第29話美怜さんは許さない

「美怜さん、」

「うん?」

「僕が寝るまで隣にいて欲しいんだけど…」

「それくらいいつものことだから大丈夫だよ」

「ありがとう。お休み」

「お休み」


あれから10分くらい経った。

「寝たかな」

私はまさを起こさないように部屋を出る。

現在は夜の10時。

「美怜…」

「あ、お帰りなさいお母様、お父様」

「ただいま。まさは大丈夫?」

「大丈夫だよ。」

「そう。なら良かったわ」

お母様はまさに対してちょっと他人っぽく見ているように見えるが実際は何かと気にかけていることを知っている。


「これから行くのか?」

「まぁこのタイミングしかないからね。お父様達は先に寝てていいよ。」

「ああ。それじゃあお休み」

「お休みなさい」

私はそう言って自分の部屋に戻り黒い服に腕を通す。


「出して」

「承知しました」

私は今最悪な気分だが、これをしないとすっきりもしないから早く終わらせてしまいたい。

まさにあんなことをして、精神的にも傷つけて牢屋で過ごすだけで済むと思うなよ。


SPもなんだか緊張しているみたい。そんな怖い雰囲気出てたかな?


私はお決まりの倉庫に向かう。

「んー!」

「口取っていいよ」

「ぷはぁ!お前雅也の…!」

「そう。昨日ぶりですね。まさのお父さん?いやもうお父さんじゃないか」

「なんで俺がここに」

「それは聞きたいことがあって牢屋から一時的に出してもらったんです」

「聞きたいこと?」

「どうしてまさをあんなに傷つけるんですか?」


「は?そんなのあいつは俺にとって要らないんだよ。だからあんたがもらうと言われた時は嬉しかった。だが、あいつがどんどん幸せになっていくのを見るとウザいんだよ」

私は気づいたら男の喉に小型ナイフを突き出していた。


「お嬢様、そのようなことをされると雅也様が悲しまれますよ」

「分かっています。だけど…!」

私は何とか堪えた。この男は性根が腐りきっていた。今まで会った中でダントツだ。

こんな奴にまさは15年間も…!


「まさはずっとあなたのせいで苦労してきていたんですよ?」

「俺のせいにされても、あいつは俺の子供だから親の俺に尽くして当然だろう?」


「あなたに親を名乗る資格はない!」

私は敬語だったのも忘れて、男を蹴り飛ばす。こんな時に昔習っていた武術が役に立つ。

「おい、立て」

「ひぃぃ」

「お前は自分の子供なんて1ミリとも思ってない。ただそれを理由にして暴力、暴言をしてまさはお前のサンドバックなんかじゃない。」


男は腰を抜かして座り込む。

蹴り飛ばされたくらいで大げさな奴が。

「まぁいいお前にはこれから刑務所に入る前に死ぬ程地獄を味わせる。連れて行け」

「は」

SP達は男を連れていく。

「や、やめろー!離せー!」


「ふぅ、疲れた」

あいつは刑務所に入ってきちんと罪を償わせないといけないため、海外に連れ回すことができない。

だったらちょうどサンドバックを欲しがってる人がいるとお父様から聞いていたので、その人に一日貸そうと思った。

まぁその人はいわゆる裏の人らしく、頭がおかしいみたいなので何されるかは見当がつかない。


財閥を持ってると変な繋がりもできてしまうこともあるとお父様は言っていた。

だけど今回ばかりは上手く利用できた。


「お嬢様、ほどほどにしてくださいね。日本はこういうのに厳しいですから」

「分かってるよ。けど許せなかった。今もこれからも許さない。君もでしょ?」

「はい」

SPもだいぶまさと仲良いから今回ばかりは表に出さないだけで内心キレてたと思う。


「ただいま〜」

静かにドアを開けると、そこにはすやすや寝ている天使がいた。

「やっぱりかわいいなー」

今日あまり触れられなかったから思いっきり抱きしめる。

「大好き。もう誰も君を傷つける人はいない。これからも私がずっと守る」


もしかしたら依存しているのは私の方かもしれない。いや多分そうだ。


《テストが終わったのでこれから毎日投稿頑張ります!》

読んでいただきありがとうございますm(_ _)m











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