第2話 脱出

「そう言えば…デュラハンのドロップはどうするの?」


5人を連れての帰り道、岸本が俺に聞いてきた。


「売らないよ。てか、売れない。」

「ん?どゆこと?」

「買い取ってくれないからな。偽物乙!嘘松ー!って言われて買い取られても1円とかだから深淵の素材。」

「いやいや!それは無いでしょ?!めっちゃ貴重じゃん。」

「本来はそうなんだけどね…マジなんよ。証拠もあるぞ…ほれ。」


俺は以前のやり取りの動画を皆に見せる。

配信画面にも見えるように神代達が写して見せて全員で共有した。


「なにこれ…こいつって新宿のキモイ奴だよね?いつもヤラせろって言ってくるし。」

「そうね。あの犯罪者予備軍のやつね。」

「酷い…篠崎さんは命懸けで生きてるのに…こんな言い方。」

「許せない!篠崎くん、連絡先の交換しよう!それでデータ頂戴!」

「そうね、皆も拡散してくれる?」


:任せろ!流石にこれはねーわ!

:GodDessの命の恩人にこの仕打ち!許せねぇ!

:そうじゃ無くても高校生相手に性的なの求めてる時点でアウトだわ…


「あぁ…まぁ〜…俺が孤児ってのもあんだろ?何を言っても何をしても親が出てくる事無いからな。」

「な、なにそれぇ?!贓物引きずり出してやる!!」


こえーよ…岸本…


:これは…ひでぇ…

:私も言われたことある…高く買い取るから今晩な?ってさ。その瞬間逃げたけど…なお私中学生

:脂ぎってるwwwドド○アさん?www

:それは草…つか、マジでひでぇな…

:キモいとかそんなレベルじゃないな…


「ねぇ、篠崎は配信してないの?これらを投稿したら良かったじゃん。」


当然の疑問を東原は投げかけてくるけど…


「チャンネルはあるよ…あ、モンスター!切らなきゃ!」


:流れ作業過ぎるんよ…

:いやまぁ…デュラハン相手に戦えるんだから分かるんだけど…

:余りにも作業すぎるのよ

:視界に入ったら終わりって怖すぎだろ…

:振るう一撃全てが必殺とかさぁ…


「っと、前に配信してたんだけど、ネット民って碌でも無いのしかいないの分かったから動画だけ投稿して終わりにしてあるんだ。まぁ…深淵の配信だからこっちも嘘乙!CGお疲れ!合成を垂れ流すとか恥ずかし無いの?ってコメントして居なくなるのしか居なかったからな。」


:あっ…

:うっ…

:ひんっ::

:気持ちは…分かる…けど…

:うん…まぁ…ね…?


「そ、それは…いやまぁ…そうなるだろうけど…」

「目の前で見た私達ですらそうだしね…」

「そんな訳で殆んど放置してるって訳だ…ほいっと!」


スパンッと襲い掛かって来たオーガを一閃。


「オーガの輪切り…」

「食材みたいに言わないで…観月…」

「と、ところでさ!お兄さんは…お兄さんでいい?」

「良いよー。紗月さん?」

「呼び捨てで良いですよ~年下ですし、柊羽お兄さんが生活の為に下層とかに行ってるのは分かってるんですけど…そんなに毎日篭らないといけないくらいに買い取り額低いんですか?」


「あ~…それは…何て言うか…ほら…俺が孤児になったその理由が、氾濫なんだよね。」


:まぁ…基本そうだよね

:それは聞いてたけど…1/10でも下層とか深層とかの買い取り額なら…

:だよね?どんなに安くても何十万じゃ?


「コメントの通り本来なら良い金額なんだけど…そいつがなぁ~…それと単純に間引きしてるだけなんだ。」

「間引き?」

「色んなダンジョンを見て思ったんだけどダンジョンって呪術の蟲毒と同じに感じるんだ。」

「蟲毒…色々な種類の沢山の虫を閉じ込めて最後の一匹になるまで争わせる…でしたっけ?」

「そう、その認識で問題ないよ観月さん。ダンジョンは正にそれ…放置しておくと溢れてくるしイレギュラーも起きる。」

「じゃぁ…今回のデュラハンは…」

「うん、最悪のパターンだね。本来であれば探索ギルドでPTを組むか軍隊を使って間引きとかをするんだけどここの新宿ダンジョンは誤魔化してるんだ。そのド〇リアさんがな。俺もそいつが嫌いだから基本的にここは来ないし間引きもしないんだけど…俺の個人的な感情で何百万人の命を犠牲にするのは違うと思って、今回は籠ってた。」


:え?聖人すぎね?

:つまり…彼のお陰でここ数年は氾濫してないと?

:他の探索者さんの力もあるだろうし彼一人のお陰では無いだろうけど…

:それでもだよね?深層とか深淵とかそんなに毎日篭れないし

:深層までならともかくにしても深淵はね…


「かっこいい!シュウお兄さんかっこよすぎ!」

「そう言うの良いから…犯罪者沢山湧いちゃうからね?君達のファンの過激な連中がさ。」


:あぁ…既に騒いでるのいるわ…

:殺す殺す殺す殺すって書き込んでるのいるね

:これは沢山逮捕されそうだぁ~…


「あぁ、ちなみに…来たら殺すからね?容赦無く殺すからそこは忘れないでねー?勿論、親族も全員皆殺しにして悔恨残さない様にするからね?」


:こわ!

:いやまぁ…分かるけど…

:はーい!証言いただきましたー!訴えますー!

:うわw湧いたw湧いたw犯罪者湧いたwwww

:行かなきゃ良いだけじゃんw


「まぁ…変な事してくるなら相応の対応はするけどな。…って事で入口に着いた。これで帰れるね。皆が無事で良かった!」


話ながら進んでいたら気付けば入口に戻ってこれた。これで、何とかかな…後は…


「えっと…先ずは…みんなー!今日も見てくれてありがとう!無事に戻ってくることが出来ました!今日はこれで終わりたいと思います!」


:お疲れ様ー!無事で本当に良かった!

:次を楽しみにしてますー!

:今日も可愛かったよー!

:今回はまぁ助けてくれてありがとう。でももう二度と絡まないでくださいね

:勘違いしない様にーDodDessは社交性高いのでいつもこうですから

:うぜぇ…きめぇ…


「そう言えば疑問だったんだけどさ…皆ってどこかの事務所にでも所属してるの?アイドル活動してるの?」

「何処に所属してないよ。」

「勿論アイドル活動なんてしてない。」


東原と岸本の言葉に神代3姉妹も頷いてる。


「って事は別に恋人作っても良いって事じゃん。つか高校生なんだから恋の一つや二つしたり彼氏作ったりとか当たり前じゃん。それを勝手にアイドル扱いして恋愛禁止を押し付けるのは狂ってるだろ。」


:は?マジで殺すぞ?配信してる時点でアイドルなんだよ

:男とのやり取りなんてみたくねーの当たり前だろ

:孤児の分際で俺様達に意見すんな

:終わったなお前死んだわ

:はいはいw仮にそうだとしてもお前は相手にされねーよwwww

:こいつら…自分でブーメラン刺してどうするんだろ?え?新手のオ〇ニー?


「はぁ…ごめんなさい。篠崎くん…こっちは気にしないでね。」

「えぇ、しっかりと処分しておきますのでご安心を…」

「キモイ…普通に恋するしぃーてか!シュウお兄さんが彼氏なら最高じゃん!」

「篠崎くんって学校と全然違うねっ。こっちが素?」

「素って言うか…単純に学校では目立つ気は無いし自分の力を自慢するつもりも無いし…」

「静かに過ごしてるもんね。良くイジメの対象にならないなって思う事もあるよ?正直。」

「あ~…去年に退学処分になったの10人ほど居たろ?それと教員免許取り消しになったのも数人。あいつらを退学と免職に追い込んだのは俺だ。俺が孤児だってのとか余り絡んだりしないって理由から何をしても良いと判断したんだろうな。嫌がらせとかイジメとかして来たからしっかりと証拠押さえて被害届けだして犯罪者にしてあげた。」

「「「「‥‥あぁ…居たね。そう言えば‥‥」」」」

「最低な汚物なら仕方ないと思います。」

「それに…俺は死ぬ訳には行かないんだ。俺を守ってくれた人達の為にもどんなにきつくても理不尽にあっても生きないと駄目だから。」


俺の言葉にコメントも5人も言葉を失った。


「っと、悪い。変な空気にしてしまった。俺は先に行くからまた学校でな。あ、後……配信を見てる中にも俺と同じく孤児の人なんかも居るだろうけど、関東に住んでるなら鎌倉のギルドで素材を売るのが良いぞ。しっかりと査定してくれるからね。絶対に売っちゃ駄目なのが新宿だ。って事で、お先に~。」


ササっとダンジョンの入り口に5人を置いて俺は出て行く。

ロビーに戻ると配信を見ていたからか動画が広まってるからか大騒ぎになってるのを尻目に俺はパッパと出て行きそのまま帰宅した。


------------------------------------------------------------

SIDE 茉奈


篠崎柊羽くん!物静かで目立つタイプでは無いと思っては居たけど普通に何処か目を引く人だった。

その理由が分かった…助けられて、ここまで来る間に思った…あぁ…私の運命の人はこの人だ!って…だから絶対に捕まえるからね!!!


「やはり…大騒ぎになってますね?と言いますか…完全に逮捕されたみたいですね。いい気味です。」

「次は…配信でコメントしてた気持ち悪い人達を全部処分しないとね。」

「そうね、幸月姉さん。私達を助けてくれた恩人を殺すとか迷惑かける人達なんていらない。」

「だね!こんなので恩返しにもならないけど、本当にいらない。マジキモイ。」


神代3姉妹が荒れてるなぁ…まぁ、分かるけど…


「取り合えず私達も帰りましょうか…流石に疲れました。」

「あっ!あの!GodDessの皆さん!サインを!!!」


はぁぁぁぁ…アイドルじゃないってーの‥‥


「はいはい~お断りー。私等疲れてるのよ?死ぬところだったし、早く帰りたいんだけど?」

「いやいや!ファンを大事にしようよ!俺等が居るから活動出来てるんじゃんか!サインくらいしろっての!」

「あのさぁ~…応援してくれてるのは嬉しいけど、アイドルじゃないっての!てか今は気が立ってるんだから普通に分かるでしょ?あぁ…分からないから来てるんだった!ごめんねぇー!」


優理もきついなぁ…


「何ですかこの人?…あ、興味無いので別に良いです。母に連絡して開示請求とか色々お願いしました。後日、被害届けを出しに行かないとなので優理さんも茉奈さんも付き合ってくださいね?」


プルプルと顔を真っ赤にして睨みつけてる奴を完全に無視して観月が話を進める。


「まかせてー。篠崎くんに迷惑かけちゃうのが気になるけど…こればかりはね。」

「うんうん!変態の犯罪者連中は全部処理しないと安心できないしね。」

「ざけんなぁぁぁぁ!お前らは俺達が居るから!!!金も稼げてるんだろが!!何時までも無視してんじゃねぇぇぇぇ!犯して殺して埋めんぞ!てめぇらぁ!!!」


うん、殺そうっとっ!!!


「へぇ…なら先に殺しますね?こちらを殺そうとするんですから構わないですよね?」


うわぁ…まっさきに幸月さんキレた…


「勘違いをしている様ですが…私達は別になんて一度も言ってません。」


うん、そうだね。てか何でポカーンとしてるのこの男…


「配信をするのだから収益化をするのは当然の権利ですよね?何かおかしいですか?」

「ぇ…?何を…?」

「そもそもにして貴方達がに貢いだだけですよね?」

「だって…それは…えっと…そうだ!俺達が消えたら!収入減るぞ!ファンも減るぞ!!!!」

「だからそれが?どうかしました?」

「てかそれで良いしねー。のが居なくなって応援してくれる人が洗練されるだけ…つまり貴方達はいらない。」


私達だけじゃ無い建物に残っていた他の探索者達も揃って冷え切った目で汚物を見てる。

それに耐えられなくなったのか…真っ赤にした顔で拳を握りしめてブルブルと震えながら居なくなった。


「録画は?」

「勿論してる、処分できるよ。」

「なら良い。私達も帰りましょ。活動拠点も変えないと…どうせここは暫くまともに機能しないでしょうし。」


幸月さんの言葉の後に私達は出口に向けて歩き出す。

私達の邪魔にならない様に人が避けて邪魔も入らずにゆっくりと外に出る事が出来た。


「じゃー、お疲れ様ー!皆、気を付けてね!」


手を振りながら私と優理は3姉妹から離れて帰宅する。

明日から…篠崎くんは大変だろうし私もがんばろっと!!


これが彼と私達の付き合いの始まり…何となく沢山の事が変わりそうで楽しくなって来たのを感じていた。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る