信じたいなら信じればいい

町田 来夢(まーくる)

第1話 わざとじゃないんだよ …

「てめえ、いい加減にしろよ!」


 目の前にいる金髪の男がそう怒鳴り散らす。金髪に両耳についたピアス、胸元のボタンを開けズボンからはみ出たワイシャツ。そして少し焼けた肌…まるで、絵に描いた様な不良、チャラ男とでも言おうか。そんな人間が、続いてこう口にした。


「俺はもう学校に来るなと言ったよな?なのに何でてめえは何食わぬ顔で校内歩いてんだよ!」


 全くもって意味が分からない。いや、解ろうとしてないの間違いだ。私は現実逃避しているのだ。それもこの半年間ずっと、意味も無く …


 バンツツツツ!!!!


 きのし…、チャラ男は私の右肩を突き飛ばし、ゴミ置き…この世の資源の溜まり場へと追いやった。チャラ男は忌々しそうに私を睨み続ける。なんか既視感あるのは気のせいだ。絶対。


「私が何をしたって言うんですか!?」

「いや、お前まじで言ってんのか?」

「ああ」

「……」

「………え?」

「 ……だよ」

「ん?」

「……おだよ」

「はい?」


「お前の顔だよ!」


 おい、こいつなんて言った?私の顔って言ったか?自分で言うのはなんだが、中の上くらいだぞ?多分…。


「お前なんでいじめられてんのに笑ってんだよ??」


 ん?ああ〜、成程。そんなことで…、そんなこ…、そんな…。よし!聞かなかったことにしよう。うん、それがいい!


「うんうん」

「何一人で納得してんだよ!?」


 はあ〜、うるさいなあ。こっちには何も聞こえないんだよ。え?逃げるなって?いやwww逃げてなんか…、いや逃げてなんかないからな?これは逃げなんかじゃなくて、戦略的撤退(現実逃避)だ。いやマジで…


「……とにかく!明日からは絶対学校来んなよ?」

「………無理」

「……どうして」

「………どうしても」


 勘違いしないでいただきたい。別に何も言えなくなったからこんな語彙力になったわけではない。ほんとに、いや、そんな目で見ないで?泣いちゃうよ?


「はあ」


 お?


「なんか疲れた。帰るわ」


 これは…


「勝った…」


 こうして、主人公の物語は幕を開けたのだった。

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