第3話 創造魔法がヤバかった
魔法。それは基本属性だけではなく、もう1つの属性である派生属性を含めて魔法といえる。派生属性とは、いわゆる基本属性に当てはまらない魔法全てをひっくるめた用語であり、その種類は基本属性を軽く超えるらしい。
さて、そんな派生属性だが、僕の<創造魔法>もその1つで、効果は『魔力を消費して新しいものを何でも作る』という優れものだ。
「<創造魔法>は基本属性よりもイメージがより重要になるし、集中力も問われるよ。それと、1回も見てないものも創ることは出来ないことも弱点と覚えてね。」
これは裏を返せば、一回でも実物を見れば何でも創れるということだ。本当は構造が複雑であればあるほど、魔力の消費量もアップするのだが、この欠点については無限大のMPが解決している。
イメージはお家で作ってくれたビーフシチュー。お母さん特製の味がとにかく忘れられないし、そのおかげで創りやすい。魔力がごっそり持っていかれる感覚とともに、光は強くなり、そして、現われる。
「<創造魔法:ビーフシチュー>。」
両手に現われたのは2つのビーフシチュー。匂いは記憶通りのものだった。
「これが、いっくんのお母様が作っていたビーフシチューなかなかに美味しそうじゃん。さぁ、食べよう食べよう。ボク、もう我慢できない。」
「分かった分かった。僕も同じ気持ちだから食べようぜ。」
早速、一口。味も記憶通りだ。しっかりとしたコクも忘れずに入っているから、創造魔法は成功だ。お母さん、僕はこれからもしっかりと生きていくぜ。
「うわ、やっべ。美味すぎてスプーンが止まんねぇ。あ”-、ルゥが先になくなったぁ。パンがまだ半分も残ってるぅー。」
ビーフシチューはルゥとパンとの比率を重視しながら食べるものだよ、ワトソン君。だが、折角だ。もう1つ試してみよう。
「<創造魔法:餃子の皇将の豚キムチ>。」
はい。来た。これも僕のお気に入りだ。これぞ、天下無敵の餃子の皇将。中華を創造する際は、この店のメニューにしていくつもりだ。
「これ確実に美味いやつー。食べてもいいよね、いいや、食べさせて。」
勿論。この店の偉大さを知って欲しい。プロですから。すると、恐ろしい勢いで豚キムチは減っていき、あっという間に腹の中へと消えていった。女神をも虜にする餃子の皇将、恐ろしい子。
「ふぃー食った食った。<創造魔法>、改めて凄ぇだ。これ使えば当面は暮らせるよな?」
「いやー、最初の町まで何も無いと思って保険で追加しといたけど、大正解だったよ。いっくん、この魔法は気に入った?」
「ああ。ワクワクが止まらないよ。特に野営にはうってつけだ。」
というよりお金の必要性がこれで大幅減少した気がする。食材だけでなく、生活用品とかも覚えている範囲で創れそうだからマジで強力だ。ん?ならば、新しいスキルも創れるんじゃないか?よし。
「<創造魔法:鑑定>。」
...出来ちゃったよ。物事は試しとはよく言ったものだ。早速、鑑定していくと、色々な所に名称と説明が書いてある。例えば、あの赤色の樹に鑑定を使うと次のように表示される。
アカイロフォーチューネイト
赤色が特徴。毒性なし。加工方法は横にカットして、皮を縦方向に剥がすの2工程。作業工程がお手軽なため、よく家具用品として使われている。
さて次は人物相手に使おうと思ったが、女神様はやめておこうと思う。何だか、覗いてはいけない予感がしたからだ。ならば、こんなものも創ってみるか。
「<創造魔法:インターネット>。」
(インターネットは対象外なため、創造不可)
おや、NGが出た。これは一体?
「ああ、言い忘れたけど、構造が複雑すぎるものとかは創れないよー。今の所はギリギリで単純な造りの家までだから肝に銘じてねー。」
それを先に言って。インターネットならば、検索で1度も見ていないものを見て創れるかと思って期待していたのに...。チキショー。これじゃ、気になる漫画も見れないし、現代の武器も創れないじゃんか。
ええーい。こうなったら、やけだ。思いつくものを徹底的に創造してやるぅー。
「<創造魔法:アイテムボックス>。<創造魔法:アキュウエリアス>。<創造魔法:雷属性魔法>。<創造魔法:回復魔法>。<創造魔法:光属性魔法>。<創造魔法:闇属性魔法>。<創造魔法:HP自動回復>。<創造魔法:魔装>。<創造魔法:見聞>。<創造魔法:威圧>」
魔力がものすごい持ってかれる感覚がするが、我慢だ。MPはまだ残っている。これを耐えれば、より盤石な生活を得られるんだから。
「次回、いっくん死す。デュエル...」
「おい、やめろ!それ以上言うな。そして、心を読むな。フラグが立つじゃねぇか。」
だが、どれも創造可能なので遠慮無く創っていく。数分後、ようやく魔力が持っていかれなくなったので創造完了。最後の3つは毎週見ていた某海賊漫画のものを参考に創った。
「どうやら終わったみたいだねー。それじゃ、実践訓練行きましょうかー。いっくん、ここでじゃんじゃん稼いじゃおう。」
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