ダンジョンで襲われてる人達を助けたら学園アイドルに囲まれた

第13話 幸月の力の一端

沢田先生と信志と一緒に子供達と遊んでいた。

信志のスマホがなったのをかわぎりに一度休憩がてら集まる。

何と無く気になって信志を見ると焦った顔をしていて、俺は直ぐに確認に近づく。

「どうした？焦った顔して。」

「いや、それがさ…彩花から救援要請が……」

それを聞いて俺は直ぐに意識を切り替える。

「何処だ？ここから近いのか？」

「あぁ…うん…えっと…」

「信志！！近いのか？遠いのか？！」

「車で30分位の所のやつ！後で合流するつもりだったんだ……どうしよう…どうしたら良いんだ？！」

「俺が走る！俺が走れば車を捕まえるよりは早い！だから俺が行く！スマホに写真だけ送ってくれ！絶対に見つけ出して助けるから！！」

「柊羽！！頼む！彩花を…頼むよ！」

「任せろ！！先生！また今度！皆もまた今度な！」

「頑張ってね！お兄ちゃん！」

「いってらっしゃいっ！」

皆の声を背に俺は孤児院を飛び出し直ぐに全力で走りながら飛んでいく。

「捕まるかも知れねーけど知った事か！兄貴の為だし構うか！」

家の屋根、建物の屋上を飛び跳ねながらトップスピードで一気に駆け抜けた！

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SIDE　幸月

「幸月さんこっちは準備良いよー。」

「はーい。優理ちゃんは？」

「こっちも良いですよ。それにしても…ここで救援要請って言うのも変な話ですね。」

「うん、初心者なら分かるけど違うんだよね？」

「らしいよ。詳しい内容は分からないけど救援要請が届いたのは間違いないから急ぐのだけは変わらないよ。」

「そうね！行こう！」

「GodDessの皆さん！宜しくお願いします！ゲートは何時でも！」

職員さんに促されて私達はゲートに向かう。

３人で話しながら進んでいると、バタンッ！と大きな音を立ててギルドに入って来る人……柊羽くんが現れた。

「柊羽…？何で？」

優理ちゃんが現れた柊羽くんを呆然として見てる。

「はぁ…はぁ…何でも…良い…！剣を！」

「ちょ、ちょっと！？柊羽？！いきなりどしたの？！」

「職員さん！何でも良いから！俺に剣を！刀とか言わない！剣を貸してくれ！」

「ぇ…？えぇ…？「早くっ！！！！」は、はいっ！！！」

「柊羽くん、どうしたの？今日は孤児院に行ってるんじゃ？」

私は近づきながら話しかけるけど、柊羽くんは私達を一切気にしてないし見ても居ない。

「お、お待たせしました！こんなのしか無いですけど…」

「急いでて持って来なかったので借ります。壊したらごめんなさい。このまま入りますね？」

「え？！いや！今は駄目です！救援要請が出てて！」

「知ってる。それを助けに来た。これ以上は時間の無駄なので説明は後でお願いします。」

ずんずんとゲートまで職員さんの声を無視して柊羽くんが進んで行く。

「た、助けにって…え？何で知って？」

職員さんの声を無視して進む柊羽くんの姿を私達も顔を見合わせて一度頷いた後に追いかける。

「柊羽！私達も一緒に行くから！ギルドからも依頼受けてるし！」

「そうだよ！柊羽くん！一人で行かないでよ！」

優理ちゃんと茉奈ちゃんの二人が声をかけながら追いかけるのを私も追いかける。

「着いて来るのは構わないけど、邪魔するなよ？それと追い付けないなら置いて行く。」

それだけ言ってこちらを一切振り向かずにゲートをくぐって柊羽くんは中に入って行った。

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「邪魔。」

ザシュッ！と向かって来た魔物を一閃の元に切り伏せる。

前に現れた奴は問答無用で切り捨てて、複数沸いてるのは必要な分だけ斬り捨てて……幸月さんも優理も茉奈も気にせずにどんどん進んで行った。

「速いって！柊羽！待ってよ！」

「容赦無いとこんななんだ…柊羽って何でそこまで急いでるの？」

「柊羽くん！少しは説明を！！！」

煩い…邪魔するなって言った筈なんだけどな？追い付けないなら置いて行くとも言ったぞ？俺。

「後で。追い付けないなら置いて行くって言った。俺は俺の目的で急いでるから。ハァァ！！！」

ズシャァァっと一気に複数の首を刎ねて道を開け、一気に進んで行く。

「ちょっ？！ちょっと！？柊羽くん！！！」

一切、止まらず階層を進んで行き一度、俺は止まる。

「はぁはぁはぁはぁ…速過ぎるって…」

「何…をそん…な…に急いで…るの？」

「はぁふぅ…はぁはぁ…いち…おう…信号…はぁぁぁ…届いたのはこの階層だよ、柊羽くん。」

「教えてくれてありがとう。ここか…何処だ…何処に居る…」

優理と茉奈、それと幸月さんが何とか着いて来た。

結構全力で走ったし雑魚も処理して来たのに、追い付いて来たのは流石って所か。

「どの辺か分かります？幸月さん。」

「えっと…奥の方かな…行き止まりの所って感じだと思う。信号の発信位置的に。」

逃げながら奥に行ったって感じか？それなら最悪も想定しないとだろうな…くそっ！

スマホを取り出して、信志から送られてきた二人の２ショットを確認して居ると息を整えて優理も茉奈も幸月さんも側に来て覗き込んできた。

「わぁっ。綺麗な人とイケメン。この人達は？」

「女の方が俺の目的。男の方は兄貴分。」

「兄貴分？どゆこと？」

「詳しくは後で。兄貴分は信志って言うんだけどこの女性は信志の恋人で、今回のターゲットの一人だ。頼まれて助けに来た。」

「そっか…それなら任せて。柊羽くんに私の力を見せてあげる。」

「幸月さんの力？」

「イリュージョン・ステップ……お願いね？」

「光る蝶？」

幸月さんの言の葉の後に光り輝く蝶が現れる、その蝶は俺の周りを飛んだ後に真っ直ぐと一定の方向に向けて飛んでいった。

「これが幸月さんの力、私達がギルドから救援の依頼を受けた理由と優先して受けられる理由なの。」

「相変わらず綺麗…よし！柊羽くん！アレを追いかけて！」

「追いかける？」

「そう、私の能力の一つ。光の蝶で探し人の元まで飛んで行くから、追いかけるだけで良いよ。」

「分かった…幸月さん、ありがとう。」

飛んで行く蝶の後を追いかけながら俺は態度を謝り、それと疑問も聞いた。

「３人共…ごめん、俺の態度クソだった。それと…見た目は変わらないんだ？」

「焦ってたのは分かるから良いよ。寧ろ柊羽にもそんな部分あるんだって分かって良かったし。」

「そうそう！柊羽くんにもそうやって必死になって焦る様な相手が居るって事が嬉しいよ。」

「蝶を出しているだけだから、観月の時みたいに姿は変わらないよ。もっと開放すれば別だけどね。それと気にしないで、二人と同じで柊羽くんにも大切な人が居るって分かって嬉しいから。」

「ありがとう…３人にも…てか皆にか、紹介するよ今度。俺の兄貴分と母親代わりをしてくれた人。」

「「「うんっ！」」」

それから、暫く走りながら蝶の後を追いかけた…そして…

「居た！居たけど…ぇぇぇ…」

「うへぇ…無事っぽいけど…まじかぁ…」

「うぅぅ…」

まぁ…そうなるよな…これは流石に…取り敢えずだっ！

「えっと…これはどう言う……？」

「取り敢えず殺します？」

「うん…殺そう！気持ち悪いなんてもんじゃない！！」

借りた剣でミノタウロスの首を一閃………ドンッ…ゴロゴロゴロ……と無造作にダンジョン内に首が転がりぶしゅぅぅぅぅ…と鮮血が降り注いだ。

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SIDE　彩花

「と、言う訳で彩花さんですよね？信志の恋人の。」

「う、うん…シュウくんだよね？」

「はい、初めましてシュウって名前で活動して篠崎柊羽って言います。不知火信志の弟分って感じかな…」

「何時も良く話を聞いてるよ。手の掛かる弟分が居るって。それでも自慢の弟だって言ってる。」

照れくさそうにしてるシュウくんに信志くんが何時も自慢してるのを教えると更に照れくさそうにして、歳相応で可愛いと感じた。

「うっ…ご、ごめん。ちょっと限界…」

身体に毒が回ってる事、忘れてた…結局直ぐに私も里香も沙羅も助かったって安心感も合って力が抜けて座り込んでしまう。

「どうしたんです？脂汗？が酷いし顔色も…」

「そいつらの武器に…毒…塗ってあった…みたい…で…死ぬ様なのじゃ…無いとは…言って…た…けど…」

「チッ。毒か…回ってるのを考えるとこのままって訳にも行かないか…どうすれば良い…」

「ご、ごめんね…折角…助け…」

「取り敢えずもう話さなくて良いです。少し抱き上げますけど許してくださいね。優理！茉奈！幸月さん！抱えて移動しよう！」

GodDessにも迷惑かけてるし私達…本当に最悪…

「セーフエリアまでお願いね、イリュージョンステップ。」

綺麗…光る蝶かな？何だろうあれ…幸月ちゃんの力？あぁ…駄目だ…意識が…

私は、シュウくんとGodDessの登場で完全に気が緩んでそのまま気を失った。

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「脈はある、荒いけど呼吸もしてる。気絶しただけか…とは言え…」

「彩花は…？」

「気絶しただけだと思うけど、解毒も急がないと…皆さんもだけど…」

「私達は、まだ動けるから…移動…するなら…しよう…？」

コクリと俺達は頷き、俺が彩花さんをおぶって、沙羅さんを優理と一緒に支えながら歩き、茉奈と幸月さんが里香さんを支えて歩いた。

「柊羽、大丈夫？無理しないでよ？」

「平気、優理も支えてくれてるしな。早くセーフエリアまで行って何とかしないと…」

「それは私に任せて！この程度の毒なら何とでもなるから！」

「何とかって…？解毒剤とか持ってるの？」

「違う違うっ！持って無いけど私はある物を持ってるからねっ！」

幸月さんが持ってるある物……

「あぁ！まさか…本当に…？」

「うん！って事で急ぐよぉー！」

幸月さんの持つ力とは別の持っている物。

それは……かつて軍勢を病魔から救った逸話のある物。

眉唾物だけど、今はそれに頼るしか無いのも事実…だから…

「急ごう！幸月さんを信じるから任せた！兄貴の恋人をその友達を助けて欲しい。」

笑顔で頷いた幸月さんを信じて俺達は一番近くのセーフエリアまで急いで移動した。

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