第三章 キッカケ
僕は吉川さんが好きです。
何度、呟いたことだろう。
心の中で。
吉川由美の良いところ。
背が高い。
他の奴らは、小さい子が好きみたいだけど。
僕は吉川さんのスレンダーで、カッコいいスタイルが大好きだ。
僕と真逆だし・・・。
切れ長の目。
大人っぽくて、凄く・・・好き。
あとは、そのぉ・・・。
体育館の2階から眺めていると、山田が言うんだ。
僕がいつも思っていることを。
「西島は、吉川が好きなんだろ・・・?」
意地悪そうな笑みを浮かべて、山田が呟く。
隣りで、赤石もニヤついた顔をしている。
僕達三人は、腐れ縁だ。
修学旅行でも、お互いの好きな子を告白しあっている。
最初は赤石と山田。
僕が寝ている間に、お互いの手の平に女の子の名前を書いたりして。
後から、僕も仲間に入れてもらった。
「赤石は、園田さん・・・・」
「図書委員だから、ここにはいないけどね・・・」
まったく。
背後では、二年生達が必死で練習しているというのに。
でも、ヌルヌルの時間が凄く、愛おしい。
死ぬほど練習し続けた二年半。(文字通り)
真夏の坂道をダッシュ。
しかも、パートナーを背負って。
少しくらい、楽しても良いよね?
そうそう、話が途中だった。
吉川さんの好きなところ、それは・・・。
「反則だよなぁ・・・」
山田が、それを言葉にする。
「あの・・・胸・・・」
そこまで聞くと、僕は顔を真っ赤にして山田の足を踏んだ。
「いてぇっー・・・」
大げさに悲鳴をあげるのは、いつもの御約束だ。
「ハハハハハ・・・・」
三人、揃って笑い出す。
今から思うと、本当に幸せな時間だったんだなぁ。
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