第52話美怜さんの親戚に会うのですが?

「やばい!まさ急いで!」

「う、うん!」

思ったよりアイスが溶けるのが早くて僕達は急いで旅館に向かっている。

「セーフ」

「危なかったですね」

「ちょっと部屋でゆっくりしてから行こっか」

「はい。分かりました」

そう言うとなぜか美怜さんは顔を歪ませる。

何かしちゃったかな?

「最近また敬語になってきているよ」

「えっと…そうかな。ちょっと直してるつもりなんだけど」

どうしても年上だから意識してしまう。

「確かに君は執事だけど私の彼氏でもあるんだから。せめて2人きりの時くらいはイチャイチャ…じゃなくて!距離感じちゃうから、ね?」

「うん、分かった」

「よしよし。ちょっとずつでいいからね」

と頭を撫でられる。

ずっと撫でられていたいって言えるように頑張ろう!


それから約束の3時になったのでキッチンに向かう。

「お久しぶりです料理長。今日からまたよろしくお願いします。この子は私の補助をしてもらいます」

「うむ」

「よ、よろしくお願いします」

「うむ」

と言うとその人はまた作業を再開する。

「じゃあ私たちはあっちでやろっか」

と連れてかれる。

見たところ7人くらい他にも料理人さんがいるみたい。

みんな料理長さんの指示に大きな返事をしている。

「私は小鉢を5品作るのを任されているから一緒に頑張ろうね」

「うん!」

でも5品を人数分作らないといけないから…

夏江お婆さん曰くこの時期は毎日50人くらい来るって言ってたから

5×50=250!?

「7時までに終わらせばいいから」

「きつくない!?」

「大丈夫。多分時間余るよ」


そんなこんなで作り始めたけど料理モードの美怜さんは真剣でとても話しかけられる雰囲気じゃない。

えっと…とりあえず僕は小鉢を持ってこよう。

見ると美怜さんは人参をもみじの形にしている。

すごい繊細。

そんな感じで僕は美怜さんに指示されたように野菜を切っていく。


「その切り方はあまり良くないよ」

「ごめんなさい」

こんな感じでたまに怒られる。仕事モードの美怜さんは厳しいことは知っているけど…

ちょっと胸がキュッとなる。

僕の心が弱すぎるのが悪いよな…

こんなことくらいで落ち込んでいたらダメだ。

そうすると、美怜さんが後ろから手を優しく掴んで

「こうやってトントンって一定のリズムで切るんだよ」

と囁いてくる。

僕は顔を真っ赤にして、ただ黙々と切っていく。

「さっきはちょっと言い過ぎちゃったかな。ごめんね。どうしても集中してたら周りに気を配れないことがあるんだ」

「だ、大丈夫だよ。全然気にしてないから」

「あからさまに落ち込んでたけど?」

「…」

何も言い返せない。


たまに美怜さんが僕に教えてくれるせいで作りきれるか不安だったけど30分前には終わっていた。

美怜さんすごい!

1つ1つが丁寧に作られている。しかも美味しそう。


「確認お願いします」

「うむ」

と言うと料理長は眺めて、

「合格、腕を上げたな」

「ありがとうございます」

「じゃあ配膳は雅也くんにお願いしよう」

「はい。分かりました」

「まさ、出来る?」

「それくらいは僕でも出来るから大丈夫だよ」

「美怜の席も他の客と同じ所に準備してあるから行ってきなさい」

「ありがとうございます」

「雅也君は後でな」

「はい」


~~~~~~~~~~~~~~

「じゃあ私は夏江お婆さんの所にとりあえず行くね」

「じゃあね美怜さん」

そんな寂しそうな顔をされたら困っちゃうよ。でも料理長がいる手前そんなことは出来ない。

私は夏江お婆さんに報告しに行った。

「ご苦労さま。ところで美怜」

「はい」

「今日は拓也の妹さんとその娘さんが来ているよ」

「え!?咲(さき)が!?」

お父様の妹さん、佐多柚菜さんはいいけど、問題はその娘の咲。

彼女は高校は違うけど中学では男子も女子も両方惹き付ける、王子様なんて言われていた。

私は彼女とは相性があまりにも合わない。

相手も私をあまりよく思っていないと思う。

だからまさが狙われないか心配。

そもそもまさの存在をあっちが知るはずがないし…

「分かりました…善処します」

「本当に善処してね?今は旅館のお客様なんだから」

「はい…」


私は料理長に準備された席に座る。が、

「やあ美怜久しぶりだね」

「お久しぶりですね。咲」

「美怜ちゃんここで働いている言うから来ちゃったわよ〜」

「そうでしたか」

あははと、持ち前のポーカーフェイスで柚菜さんと話す。

内容は入ってこない。


「お待たせしましたー」

そこにまさが運んできた。和装姿のまさすごいいい。

かっこいい。

そうすると

「かわいいね」

とあいつはとびきりの笑顔を見せる。

私が言うことでまさは照れるからあの人が言った所で…

「ふえ!?あ、ありがとうございます」

「君が美怜さんの彼氏さんかな?私は美怜と親戚なんだ。ね?美怜?」

「はいそうですね」

「良かったら、これ私の電話番号。そこからNINEで私と…」

「こら。咲。人の彼氏になんてことするの。ごめんなさいね美怜さん。悪気はないみたいだから許してあげて?」

「大丈夫ですよ。彼女のことは昔から知っているので」

まぁ一生許しませんが。

彼女は要注意人物になっちゃいました。後で近くのSPに連絡しておきましょう。

「美怜、怒ってる?」

「大丈夫ですよ。気にしないでください」

実はものすごく怒ってます。

まさが帰ってきたら「教えて」あげないと…



ここ1ヶ月、テストやらで書けませんでした。お詫びとして今日もう1話出します。


《美怜さんの黒い部分が見えちゃいましたねー。どんどんヤンデレになってる感じがしますが、多分何とかなります!》

読んでいただきありがとうございます( . .)"



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