第2話 何が悪いってんだ!!!

「お前、もう学校に来るなよ…」


唐突に言われたその一言、口に出した人間は紛れもない私の学校の担任だ。私はその言葉を疑った。


「え、嘘ですよね?」

「今はテスト期間だ。こんな嘘を言うバカが居るか」


そう、眉間に皺を寄せて言った。


「じゃあ、どうして?」


意味がわからない。何を言っているんだ、この教師は。


「…お前、本当に分からないのか?」

「ええ」(なんか、前にも同じような…)


目の前にいる教師は心底驚いた顔をする。…なかなか表情豊かだな、こいつ。


「……だよ」

「……ってるんだよ」

「なんで…、なんで!」


「なんで、隣の奴の机に自分の(机)引っ付けて堂々とカンニングしてんだよ!?」


……え?こいつ、何を当たり前のこと言ってんだ?カンニングってなんだよ、俺がやってんのは戦術だよ戦術。これだからにわかは。


「はあ」

「いや、お前何に呆れてんだよ!お前が悪いんだからな?明らかに」

「………」

「………」

「…………はあ」

「ええ??これ、俺がおかしいの?」


お、分かってるじゃないか。そうだよ。君がおかしいんだよ、君が。やってんのは…あ、わ、私がやってんのは、な、何も悪いことじゃないんだ。な、わかるだろ?ね?こう、ね?


「…お前、何一人で会話してんだよ」

「黙れよ、かs…あ、ちょっと今考え事してて…少し静かにしてくれません?」

「いや、もう遅いからな?何、セーフセーフ、あっぶねえ…みたいな顔してんだよ。怪しいとかのレベルじゃねよ、バレバレだよ。バレバレ」


や、やめてよ。お、私だって頑張って生きてるんですよ!(あっぶねぇ…)いつも誰にも絶対わからないようなところで努力してるんですよ!あなたにわかりますか?私の苦しみが。悲しみが…。いや、そんな目で見ないでよ!?…


「……分かった。来るなとは言わない、だが…。……なんか、疲れた。もう、帰らせてくれ」


そう言って、鬼畜教師は席を立った。


お?


これは…?




「勝った…」




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る