第4話 魔物は消毒だ!

「どうやら終わったみたいだねー。それじゃ、実践訓練行きましょうかー。いっくん、ここでじゃんじゃん稼いじゃおう。」


魔法神のツカネは笑顔でにぱーと笑いかけてくる。でも、魔物なんて


ギギギィ!


いた。ゾロゾロと森の方から現われてきた。


「多分、ボク達のファイヤボールによる地形破壊とビーフシチューの匂いに釣られてきたんだねー。わざわざ、<挑発>を使わずにすんだよー。」


おい、ちょっと待て。<挑発>とか言いませんでしたか。もしかしてそれを使って魔物をおびき出そうとしようとしましたか?


「うん、そうだよ。これを使っちゃえば魔物ホイホイ。森の奥にいるボスも引き寄せられることも可能で。」


お母さん、ありがとう。お母さんのカレーのおかげで開幕クライマックスは避けることができました。はい、鑑定。


ゴブリン×50

HP 100/100

MP 100/100

攻撃力 100

防御力 100

棍棒を持ったゴブリン。討伐部位は耳。


ソードゴブリン×50

HP 150/150

MP 150/150

攻撃力 150

防御力 150

剣を持ったゴブリン。討伐部位は耳。


マジックゴブリン×50

HP 150/150

MP 150/150

攻撃力 150

防御力 150

魔法を操るゴブリン。討伐部位は耳。


はーい出ました。ゴブリン先輩。チュートリアルでお馴染みのキャラ。ポジションは某配管工の最初のステージ初の敵キャラと同じだぁ。


「それじゃ、耳以外を狙おうか。間違えて討伐部位を燃やしたり切り刻んだら駄目だからねー。」


十中八九、鑑定創ったのバレてるなぁ。まぁ、でも試したいこともあるし、実験に付き合って貰おうか。


「各種半分ずつで。」


「分かったよいっくん。<アースウォール>。」


土の壁が現われて、取り分が希望通りに別れる。


◇◇◇


(ツカネ視点)


さーて。早くいっくんのバトルを見たいから、一瞬で片付けよう。


「それじゃ、<ウォーターバレット>。」


空中に75発の水の弾丸が形成され、


「シュート。」


ゴブリン1体ごとに1発ずつ命中していく。その弾丸は見事に心臓を正確に撃ち抜いていたため、75体ものゴブリンは一瞬で絶命した。なお、彼女はただ魔法を放った訳ではない。これは、<水属性魔法>によって作り出した水の弾丸を<魔力操作>というスキルを使って操ることで出来る芸当だった。でなければ、撃ち漏らしは生じている。


「さーて、いっくんは、遊んでいるね。討伐部位は<ウインドカッター>。」


<魔力操作>による風の刃は絶命したゴブリンの耳を素早くカットした。


◇◇◇


さて、試させて貰おうか。創造魔法で得た魔法ちからを。


ギギッ


マジックゴブリンから<ファイアボール>、<ウォーターボール>、<アースバレット>、<ウインドバレット>が放たれる。


「見える。攻撃の軌道がよく見えるぞ。」


<見聞>は攻撃の軌道を先読みするスキルで、これにより様々な魔法攻撃をかわしていく。見かねたゴブリンとソードゴブリンは棍棒や剣で攻撃を仕掛けにかかる。


「<魔装>。」


<魔装>は魔力を纏うスキルで、体に鎧として纏ったり、武器に属性をエンチャントすることも出来る。今回は前者で、魔力で形成した鎧で攻撃を防ぎ、ガードして弾いたのだ。これで確かめたいことは1つのみなので、あの多人数相手に有効なスキルを使う。


「<威圧>。」


<威圧>は防御力が僕より下回る相手、すなわち9999以下の防御力の相手を気絶させるスキルで、ゴブリン75体は全て気絶し、戦闘不能となった。


「ご苦労、いっくん。ついでだから、<創造魔法>で<魔力操作>を創ってみてよ。解体にものすごく便利だから。」


ツカネの言うとおりに<魔力操作>を創ってみる。


「そしたら、<魔力操作>を発動しながら<ウインドカッター>を出してみて。」


言われたとおりに発動してみる。おお、風の刃が飛んでいかずにフワフワと浮いている。<魔力操作>は、なるほどこの魔力の糸を動かして操ればいいのか。イメージはマリオネットだな。ゴブリンの耳に風の刃の軌道をのせれば、おお、簡単にさくさくと切れる。ナイフで切るより効率が楽だ。後は、


「<アイテムボックス:ゴブリンの耳>。」


<アイテムボックス>は立方体の透明な箱で、収納するときは<アイテムボックス:○○>と唱え、取り出すときは箱を持ってただ念じればよいという優れものだ。これにより、150体分のゴブリンの耳が収納され、死体は火属性魔法で焼却処分した。


「どう?実際に戦ってみて?少しは余裕が出来た?」


「ああ、大丈夫だったよ。想像より何倍も上手くいったからむしろ恐ろしいくらいだよ。」


これが魔法かぁ。使ってみると楽しいし、もっと工夫のしがいがあるのは確かだ。これを創作意欲というんだっけ?


「これで後は、お金だね。早く冒険者ギルドの方で換金して貰っちゃおう。そして、宿の中で愛を確かめ」


「サーテ、出発ダー。」


「ちょっと!?それは、いくらなんでもヒドーイ!こんな美少女と泊まれるんだよ?手を出さなきゃ損だよいっくん。」


他の宿泊者のことを考えて下さい。後、僕はまだツカネさんに対して、likeの好きしか抱いてないんです。

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