第5話 頭おかしいんじゃね?
さて…生放送で大掃除宣言をした後の神代家で、色々な事を話している内に神代家当主と奥様と帰宅した事でダンスホールか?ってレベルのリビングで顔を合わせている。
「篠崎柊羽くんだったね。娘達を助けてくれて本当にありがとうっ。」
「いえ…偶々そうなっただけなのでお気になさらず。」
「そうはいかないさ。大切な娘達を救ってくれたのだから何かお礼をしないとこちらの気が済まないからね。」
まぁ…それはそうだろうけどね。
とは言えなぁ〜…
「と言う訳でだが、幸月で良いかい?長女だしそれとも同級生の観月にするかい?もしくは紗月かな?もしくは正妻は幸月にして、妾として観月と紗月も娶るかい?」
「何の話ですか?」
「だからお嫁さんは誰が良いかな?と聞いてるだよっ。」
「頭おかしいんじゃね?」
「「ブフォッ…」」
俺の無遠慮な返答に話を聞いてきた優理と茉奈は吹き出して口を手で押さえてる。
「いきなりなのは分かっては居るが娘達が望んでいてな。こちらとしても柊羽くんみたいな子は取り込みたいからね。」
「はぁぁ…仮に彼女達が俺に対して感情を持って居たとしても、それは唯の吊り橋効果でしか無いですよ。一時的なもので直ぐに目は覚めます。お礼と言うなら配信機材を戴いただけで十分ですよ。」
「家の子達の命がその程度で釣り合う訳無いだろう?」
「それは、まぁ…とは言え…過剰ですよ。何よりも当人達の気持ちを無視したのは宜しく無いでしょう?それに…」
チラっと優理と茉奈を見ると二人共、俺を見詰めている。
「それに、神代家から大きすぎるお礼を受け取ったら、優理と茉奈はどうなります?同じように助けられた二人は?神代家と同じレベルのお礼を用意出来るんですか?仮に出来たとしても、俺がご当主の言う通り3人を妻に迎え入れたりしたら優理と茉奈の二人も同じようにしないと、釣り合わなくなるでしょう?俺は‥‥神代3姉妹と優理と茉奈の人生が欲しくて助けた訳では無いんです。」
「それは…確かに…」
「神代家としては、俺の能力?強さ?良く分かりませんけどその辺が欲しいと判断したんでしょうけど、昔の貴族じゃ無いんだからあふぉな事言わないでくださいな。」
「ふむ…それでは法律を変えよう!ダンジョンのせいで男女の比率も変わってしまったから一夫多妻、一妻多夫にするべきだと声も出て居るからね。神代家の力を使えば、変えられるだろう!うん!そうしよう!そうすれば、私の娘達も、優理さんも茉奈さんも、柊羽くんのお嫁さんに出来るからね!」
「頭おかしいんじゃね?」
「ぶふぅっ。もう…柊羽さぁ…真面目な話してるんだからふざけないでよ?」
「はっきり言い過ぎでしょっ。くくっ。我慢するの大変なんだからね?!」
と、言われてもなぁ~…頭おかしいだろう?って感想しか出てこないわ。
「柊羽君、神代家は何故か女家系なのね?だから、何時も婿を迎えてるの。」
総当主である、お婆さんが俺に話しかけてくる。
「だと言うのに、今代は3姉妹だから下手に3人が3人とも婿を迎え入れたら、後々問題が起こりかけないの。」
「だとしても、それは俺には関係無いですよね?争いになるなら争わせれば良いでしょ。それで滅ぶならそこまでって事ですし。」
益体の無い俺の言葉に困り顔でお婆さんは眉間を押さえてる。
「更に言うなら、女家系だと分かっているのに3人も作ったご両親の問題でしょう?どうせ、男の子も産まれると簡単に考えてでしょうし。」
俺の言葉に3姉妹のご両親は気まずそうに眼を逸らす‥‥
「それを言われると、言い返せないだけど…」
「はぁぁ…もう良いです。お礼は言葉と機材で充分なのでこれでお暇します。ありがとうございました。」
引き留める声も聞こえるけど俺は無視して部屋の外に出る。
そんな俺を追いかける様に優理と茉奈、3姉妹も追いかけて来る。
「お兄さん…怒ってる?」
「いや…怒っては居ないけど呆れてるかな‥‥自分の娘を何だと思ってるんだか…」
「本当にごめんね?私達からも言っておくからさ。そりゃ〜…確かにシュウくんがお婿さんに来てくれたら私も嬉しいけど…」
「とは言え、こんな形でのは流石にですね。結婚するなら愛し合ってる人としたいですし。」
「お金持ちの考える事は分からないって事で…」
「この後はどうするの?」
「んー…何か食べに行くのも良いけど節約しないとだしな〜…自炊かなぁ〜。」
「それなら今日は食べに行こうっ!お礼の一環として奢るからさ!ね!」
「いや、でもそれはさぁ…ん~~~~‥‥お礼を受け取らない訳にも行かないって言うか、納得しないか‥‥分かった、ご馳走になるよ、優理。」
「勿論、私も出すからねー!いこっ!いこっ!」
「茉奈もありがとうっ。幸月さん達はどうする?」
「勿論、付き合うよっ!いこっ!」
美人3姉妹と、優理と茉奈の5人に連れられて道行く男共の怨嗟の視線を受けながら歩いて行った。
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SIDE 神代家
「それで、印象はどうでした?」
幸月達も一緒に紫崎くん達と出掛けたのを確認した後、総当主でもある義母に篠崎くんの印象を聞いてみる。
「そうねぇ、真面目な子かしらねぇ?それと私達に怯む事も無くツッコんで来る強い心もあるみたいですね。」
「そうですね…敢えて3人を妻にと言っては見ましたが…まさか頭おかしいんじゃね?と返って来るとはっ。」
思い出して笑いながら面白い子だと思う。
「アレにはびっくりしましたよ。でも、変に遜って来るような輩や、媚びを売って来る輩と比べたら私は好印象ですよ?」
妻が楽しそうにそんな事を言って来る、そこに関しては私も同意見ではあるが…
「何にしても神代としては彼を取り込むって言い方は悪いわね…幸月か、観月、紗月の誰かが恋仲になってくれれば嬉しいんですけどね。彼なら大切な孫も任せられそうです。」
「それは、そうですね。父としてもそこは同意見ですね。」
「んぅ~…それとも本当に法律変えちゃいます?」
「おいおい…今度こそ本気で頭おかしいって言われるぞ?」
「でも、あんな息子なら欲しいわぁ~。」
はぁぁぁ‥‥随分気に入ったみたいだな…それにしても、凄い技だ…どうやってるのか全く分からない。
「斬撃に斬撃を重ねる…言ってる事は分りますけど、理解出来ませんね…まるで魔法です。」
「神代が魔法を疑うと言うのも変な話…大昔から神の依り代として神事を行って来た家なのにね?それにダンジョンが現れた事で魔法と言える力を使う人すら出てきたりもして居るし、神秘が表に出てる時代ですよ?」
「まぁ…そうなんだがな。」
問題は…早速真似をした探索者が誰一人再現が出来なかった事。
固有の能力と言ってもおかしくない…アレを幸月達が使える様になればとは思うが…難しいか?
「何にしてもあの子達には頑張って貰いましょう。さっきも言いましたが恋仲になってくれたら嬉しいですし、篠崎くんの後ろ盾に神代家が付けば馬鹿も減るでしょう。」
「その為にも大掃除をしっかりと熟しましょうね。先ずはそこからです。」
そうだな…幸月達も優理さん達もそうだが、気持ち悪い犯罪者達を処分するところからだな。
神代であるあの子達と普通に友達になってくれてるんだ、そんな子達だって守る対象なのは変わらない、あの二人に何かがあれば娘達も悲しむだろうからな。
「これから、忙しくなりそうだ…」
娘達が彼と恋仲になる事を楽しみに話してる義母と妻の話を聞きながら、私の呟きは部屋に消えて行ったのだった。
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