第11話 友人
***<冴無>***
「データは消すよ」
魔法少女スピカもとい、涼風さんに亀田と仲良く助けられた後、亀田と二人で帰り道を歩いていると、亀田が不意に口を開いた。
「ま、まじで?」
「うん」
亀田の表情は穏やかで、その言葉に嘘は無いように思えた。
おお……。
亀田が改心するとは、やはり涼風さんの女神の如き慈愛の精神がきいたのだろう。
流石は涼風さんだぜ!
「そ、そっか! それならいいんだ」
「うん。それで、さ。相談というか、お願いなんだけど……」
なぜかもじもじとしだす亀田。
何をお願いするつもりだろうか。
ま、まさか、涼風さんに恋に落ちたとか!? それで、俺にキューピッド役をやれとでも言うつもりか!?
うーん。正直、脅迫しようとした亀田を涼風さんにオススメはしにくいぞ。そもそも、俺も涼風さんと滅茶苦茶仲いいわけじゃないしな。
どう断ろうかと悩んでいると、覚悟が決まったのか亀田が俺に向けて口を開いた。
「ぼ、僕と友達になってくれない?」
「え、いいよ」
「本当!?」
「うん」
寧ろ、その程度のことならお安い御用である。
まあ、亀田の境遇に思うところがないわけでもないしな。それに、俺も学園に友達と呼べる存在はいない。
これからのことを思うと、涼風さんの事情を知っていて、涼風さんのことなら無償で協力してくれそうな亀田と仲良くしとくことは俺にとってもいいことだ。
何より、友達がいれば色々と学園生活が楽になる!
「あ、ありがとう」
「おう。まあ、お互い涼風さんに対して恩義がある者同士仲良くしようぜ」
「うん。あ、でもストーカーは止めた方がいいと思うよ」
「あれは誤解だからな!」
二人で笑いながら帰り道を行く。
涼風さんが少しでも幸せになることを祈ってたけど、結果的に俺も亀田も涼風さんのおかげで人生が好転してる気がする。
本当に感謝しかない。
それはそれとして、今度こそ俺も涼風さんの役に立てるよう頑張らなくてはな!
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