そうですよ。その笑顔禁止。甘い言葉も禁止です。それを使っていいのは私達女神だけですからね。」


すみません。さすがに無実な人を死なせる可能性があるならやめておきます。では気を取り直して、王都に出発進行~。


「「「おー。」」」


「楽しみです。」


ん?今、声が4人分聞こえたよね。ねぇ、聞こえたよね?


「おはようございます。イチロウさん。私です。宿屋の娘です。いいえ、もう隠す必要はありませんよね。」


そこにいたのは宿屋の娘。だけど、そのの姿は次第にブレ始める。そして、姿が変化し現われてきたのはエプロンを着たの髪をした美少女だった。


「あー、料理神だぁ。ねぇねぇ、いっくん。これは超強力な助っ人ゲットだぜッ!という展開だよー。」


「そうです。料理神、獲ったどー!ですよ、お兄ちゃん。」


ジャンジャジャーン♪ 今明かされる衝撃の真実ゥ☆女将の娘の正体は何と料理神でした。いや、これは本当に大番狂わせ。ちなみに僕と同じで上級神。


「まぁまぁ。あなた達姉妹は相変わらず、私のことを便利な何かと思っているんですね。お変わりが無くて逆に安心します。改めまして、料理神のチヒロです。ツカネちゃんやアカネちゃん共々よろしくお願いします。」


温厚で柔和な料理神。2人の姉妹の活発さに1人のおっとりさ。うん。いい感じにまとまってますなぁ。と言いたいが、1つ疑問が生じる。


「あの女将さんにはどう伝えてきたのですか?」


「ああ、それね。元々あそこに女将さんの娘なんていないのよ。実際の子供は息子さん1人です。今は王都で2号店を営業しているわ。私の場合、この町全体に<記憶操作>をかけ、<偽装>で変身した私のことを女将の娘と認識させていましたの。あなた達でも直ぐには見破れないように工夫もしたおかげで、サプライズは成功。後は、<記憶操作>を解除するだけで、許可の必要も無くイチロウさんとイチャイチャ出来ます。」


僕の腕に自身の腕を絡めて頬ずりしてくる料理神、もといチヒロさん。でも何の許可も無くそんな魔法を掛けてもいいのだろうか?


「いっくん、神界にはある決まり事があるんだぁ。」


「はい。全能神様直々に定めて下さったものです。」


「ええ、イチロウさん限定で適用される決まり事があるんです。」


あれ?何だか嫌な予感がするぞ。


「絶対に碌でもないことなのは分かっているが、取りあえず聞いていい?その内容はどんなもので?」


「「「(バレなきゃ犯罪じゃないんですよ。)」」」


ほらやっぱりそうだった!こんな決まり事があるから、序盤の町に神剣が落ちていたり、大規模な魔法を平気で使用したりとか出来たんだ。そりゃ、無法地帯にでもなるわ。


(エヘヘヘ。イチロウさんにほめられちゃいました。)


褒めてるんじゃない、呆れているんだ。本当にどこまで僕を振り回すつもりなのか、この女神達。僕は何とかそのことを頭から振り払って歩を進めた。

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