第64話咲姉さんを支える者として…
「帰った」
「お帰りなさい!どうでしたか?」
「どうって別にもう諦めてるんだから、ワンチャン別れるようなところに介入したりしないよ」
「そう…なんですね。失礼しました」
「気にするな。疲れたから先シャワー浴びる」
僕は咲姉さんの執事見習いをしている。
今僕には家族がいない。昔母がいたがとても親とは思えなかった。男を家に連れ込んで、
僕は邪魔だからと怒鳴り散らかして挙句の果てには殴られた。
今僕の背中にはタバコを押し付けられた箇所が何個もある。到底人に見せられたものでは無い。痣は昔あったが今は消えつつある。
ある日、母は家を出ていった。しかも冬休みが始まった頃だ。当時僕は6年生で頑張れば助けを求めれたが全てがどうでも良くなり、
家にいたところ、老人夫婦が僕の家に来た。
どうやら遠戚の人みたいで僕を引き取るらしい。
引き取った老人夫婦は優しい人で僕を蔑んだりしなかった。
しばらくして中学一年生になったころおじいちゃんに
「執事見習いをしてみないか?」
と言われた。
おじいちゃんはグループ会社の会長の執事をしているとおばあちゃんから聞いた。
僕を生きているうちに職につくを目処を立たせたいみたい。
その会長の娘が来てくれるなら高校、大学の資金を全て出すと言っているらしい。
僕はおじいちゃん、おばあちゃんを安心させたいから受けることにした。
初めて会った時僕は執事だからお嬢様とかと呼ぼうとしたが
「そんな堅苦しいのはいい。そうだな…弟が欲しかったから咲姉さんと呼んでくれないか?」と言われた。
僕の身長は平均くらいだが咲姉さんは僕より少し高い。しかも、劇ではかっこよくて可憐で綺麗。おまけに美人だ。
「良かったらどうぞ」
僕はお茶を出す。
「ありがとう。」
僕はこの人が好きだ。
会った時から一目惚れしていたのかもしれない。
「雅也さん、元気になってましたか?」
「ああ、今頃も美怜とベッドでイチャイチャしているだろう」
「ぅえ!?ベッドでイチャイチャ…?」
「気になるの…?」
「気になったりはしませんよ!?」
「可愛い」
かわいいと言われるのは複雑だ。馬鹿にされてる訳ではないので嬉しくはあるけど…
~~~~~~~~~~~
私はもう疲れたので寝ることにした。
「はい。じゃあここ」
「分かりました」
陸翔は私のベッドに入ってくる。
いつも私は陸翔抱き枕として寝ている。
寝る前の私は情緒不安定になりやすい。ベッドでは抱えているもの全てを下ろすことができると思っているから。
「また、ですか…」
「うん、そうみたい」
「今日は何を考え込もうとしたのですか?」
「今日まさに会って改めて拒絶されたらと思って私…」
「大丈夫ですよ。雅也さんに拒絶されたとしても僕がいます」
「でも私は…君があの人に雰囲気が…境遇が似てるからって重ねて見ていて…」
「それ何回も聞きました。重ねて見てても僕は気にしません。」
「いつか君自身を見れるように頑張るよ。ごめん…ごめんなさい…」
「あーあ今日も泣いちゃうんですか?涙拭いてください。かっこよくて綺麗な咲姉さんが台無しじゃないですか」
「ありがとう。」
私は彼を執事見習いにした時からこうして毎晩抱き枕になることを契約させた。
迷惑極まりないのに陸翔は毎晩相手してくれる。励ましてくれる。
なのに私は彼のことをちゃんと見てあげられなくて申し訳ない。
頑張ってこの夏休みが終わる前までにはきちんと彼と向き合おう。
読んでいただきありがとうございます^^
☆やコメントお待ちしております(*^^*)
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