第八章 別れ 2

「うえっ・・・うぎぃえーん・・・・」

僕の泣き声が公園に響いていた。


何人かの小学生が何ごとかと、遠巻きに見つめている。

中学三年生なのに、人目もはばからずに号泣していたからだった。


吉川さんは何も言えず、僕の泣き顔を見つめていたらしい。

不意に、僕の身体を強い力でギュッとしてくれた。


身長150㎝の僕は子供のようで、彼女の胸にスッポリ頭がおさまる。

まるで母親の如く、僕は甘えるように身体を預けていた。


だって、これで二人は別れるのだから。


彼女の父は外交官で。

中学卒業のあと、ヨーロッパに旅立つ。


永遠の別れではないけれど。

再会できる日は遠い。


大好きな女の子の前で。

僕は彼女から告げられた残酷な話を疑いもせず、泣きだしたのだ。


こんな情けないヤツ。

嫌われると思ったけど。


春間近の公園で。

薄い西日が差すジャングルジムの前で、彼女は、由美はギュッとハグしてくれたんだ。


10年前。

切ない日の思い出が今、僕の脳裏に蘇っていた。


※※※※※※※※※※※※※※※


コンテスト用に投稿してあるため、字数の関係上一旦、ここで終わりになります。


この小説は下記とリバーシブル形式になっていますので、続きが気になる方は御読みくださると、幸いです。


「私が小さな男の子を好きになった理由」は下記のリンクで移行できます。


是非是非、どうぞ。


https://kakuyomu.jp/works/16816927862928745200


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