第3話「イルカのお姉さん」
…夕暮れ時。今日は四季もセレナもきちんと働いてちょうどいい時間に帰ってきた
今日は前に仲良くなったミアはいないらしく2人の時間ができたのは四季にとっては嬉しいことだ
しかし四季は思ったがあくまでも好きなのはセレナ。セレナ一筋で行きたいものだがこうなると困ったものだ
まさかハーレム?まるで夢物語みたいな話が出てきそうになる。だがセレナは決して嫌にしようとしていない
不思議と友人ならOKなのだろうか?セレナのコバルトブルーの瞳が優しく光りだす。とてもキレイな瞳だ
僕なんて茶目の色だしなあ…とは思った。しかしあのミアは赤い瞳でかっこいいとは思った。まあウサギだから。というのはある
そんな2人は買い物しようと近くのスーパーに来ていた。ここは種族関係無く集まる場所だ
四季とセレナは手をつなぎ買い物かごを持ってカートをひきスーパー内を歩いていた
「セレナ。今日は何食べたい?」
「そうねえ。やっぱり肉ね。狐は肉が好きなのよ!」
「わかった。じゃあ回鍋肉にしようか」
「わー!好きなやつー!」
四季よりセレナのほうが大きくて嬉しそうにぴょんぴょんと跳ねる。まるで前に会ったミアのようにウサギ跳ねをしていた
その反動で胸も大きく揺れ動いてた。四季は胸をあまり見ないようにする。むらむらしそうだ
スーパー内でゆっくりと食材を買い物かごに入れる。後適当にお菓子や飲み物などを入れる。これだけで十分だろう
ここまで買い物をすると惣菜コーナーで一人の女性が見えた。しっぽが魚のような形をしてるため恐らくイルカの獣人だろう
背が当然だが四季以上で黒いロングの髪がふわふわとなびいていて顔もどこか優しそうだ。セレナはすぐに気がついた
「あ。ネルさんだ!おーい海谷ネルさん!」
そのネルというイルカの獣人がこちらの声に反応して振り向く。彼女は薄らと笑顔をした
「まあ。セレナちゃんじゃない。ここで会うなんて奇遇なものね」
四季にはネルのことがわからない。セレナに聞いてみる
「ねえ、セレナ。ネルさんって?」
「ネルさん、私を務める王宮の料理人だったのよ。話も合うしとても良い人なの!」
なんと王直々の料理人だったとは…そんな顔をしていた四季。ネルは何食わぬ顔をする
「ふふふ…とは言えど今はそうでもないの。今はただのパートの三十路超えたおばさんよ」
お、おばさん?そんな雰囲気がしない。そもそも獣人自体歳をとったという感じがしないほど顔で判別できない種族だ
もれなくネルはイルカの獣人なので歳という雰囲気は一切ない。だから四季は困惑するしかなかった
おばさんと自分で言ってもそこまで嫌な顔せずにいるネル。ネルは言う
「私は…好きでやってた職業を自分自身で終えて今日は惣菜を買いたい気分だからね」
ネルは四季を見ながら言った。僕に向けて?セレナでは無く?四季は言う
「わかりました。ここで邪魔しちゃいけませんよね。失礼しますね」
「ええ。またねセレナ…ところでこのイケメンは誰?」
「この子は四季って言うのよ。イケメンでしょ!モテモテなんだから!」
そう言うとネルは微笑みを作った。この人、どこか儚げな雰囲気をしているが気の所為か?
「…ふふふ。わかったわ。ではね」
ネルが言うと惣菜コーナーから去っていった。そんなネルを見ながら四季は言う
「ネルさん…どこか悲しい雰囲気してるけど気の所為?」
そう言うとセレナは思い出したかのような事を言う
「ネルさんは旦那さんいたけど随分前に若くして亡くなってね。その思いがまだ引きずっているんだわ」
セレナに言われると四季は驚く。旦那がいたなんて?いわゆる未亡人と呼ぶ人なのか
「そ、そうだったんだ!…だからちょっと悲しい表情をしたんだ」
「私達を見て思い出して悲しい気持ち…だったのかしらね」
既にいないネルのことを思っていた
帰り。四季とセレナは買い物袋を持って帰宅していた。とても良い買い物だった
いつもどおり帰っていく。前みたく四季が歩いてたら後ろから誰か来たというのは…今のところ無いそうだ
ここの住宅街は何一つ犯罪も無い場所なので住みやすい場所ではあった。非力な四季にとっては嬉しい限りである
「心地いい空間だわ…」
「だね。とても良い環境で住んでいて嬉しいよ」
電柱には鳥の声がさえずりしている。たまにカラスがいる。それだけだった。2人は仲良く歩いていたのだが…
「…ねえセレナ」
「何かしら?」
四季は今思ったことを言う
「僕達の後…付いてくる人がいる」
「私達を?」
そう。後ろに誰かいる。こっちへ向かってる人が四季はわかっていた。
「いっせーのーで振り向かない?今回はセレナがいるから安心できるし」
「そうね。わかったわ。じゃあ…いっせーのーせ!」
2人は同時に後ろに振り向く。するとその人物は…
「あら。やっぱりバレたわ」
その姿と声ですぐにわかった。軽装な格好をして手にさっき買った惣菜を持っている、ネルである
「ね、ネルさん!?」
「まあネルさん。どうしてここまで?」
ネルであった。しかも彼女は笑顔で答える
「四季くんがとてもイケメンで私は気に入ってしまったわ」
なんという直球な答え。だがセレナはいつもどおり?に言おうとした
「まあそうなの。だったらうちにおいで。イケメンといると嬉しいでしょ?」
「ん、うんまあいいかな…ネルさん来てください」
またセレナはなんてこと言うんだ。前のミアとほとんど変わらない言い方をした
「わあ~。嬉しいわ~。セレナは違うけど四季くん、初めて会うのにこんな親しくしてくれて…」
そう言うと静かに四季の元に行き、なんと抱きついた。そんな行動で思わず声を上げる四季
「ぶわっ!?」
「ん~。イケメンの抱き心地はいいわね~」
このネル。意外と服から見るとおり巨乳である。その胸の大きさで極端な話、窒息しそうになる
「ちょ、ちょっとネルさん…苦しい…」
そんな光景だった。一方のセレナはニコニコしながら見ていた
家に付いて3人は仲良く喋っていた。ネルは今までの人生を語っていた。今日の晩ごはんは惣菜と回鍋肉で決定だろう
四季は料理しつつ、セレナとネルはテーブルで喋っている
「…私はね。旦那を亡くしてもう数年。未だに悲しい気持ちはあるわ。でも、まだ私にもチャンスはあると思うの」
悲しくも明るく振る舞うネルはとても前向きの人なのだろう。セレナは同感して言う
「チャンスなんてたくさんあるわよ。私だって四季っていう人に愛されたんだから」
四季と聞くとネルは喜んで言う
「四季くん…とても良い人だわ。きっと貴女の選び方が良かったんだわ。一目惚れしちゃった」
「あらあら!ならいいわよー。後で抱きついても構わないわよ」
そう言うと2人は笑い合う。四季は作りながら困っていた。ミアといいこのネルさんといい…
そういえば後から聞いた話だがミアはセレナの友人なので同じ年齢。28歳だった。しかし他の候補がいるだろうになぜ僕を?
しかもネルは三十路というのだから30歳以上は確定だろう。30歳…ちょうど良い具合で熟成されてとても良き女性だ
…なんだか女性に会ってから冷静になることが多い。多分これもセレナが歓迎してるからだろう
そんなことを考えつつ四季は食事を作っていた
食事は終わった。しかも全部完食していた。食べ終えた後ネルは四季に話しかける
「四季くんって年齢どれぐらいなの?」
「19歳です。一応仕事は料理人なんです」
そう言うとネルは嬉しそうな表情を見せる
「まあ!だから料理もうまくて顔がすごい良くて性格もいいのね!」
べた褒めされた。セレナは言う
「そうよ。だからこの四季に恋をしたの」
セレナが言うとネルは四季の顔を見ながらウンウンとうなずいた
「私は30歳だからこれ以上の愛はないかな…とは思ったけど…でも…四季くんなら悪くないかなって」
おいおい亡くなった旦那はどうするんだこの未亡人。でもようやくネルの年齢がわかった。30歳とは
「あ、あのー。亡くなった旦那のことは…」
そうは言うがこのネルという存在。しかしネルは前向きに言う
「決めたわ。私四季くんに付いていく。セレナちゃんもそうだけど、私だってもう一度やり直しができるから。よろしくね四季くん」
「…」
どういうことだろう。ミアに続いて今度はネルという未亡人に好まれた。これは何かあるんじゃないかと思った
「わ、わかりました」
「四季、幸せ者ね~。こんな人はいないから貴重よ」
「うん…」
結局ネルはそのまま帰らずに泊まることに。ベッドで真ん中に四季。左右にセレナとネルがいた
だいたいネルの大きい胸が四季の体いっぱいに感触がありむちゃくちゃ何かがこみ上げてきそうだ
もちろんセレナも胸が大きいほうだがネルと比べるとネルはでかすぎる。そう思った四季だった
「ねえ四季くん」
「なんですか?」
「私の胸に思いっきりひっついていいのよ?もちろんセレナもそうだし」
そう言うとセレナも言う
「ネルさんの胸、とても大きいから安眠できるわよ」
「わかったよ…」
3人はゆっくりと寝静まった
ミア、ネルと続いた自分では予測不能のハーレム状態
明日は一体どんな人が来るんだ?四季はあまり考えつかなかった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます