第17話 冒険者パーティー『女神の家』

僕です。イチロウです。早速、冒険者ギルドに行きましたが、今日は冒険者の人達が少ないようです。


「あ、イチロウさん。こんにちは。」


「...ミルルさん。あの、今日はギルドの方は営業していますか?」


「はい。大丈夫ですよ。ただ、昨日のパーティー終了の後にそれぞれ別の場所で飲み直した冒険者が続出しまして。おそらくは二日酔いが原因かと。それにしても、イチロウさん。昨日よりさらにかっこ可愛くなっていませんか?一段とレベルアップしたような。」


あ、分かります。自分、今日で美形神から上級美形神にクラスチェンジしたので。


「まぁ、平たく言えばそうです。それと、今日は僕達3人でパーティーを作るので、その申請をしようと思いまして。」


「分かりました。では、この書類にメンバー名を直筆し、パーティー名をリーダーとなる人が命名して下さい。」


僕達3人は言われた通りに名前を書き、リーダーを誰かについて討論する


「え?リーダーはいっくんでしょ。」


「お兄ちゃんじゃないと成り立ちませんよ。もうこのうっかり屋さん。」


間もなく僕に決まった。次にパーティー名なのだが、候補を聞いてみた。


「いっくんと愉快な仲間達。」


「名状しがたいパーティーのようなもの。」


うん。期待した僕が馬鹿だった。しかし、名前か。必要不可欠な要素としては『女神』は外せない。後は...『家』だ。何故か『家』が恋しくなる。ああ、そうか。僕はやっぱり家族というものに特別な想いがあるかもしれない。よって、僕はパーティー名を次のようにした。


女神の家


「いっくん。そんなに家族のことが」


「お兄ちゃん。うん。その名前でいっちゃいましょう。」


2人からの了承も得たので、これで申請することにする。すると、リーダーである僕に1つのブレスレットが渡された。


「リーダーはこのブレスレットを付ける決まりとなっていて、後にパーティーメンバーを追加する時に必要となります。もし追加したい場合は、このブレスレットに追加したいメンバーの血を1滴だけ添加して、リーダーが『追加』と答えて下さい。」


パーティー申請についてはこれで良し。次にアカネの依頼についてだが、


「申し訳ありません。現在、B級冒険者が行えるような依頼は1つもないんです。」


まぁそうなるよな。だって、ここは始まりの町。そんな初心者には荷が重い依頼なんて


「だったら、あたしが指名依頼を出してもいいぜ。」


「ギルドマスター。」


ないと思っていた時期がありました。え、都合良すぎない。魔物の脅威は今の所ないし、この町のトラブルなんて今は影も形もないし。


「指名依頼。あたしの体をほぐすのに付き合え。戦闘の勘を取り戻したいのさ。アカネ、頼めるかい?」


「はい。やります。やらせて下さい。」


なるほど。元S級冒険者のラゼバラさんなら、ランクアップ試験を受けられるかどうかの判断材料には充分だ。


◇◇◇


ここは、ギルドの裏の演習場。ここで、アカネとラゼバラさんが相対している。取りあえず、アカネの方を鑑定しておこう。


アカネ 


レベル:98


種族:弓神


[能力値]

HP:98,000/98,000

MP:98,000/98,000

攻撃力:98,000

防御力:98,000

[スキル]

<火属性魔法 LV.10>、<風属性魔法 LV.10>、<光属性魔法 LV.10>、<最上級探索>、<最上級弓術>、<万能>

[固有スキル]

<弓神>

[好感度]

100,000,000,000/100


...。さすがはツカネの妹で、弓神。レベルも高いが、全能神曰くこれでも下級神であると言う。ならば、レベル99の時の僕がなぜ中級神だったのか?


(そんなの、イチロウさんが私の未来の夫だからに決まってるじゃないですか。きゃ、言っちゃった。エヘヘヘ。)


...うん。分かった。全能神が僕のことを特別視し過ぎていることが分かった。なお、レベルが90より上についてだが、次のようになっているらしい。


LV.90~99:下級神

LV.100~199:中級神

LV.200~299:上級神

LV.300~399:特級神

LV.400~499:最上級神

LV.500~:調停者(神界を離れ、各世界を管理する者)

LV.エラー:全能神


上には上がいるというか。まだまだ僕も成長要素はある感じだな。まぁ、僕としてはこの世界で家族を作って生活していきたいけれど。


(イチロウさんには最低でもレベル500以上には上がって貰いますからね。)


ん?何か重要なことを言っていたような気がするが、気のせいだろう。


「鑑定で分かるとは思うが、あたしのレベルは53で、元S級だ。だから、遠慮無くぶつかってきな。」


「はい。」


アカネがアイテムボックスから純白の弓矢を取り出す。鑑定で調べたが、あれも『ゴッドオリハルコン』で作られた武器で、名前は『アマカゴノユミ』。


「連射速度に耐えられる弓ってこれだけなんですよ。もう、この世界の弓矢ってどうして壊れやすいんでしょうね?」


アカネは前にそう言っていたが、ぶっ壊れているのはアカネだとこの世界の人達なら突っ込むだろう。


こうしている間に、アカネvsラゼバラさんの戦いは開始された。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る