第2話「うさぎのお姉さん」

…今日も一日が始まる

そんな中で四季とセレナは朝の支度をしていた。四季は店に。セレナは王宮に。そこはちっとも変わっていない


むしろセレナは嬉しそうにしていた。彼氏の四季の手料理が食べられるなんて思ってもいなかったからだ


セレナは朝ごはんの用意をやってくれて幸せそうな顔をしていた。当然四季も同じように食べる


ごはん、味噌汁、鮭の焼いたやつ。きゅうり…シンプルだがこうやってシンプルな料理を作るこそ難しい


「いただきます」

そう言って2人は食べはじめる。うん、美味しい。とても有意義な食事だった。セレナはこの食事が作るというのに惚れた部分ではあった

食べているとセレナは言う


「四季。今日はあまり遅くはならないわよ」

セレナが言うと四季も普通どおりに反応する

「うんわかった。僕は混んでさえいなきゃ遅くはならないさ」

四季が言うとセレナは思った


「でも、これから何が起こるかわからない。だって四季イケメンだしどこかとっつく人がいるんじゃないかしら」


唐突に何言うんだこの狐は。四季は困惑して言う

「あのねえ。セレナが大好きなんだからあまりそういう事言わないほうがいいよ」

そんなこと言ってもセレナは笑顔でいた。どういう事なんだろうか


「私も含め四季が好きになる要素っていっぱいあるから!今後どうなるか楽しみね!」


…このセレナという獣人は嫉妬とか病むという感情は無いのか?普通ならあるはず。こう見えて真面目であろう親衛隊隊長なのに…


もふもふしたしっぽが揺れ動く。ここは和を尊重した国。全くどういうことなのか…


2人は家を出てそれぞれの職場に。四季の場合大通りにある店が職場だ。一方でセレナは王宮を目指す道に職場がある


19歳と28歳。9も違う年の差はどう見ても不思議な雰囲気をしていた。まずはセレナのほうの職場へとむかっていった


そして王宮に着いた。セレナは名残惜しそうに四季のそばにいる

「そろそろね。応援してくれると嬉しいわ」

「もちろんさ。頑張ってねセレナ」


その言葉を言うとセレナすっと四季の唇を奪った。軽いキスだった

「頑張るわ!私の人!」


そう言うとセレナは王宮へと足を運んでいった。一方の四季は少し恥ずかしそうにいた

突然キスをされたら当然恥ずかしいであろう。ちょっと顔を赤く。そして誰かに見られたんじゃ。と思いつつ…


あれで一応王を守るという親衛隊隊長なので凛然たる職ではあるのだが、どうも本性は恋人といると色々と違うらしい


「…僕もそろそろ行かないと」

四季も職場へと向かう。大通りにあるためすぐであった


…四季は夕方、職場を出た。今日も一日働いたなあ…と思った


ここの料理店は昼はランチを提供する店だが夜だとバーになりまた違うスタッフが活躍する店となる


四季は元々サブの料理人のため朝近い昼と昼過ぎの仕事に就いている。午後を過ぎて17時台になると交代だ。四季の仕事はそれでおしまい


店を出て空を見上げた。セレナはまだ仕事をしてるだろうか。なにせ王族の警護だ。そう簡単には定時には戻れないのかもしれない


そう思って四季は自分の家へと帰っていった。…しかし、彼の後を付いてくる人がいた


とこ…とこ…人気がない場所へと行く。ここは住宅街。人が住む場所だ。そんな場所を歩いている


四季はふと気づいた。後ろに誰かいる。僕か?僕に用事があるのか?…いや気の所為か。そう思い歩く


とことことこ…やはり誰かいる。しかも僕の後ろをしっかりマークして歩いている。ちょっと怖くなってきた


思い切って後ろを向くか?いや、もし間違えたら恥ずかしい。だが、確実に誰かいる。速度を上げて歩く


とことことことこ。…もう我慢の限界だ。確定で誰かいる。四季は勇気を出して後ろを振り向いた


「…!」

そこにいたのはウサギの獣人。耳が大きく、灰色と白のもふもふをした獣人だった。おまけに女性なのは間違いなかった


四季が振り向いて確認するとその赤い瞳はきょとんとしていた。誰だこのひと?恐怖よりも疑問の頭が浮かんだ


「あのー。僕に何か用ですか?」

不思議そうに言うとこのウサギの獣人が初めて声を出した


「う、ううん!あまりにもイケメンだったからどういうとこに住んでるのかなーって思っただけ!」


…おいおい、それをストーカーと呼ぶだろう。逆ストーカーだなんて初めて聞いた。四季はこんな経験初めてだ


「申し訳ないですけど、僕は恋人がいるので意味ないですよ?」

四季は恐怖という感情が薄れてきた。四季はその獣人を良く見てみた


服はまるで水着のような格好だった。あれ。なんでこんな軽装なんだ?そういえばこの国は温かい気候だった

四季の住む国は基本的に温かい国なので露出が酷くなければ軽装である。セレナも実際あまり重装備はしていない


そんな彼も当然シャツに軽いズボンだ。つまりそういう国だ。このウサギの獣人もそうだった


恋人がいるということを言うとウサギの獣人は困ってしまった

「あ、そうだよね。こんなイケメンさん恋人がいないだなんて違うからね…!うん…」


そうは言ったもののその獣人は聞いてもいないのに自己紹介しようとした

「あたし人屋ミアっていうの。普段はホテルの受付嬢してるんだ。たまたま君がいたからどういうのかなーって思っただけ」


どういうのかなーとはどういう意味だ。怖くないし恐怖は感じないが警察に見られれば即尋問だと思うが…


「そうですか。僕はセレナという人がいるため駄目ですよ」

彼がそう言うと彼女は何かに反応した

「あー!セレナちゃん!」

「え?」


四季が言うとミアは説明しだす

「セレナちゃんあたしの友達!よかった友達がいて!」

言われると四季はぽかんとする


「い、いや…友達だからって今ミアちゃんがやったのはいわゆる…」

「あら?ミアじゃないこんにちは」


…!?いつの間にかセレナが四季とミアを発見してこちらにいた。ミアが言う

「あ!セレナちゃん!」

「え…?セレナ。この子…友達だって言うけど」


そう言うとセレナは何事もなく反応する

「そうよ~。ミアちゃんとは仲良しよ。もしかして私の彼氏を持って帰ろうとしたかしら?」


そうだよ思わず持ち帰りされそうになったよ…心でそう思った四季。しかしミアは言う

「うーん。持ち帰りたい!」


…直球すぎて草生えない。しかしセレナは決して怒りもせずに言う

「わかったわ!それじゃあうちに来てちょうだい!」

え!?うちに来るって…!


「わーいやったー!」

もうどうにでもなれ。そんなミアを連れて3人は家へと行く


ちょうど夕方すぎの夜近い時間帯。四季は疑問に思いつつ今日の晩ごはんを作っていた


さっきからセレナとミアは喋っていた。友達とは言えどこんな仲のいい2人だったとは思わなかった

                                         

「セレナちゃんこんな素敵な人見つけるなんてすごいね!」

「何言ってるのよ~。貴女ももしかして四季に惚れちゃった!?」

そう言うとミアは言う


「うん!とっても良い男性だよ!」

「あら~。仕方ないわね~。なら一緒に愛を育むとするわ」

…さっきから何を言ってる。とでしか言うしかない。ミアは言う


「うーん。好きすぎてたまらないね~」

「わかった!じゃあ半分半分で愛を育みましょ!」

「やった~!嬉しいなあ~」


だから何を言ってる。僕はあくまでもセレナが好き…いや、このミアも好きになるのか?


セレナがああ言ってる。でも僕はセレナのことを…そんなこと思いつつ四季は料理をした


料理が終わりゆったりとした時間帯。しかしミアはまだいる気でいた

セレナは酒を飲んでミアも酒を飲んでいた。四季はまだまだ未成年なのでジュース。セレナが言う


「ねえ四季。このミアなら惚れてもいいから貴方もミアが好きになりなさい」

…もう何言われても動じないことにした


「う、うん。ミアちゃん仲良くしようね」

そう言うとミアは喜んで言う

「嬉しいな~!じゃあ寝るときはセレナちゃんと一緒に寝よ!」


え?このまま泊まるの?四季はそう思った

「あらあら。なら私とミアで一緒に寝ましょう。ね?四季」

「う、うんわかった」


しばらくすると3人とも寝ることになった

四季を中心として右にミア。左にセレナが横になった。2人とも胸がでかいので四季の場合もんもんとしてしまう


「こ、これは困るなあ…」

「ねーえ、四季くん」

ミアが言って四季が反応する


「な、何?」

「あたし、貴方のこと好きになるからよろしくね」

好きと言われてもう何も思わないことにした


「う、うん。わかった」

そう言うとセレナが言う

「こう見えて甘えん坊だから…しっかりとフォローよろしくね私の人」

「…」


そんなこんなで今日は終わった。明日からまた誘惑してくる獣人がいるのか?

四季はそう思って今日という日を終えた



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