第18話 アカネの実力
アカネvsラゼバラさんの戦いが始まると同時に動き出したのは、ラゼバラさんだった。
「<ウインドカッター>。」
風の刃が一度に50も形成され、襲いかかる。元S級の、魔法を繰り出す速さはピカイチだ。でも、弓神であるアカネも負けてはいない。
「<
100本の矢に風属性の魔力を纏わせて連射する。100本全てを打ち終えるのにかかった時間はわずか1秒である。しかも風属性魔法のレベル差があるため、ラゼバラさんの放ったウインドカッターは、アカネの矢にかき消され、そのままラゼバラさんへと迫る。
「くっ。」
迫ってくる矢を一本一本かわしてやり過ごし、ラゼバラさんは次の魔法を放つ。
「今のは危なかったぜ。<ウォータージャイアント>。」
水で作られた巨人が形成される。僕でも見上げてしまうほどの大きさだ。
「これがあたしの代名詞さ。<ウインドメンブレン>。」
空気の膜に包まれたラゼバラさんは、巨人の中に入り込み、心臓部に到着すると同時に巨人の左手を振り下ろしてきた。
「わぁーすごい量の水だねー。あれを火属性魔法で一気にジュワーってやるのが気持ち良いんだよねー。」
ツカネさんは水の巨人を見て、僕の隣ではしゃいでいる。だが、あの大きさだと避けるのは至難の業だぞ。
「<
圧巻だ。もう弓を引く手が残像を残すくらいに早く、放たれた無数の矢がまるで1つの閃光みたいになって、振り下ろされる水の手を蒸発させている。いや、それだけじゃない。時々心臓部の方にも狙い撃ちをしてラゼバラさんの方にも攻撃している。この間、わずか2秒。
これにより、見事巨人の左手と心臓部を蒸発させ、ラゼバラさんを引きずり出した。その時、彼女は一瞬で次の魔法の準備をしていた。
「<アースミューカス>。<アクアウェーブ>。」
土の粘液を地面に発生し、さらに巨人が大きな津波に変化。混ざり合って土石流となってアカネに襲いかかる。だが、彼女は全く動じていなかった。
「<
矢に火を纏わせ、さらに竜巻をも纏うことで1つの炎の竜巻を形成させる。それを10,000本分形成し、これまた2秒で放った。これにより、災害レベルの土石流を全て蒸発させて無効化した。
水vs火。一見、水が勝つ戦いに見えるこの戦い。アカネはそれを物量でゴリ押すことで見事に打ち破ったのだ。
「<
「そうみたいだねぇ。まいった。降参だよ。魔力ももうすっからかんさ。」
こうして、アカネvsラゼバラさんの戦いは当然、弓神の勝利で幕を閉じた。
「お兄ちゃん、勝ちました...よ。」
「フフッ。チュッ。」
「ム、ムググ(い、息が)。」
「ああ、お姉ちゃん。ズルイです。私にもお兄ちゃんにチューさせて。」
しかし、姉との戦いでは未だに負けてしまうのであった。このあと滅茶苦茶キスした。
◇◇◇
「ほれ、これがランクアップ試験の資格書だ。大事にするんだぞ。」
「ありがとうございます。これで、お姉ちゃん達と並びましたよ。ッシャア。」
欲しかった物が貰えて、シャドーボクシングをするアカネ。余程嬉しかったんだろう。
「あたしも嬉しいよ。アカネはな。5日前に突然フラッと現われ、一日に最低10もの依頼を受けていたんだよ。パーティーに誘われても『興味ない』と言って断り、ただ淡々と依頼をこなしていってね。あたしは見てて心配していたもんさ。でも、お前達が来てからは別人かってくらい笑顔を見せるようになったし、今日は今まで一番生き生きとしていたから安心しちまったよ。多分、お前達と会っても恥じないようにしたかったんだろう。ありがとな。アカネに楽しさを引き出してくれて。」
「いいえ。こっちこそ、アカネを気に掛けてくれてありがとうございます。」
アカネは僕達がここに来ることを見越して冒険者ランクをB級まで上げていったんだろう。それも1人で。僕達と同じ土俵に立つために。そう思うと、自然とアカネの頭をなでなでしていた。
「あ、お兄ちゃん。エヘヘ。」
頭を撫でられ、嬉しそうな顔をするアカネ。その笑顔はとても明るく、本当に妹が出来たかのような気持ちにさせるには充分であった。
「ねえねえ、ボクにも。ボクにもそれやってー。」
「ハイハイ。ナデナデ。」
「むー。何かアカネちゃんの時よりも乱暴だー。だったら、こっちにも考えはあるんだから覚悟してねー。」
フハハハ。僕は今日でレベルを199まで成長させた上級神でござるぞ。以前のように遅れを取るわけには
◇◇◇
すみません。遅れをかなり取ってしまいました。あの後、冒険者用のアイテムをしっかりと購入したのはよいものの、宿に帰ったらこってりと絞り取られました。姉妹コンビは強力で、上と下から同時に攻めてくるんですわ。そう、1人はキスをし始めては舌を思いっきり絡めてくるし、もう1人は干からびるまで僕から搾取するからもう大変。だが、忘れてはならない。女神様2人でこれなのだ。さらに増えるとどうなってしまうのか、と考えると震えが止まらない。という感じで3日目は終了したのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます