第4話 お膳立ての放送と大掃除
何で俺はここに居るんだろう?
気付いたら、運ばれてるしめっちゃ機材があるし…
「さぁ!配信しましょう!!雑談配信!」
「誰が?GodDessのを見てれば良いの?」
「ちがーう!!柊羽君のだよ!柊羽君がだよ!」
ぇー…需要無いでしょ…登録者も居ないしさぁー。
「良いね!幸月さんナイス!今の柊羽くんならめっちゃお客さん来るよ!バズってるし!」
案の定…学校はそのまま休みになった後、神代家に拉致されて優理と茉奈も着いてきて神代家の当主…3姉妹のご両親が帰ってくるまで時間を潰す事になった。
それもこれも、昨日のお礼の為らしいが今朝の話は本当に本気だったらしい。
「え?俺バズってるの?」
「気付いてないの?柊羽。登録者とか凄い事になってるよ。」
「何で…?」
「寧ろ何でバズら無いと思ってるのよ?あんだけの事しておいて。」
「別に、デュラハン倒して助けただけじゃん…」
「そ!れ!が!ヤバいの!死ぬ筈だったのにあんなに簡単にだよ?バズら無い訳無いから!」
「ぉぉぉ…登録者数とか再生数とかヤバい事になってる…ほぇ〜…凄いなこれ…」
「何でそんなに他人事なの?お兄さん。」
だって実感湧かないもん。そりゃ他人事にもなるっての。
「それにほら!コメントも配信希望って沢山あるでしょ?だからやるなら今なの!」
「ぇ~…めんど…「と言う訳で開始!」…ぉぃ…」
:きた!待ってた!
:真っ昼間だけどきたー!
:学校は?!俺も仕事だけど見るわ!
:GodDessとの関係は?
:嬉しいけど何でこの時間?
:昨日の件で逮捕者出まくってるの笑うw
「あ、あれぇ〜?何でこんなに人が?」
:戸惑ってる戸惑ってる!
:そりゃ来るよ!あの戦いヤバかったし!
:もしかしてバズってるの気付いて無いん?
:幸月様達との関係はよ
:ユニコーンは無視して良いからあの戦いの事教えて!
「えっと…皆さんこんにちわ。学校は問題が起きまして休校になりました。」
:問題って?何があったの?
:まさかユニコーンに襲撃された?
:観月様とどういう関係よ?
「何か制服を着た不審者が剣を抜いて襲いかかって来まして…警察沙汰になってしまって…」
:マジか!剣を抜いてって事は探索者か?
:少なくても資格は持ってるんだろね
:まーでもそんな事したなら人生終了だから一般人、探索者とか関係ないな。
:もしかして…優理様とかの呟きのやつ?
:紗月ちゃんに手を出してんじゃねーよ!
「ですです。その結果で休校に…そんな訳で幸月さん達にバズってるのを教えられて急遽おこなう事に。」
:何にしても助かる!聞きたい事もあるし!
:そうそう!デュラハンの時の何だったの?!
:斬撃に斬撃をってどゆこと?!
:何でその発想になったの?!
:俺の優理に近づくな!殺す!
「えっと…デュラハンの時のは、ただ避けていただけですね。動き回ると疲れるだけなので円移動で全て避けたってだけです。」
:…はい?…はい?
:言ってる事は分かるのに理解出来ない…
:円移動で何で避けれるの…
:ふざけてる?真面目に聞いてんだけどこっち…
:どうしたらそんなに強くなれますか?!
:彼女はいますか?!
「真面目に答えてます!あのスピードなので無駄に動けば動くだけ体力は消耗するし隙も多くなるので、ダンジョンで戦っている内に身に付いたんですよ。」
:いや…だって…斬る、突く、払うってあるんだぞ?それを円移動だけで?
:確かに仰け反ったりもしてるけどやろうと思うか?普通。
:無駄な体力は減らなくても神経はすり減るだろそれ…
「それで、斬撃に斬撃を重ねるってのは、ダイアモンドゴーレムを斬れなかった事があってそれで思いついたんです。」
:どういう事よ!
:深層のモンスター相手に思いつくってさぁ〜…
:何で出来たの…?
:茉奈と関わるな!クソムシ!
「ダイヤモンドって確かに硬いですけど衝撃には弱いのは分かってると思います。」
:まぁ…せやな…
:確かにその弱点はあるけども…
:後は燃やす事位だよね?弱点。炭素だし
:おい!!無視してんじゃねーぞ!死にたいのか?!つか殺すわ!
「なので衝撃に対する反射を利用してダメージの全てを通すにはどうすれば良いかって考えた時に斬撃に斬撃を内包してしまえば…一撃目のダメージは抵抗力に軽減されるけど内包された分のダメージの全てが通る訳です。」
:言ってる意味は分かるんだけど…理解がどうしても…
:殺す殺す殺す殺すころ(ブロックされました)
:ユニコーンキモイ…捕まらないと思ってるんだろうなぁ〜…
:てか誰がブロックしたんだ?今。
「あ、ありがと。邪魔だったから助かったよ。」
「いえいえ〜!」
:誰かいるwww
:今の声は紗月ちゃんかな?
:っぽかったけども。てか何処から配信してるんだろ?今更だけど
:まさか…まさかww
「え〜っと…はぁ…今は神代家からの配信になってます。」
:お持ち帰りキターーー!
:ふざけるな!コロス!コロス!コロ…(ブロックされました)
:孤児無勢が!GodDessと関わるな!!!
:まさか!まさか!6Pっ!!(
「はぁ…あのねぇ…遺産って言葉知ってますか?」
:は?馬鹿にしてんのか?最底辺孤児がよ!
:ニートが何か吠えてますねぇ~…滑稽ですわ
:あぁ…そう言う事…そらそうだわ…
:あれ?それなら無理に篭らなくても良いのでは?
「うん、まぁでもね?今から使ってたら将来困るでしょ?それに確りと受け取れるのって成人してからになるからさ。とは言え…それとは別に使えない訳じゃ無いのよ?だから…暴言、殺害予告等々を発言したユニコーンは片っ端から告訴して行くので悦んで待っててなー。」
:ユニコーンオワタwww
:そんなん出来る訳ねーだろが!嘘ついてんじゃねー!
:観月:神代家で動いて居ますので誰一人逃がしません
:幸月:丁度良いので気持ち悪い犯罪者予備軍は全て処分しますので悦んで待っててくださいね?
:紗月:望みが叶って良かったね!おめでとー!
:YuuRi:命の恩人に対する暴言、態度、一切許しません
:MaNa:今まで何度もずっと我慢してたけど今回からは徹底的に処分していくかんねっ!
「なぁ?文字に残す意味はあるか?声出せば良いやん。」
「それはそうですがこれも証拠ですよ。言った言わないの無駄な争いを無くす為です。」
:もしかして…皆居る?
:GodDessの勢揃いかぁ〜!
:神代家って言ってるしそれも当然か
:すいません!すいません!許してください…
「今日は挨拶変わりなのでこの辺で終わりにしますね。神代家に居るのもお礼の為に呼ばれたので…別にいらないんですけどね…」
:聞いてますか?許してください…
:本当にごめんなさい!家庭があるんです!
:ごめんなさいごめんなさいごめんなさい
:必死過ぎて芝生えるw
:てか他の配信者も同じ事やるべきだよなー
:だなーニートのキチガイ多いんだしな
:部屋からも出れるから良い事尽くめじゃね?w
:それは確かにww
:すいませんごめんなさい勘弁してください高校生の娘と中学生の娘も居るんです!
「と言う訳で色々と準備して貰えたのでこれからは色々やって行きたいと思ってます。応援よろしくお願いします。」
:無視すんじゃねーよ!殺すぞ!!!
:クソガキが!家庭があるって言ってんだろ!!てめーのせいで壊れるだろが!!!
:自分の親が女子高生の尻追いかけてるとかくっそ引くわ…
:私の父親がこんなだったら身の危険感じる…絶対その内レイプされる…
:キャバクラとか風俗より質悪い…マジキモイ…
「と言う訳でお疲れ様でした。またよろしくですっ。」
ぎゃーぎゃーうるさいのも多かったが俺はサクッと生放送を終えて神代三姉妹と優理と茉奈の5人を見る。
「お疲れ様、柊羽。酷いの多かったねぇ~…」
「ほんとに気持ち悪いったら無いね。まぁでも、時間はかかっても一掃出来るから良いけどっ。」
「そうですね。犯罪者予備軍ばかりですし居ない方が良いです。」
「んじゃ!両親が帰って来るまで鍛錬でもする?潜らないなら鈍るでしょ?」
「鍛錬できる場所まであるんかい…神代家怖いわ…」
「怖がらないでくださいー!お兄さんなら何時でも使って良いですからねっ!」
そんなん出来るか…てかもう来る予定もねーよ…
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とある社会人
神代家が動き始めてから数週間後
「おはようございます。」
「うわ…来た…」
ひそひそとあっちこっちで自分に向けた小さい話声が聞こえて来る。
「何なんだ?一体…」
自分のデスクに着き荷物を置いて仕事の準備を進めていたら自分に近寄って来る気配に気付く。
「部長!おはようございます。何かありましたか?」
「直ぐに着いて来なさい。社長がお呼びだ。」
「自分をですか?一体何が…?」
「身に覚え位あるだろう!早くしろ!」
「は、はい…分かりませんが分かりました…」
何なんだ?社長に呼び出されるような事を何かしたか?
部長に連れられたまま社長室に着き部屋の中に入ると、難しい顔をした社長と…専務と…会社のトップが居る。
「来たか…いきなりだが今日限りで辞めてもらう。直ぐに荷物を纏めて出て行きたまえ。」
「え?行き成り何故ですか?」
「何故だと…?こんな事を仕出かしておいて!良くもまぁ、言えたな貴様!」
バサッと足元に何かの書類が投げ出される。
それを拾い上げ読み進め…顔が真っ青になった…
「こ、これは違うんです!冗談で!唯のノリで!」
「良い訳は聞かん!!!今の貴様はただの犯罪者だ!社にいられるのは迷惑以外何もでも無い!現時刻を持って解雇する!早く消え失せろ!」
GodDessと一緒に配信をしていた篠崎柊羽とか言う孤児に対しての暴言…殺す等の殺害予告…それらに対する告訴状…本当に訴えてきやがった!!
「よりにもよって神代財閥も敵に回しおって!神代財閥に睨まれたら我が社等、簡単に消し飛ぶ!貴様程度を切り捨てる事に何ら迷いはない!早く失せろ!」
何一つ言い訳すらも聞いて貰えず部屋から追い出され部署に戻される…部署の人間の話していたのはこの事か…
何も考えられずにデスクを片付け会社の人間から後ろ指を刺されながら自宅へと戻った…家族になんて言えば…
「た、ただいま…あれ?誰も居ないのか…?」
普段なら妻が直ぐに来るはずなのに何の反応も無い…リビングに向かっても家の中から一切の音も聞こえてこない…嫌な予感がする…
「な、なんだこれ…?手紙…?それと…?」
リビングのテーブルの上には封筒と手紙が二通置いてある…その内容に更に絶望した。
「離婚…縁切り…娘達すらも…」
犯罪者とは一緒に住めない、夫婦で居られない、娘が居るのに女子高生に熱を上げている気持ち悪さ…同じ空間に居る事すら吐き気を催すと…二度と会う気は無いと全て弁護士を通す事…娘達からもキモイと、犯されたくないと、半分も血が流れて居る事が物凄く嫌だと今直ぐに抜き取って取り替えたいと、それが駄目なら死にたいとまで書かれていた…
「は、ハハ…全部失った…ちょっとした暴言程度で何もかもを失った…」
何気なくテレビを付けた…そこには生放送でとある探索者の生放送で暴言を吐いたり殺害意欲を見せた人間達、掲示板に書き込んでいた人達…沢山の人間が逮捕されたと、普段ならこんな事は放送しないのに…
「神代家か…これは確かに掃除だ…」
高校や中学の教師、未成年の子供、所帯を持つ人達…一切の容赦無く大掃除が年齢も性別も立場も何もかも無視で徹底的に行われたのだった。
「俺も終わりか…もうどうでも良いや…」
ピンポーンと言うチャイムの音が聞こえるけど、多分警察だろう…そんな事を考えながら俺はリビングで無気力に座り込むしか無かったのだった。
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