第11話 ヤベー武器を手に入れました

新たな女神様、アカネを連れて僕達は武器屋"ドッテ"にやって来た。


「いらっしゃい。ここらにある武器は冒険初心者用だ。好きな物を買っちゃいな。」


出迎えてきたのはドワーフだろうか。しっかりと筋肉のついたおじいさんだった。取りあえず、棚にあるものを物色していく。僕はソード、ツカネさんはステッキ、アカネは矢の補充にそれぞれ向かった。解体用ナイフやショートソード、ロングソードを見てみたが、どれもこれもいい鉄を使用していて切れ味は抜群に見える。だが、耐久値は低い。何というか、精錬する時に空気が入り込んでしまって、少し脆くなっているカンジがするのだ。まぁ、いい装備を買いたければ王都で買えということだろう。


ん?何かあそこの棚の端、何か違う物が1本あるぞ。鑑定。


神剣『ラグナ』

世界に1つしかないとされる剣。特定の魔力の波長を持つ者にしか見えないよう隠蔽されている。作成者は○○○、素材は○○○○○○○○○。使い手を選ぶとされているが、果たして?


一言感想。怪しい。どう見ても、僕専用みたいな感じがする。というより、何でこんな所にダンジョン完全攻略してようやく手にできるような武器があるんだよ。明らかにこの店の物じゃねぇだろ。


(使って欲しい。私からの贈り物。私があなたのためだけに打って鍛えたこの剣をどうか、使っていって欲しい。)


誰だ?この声は、あの剣からか?インテリジェンスソードというものを聞いたことがあるが、あれもその一つなのだろうか?ちょっとだけ、触ってみるか。悪戯心が生まれ、僕は少しその剣に触れてみた。


(特定魔力波長を確認。隠蔽解除。対象とのリンクを開始します。)


え?何!?うわ、魔力が吸い取られていく。


(リンク率20%、30%、40%、50%、...)


取りあえず手を離さないと!?あれ、取れない。握っている手の指一つ動かせない!?


(90%、95%、96%、96.5%、...)


おい、何故途中で小数点が出てくるんだ。いいから、早く終わらせて!


(99.8%、99.9%、...、100%。リンク完了しました。おはようございます。イチロウ様はただ今よりこの神剣『ラグナ』の所有者となりました。)


魔力がごっそり持っていかれる感覚がなくなり、僕の頭にアナウンスが響いてくる。取りあえず何か変わっている感じがするので鑑定してみる。


神剣『ラグナ』

世界に1つしかないとされる剣。武器神”ソール”が未来の夫のため、神界にある『ゴッドオリハルコン』を使って打ち、鍛えたとされる。

所有者:イチロウ(武器神の夫)

能力:<魔力伝導>、<不壊>、<魔力増幅>、<攻撃力増幅>。


うん。知ってた。知ってたけど、新(神)キャラの登場が早すぎる。え?何?神界って僕関連になると無法地帯になるの?ゴッドオリハルコンって、名前からして強力な鉱物じゃないか。そして、鍛冶神ではなくまさかの武器神だし、その神様の夫にいつの間にかされているよ!?


「いっくん、この杖はどうかなー?これをベースに<創造魔法>で創った神界のゴッドオリハルコンを素材とし、<鍛冶魔法>と<付与魔法>でボクだけのマジカルステッキを創ろうと思うんだけど。ってそれ、ゴッドオリハルコン製の武器じゃーん。どこにあったの、それ?」


杖を選び終わったツカネさんが僕の所にやって来た。


「ここに隠蔽されていて、試しに触れてみたらいつの間にかこうなった。鑑定で調べたら、作成者はソールとあったけど、ツカネさんは何か知っている?」


「あーなるほどね。彼女は武器神で、あらゆる武器に精通している女神様だよ-。でもそっか、彼女が動き出したとなるとこれはうかうかしてられないねー。」


最後の言葉の意味は分からないが、とにかく武器ゲットだぜ!あ、それと解体用のナイフを取りあえず3本くらい買っておくことにする。


「ん?お前さん。その腰にある武器は何だい?入ってきた時にはつけてなかったよな?」


「あ、えーと、僕は<アイテムボックス>持ちなので、自分の武器と見比べてました。」


「...そうかい。でも、今度からは武器は携帯してから入ること。今回は一目でここの商品じゃないことは分かったからいいんだけれど、王都じゃそうはいかねぇからな。」


親切心ながらに、僕はお店の人に忠告されることとなりました。そして、解体用ナイフ3本、マジカルステッキ1本、矢100本で合計金貨5枚。残り金貨1枚と銀貨5枚の状態で、僕達は討伐へと向かうことになった。


◇◇◇


(???視点)


や、やった。イチロウ様が私の作品を手に取ってくれた。これがイチロウ様。顔はクールだけどどこか愛着が湧いてきます。指の筋肉はガッシリしているが、感触は赤ちゃんのようにプニプニっとしています。こんなのを四六時中堪能できるなんて幸せすぎますぅー。ああ、これでようやく、ようやく私達は。さりげなく夫婦認定をしてしまいましたけど、これくらいは別にいいですよね?だって実際に起こる出来事ですから。あなた様が10~20年に感じる期間でも、私達にとってはほんの一瞬。つまりは、もう夫婦と公言しても差し支えないのですから。


でも、私はまだあなた様に直接会うのは恥ずかしいんです。なので、心の準備をさせて下さい。準備が出来次第、私はあなた様の所に参ります。なのでどうか、それまでにその剣を持っていて下さいね?

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