第27話父と会うのですが?
そこから特に何もなく1週間が経っていた。
「6時間目終わりー!」
「まだホームルームがあるでしょ」
「もう終わったようなもんだって!今日は瞳先輩にバスケ部見にこないかって誘われてるから!」
さっきも聞いた。やたらとテンションが高いのはちょっと困るけど友達の恋は応援したいと思う。
美怜さんも瞳先輩と夜たまに話してるのを隣の部屋から聞こえてくるけどいつも楽しそうに話しているし。このふたりなら上手くいく。
「美怜さんからRINEだ」
【今日は先生が世界史の小テストの採点が終わらなさそうなので手伝うことになったから先に帰ってて】
世界史の先生は確か僕のクラスの歴史も担当していた。優しそうなちょっと抜けている女の先生だ。
いつもは部活のある日に美怜さんに頼んでいたけど…
うーんどうしよう。先に帰っててもやることがないから待とうかな?
一応
【分かったよ】
とりあえず返しておこう。
「じゃあ俺行ってくるわ!」
「うん。また明日」
「おう!」
と颯爽と行ってしまった。
結局待ってみようと思う。
校門の前でツブヤイターでも見ながら来るのを待とう。
…来ない。もう部活行く人は行って帰る人は帰って少し静かになっている。
30分経ったか…もう少しかかりそうだし1人で帰ろうかな。
いつもの通学路も1人で歩くと今まで気づかなかった電柱の上のツバメの巣とかが分かって案外楽しい。けど人通りは少ないから寂しい。美怜さんと話しながら帰る方がもっと楽しいな…。
僕のわがままで美怜さんを振り回していけない。
そんなことを考えていると
「よぉ、久しぶりだな」
僕は後ろから聞こえてくる声に思わず固まってしまった。
振り向くとお父さんだった。
「お、お父さん…」
「まさかお前があんないい高校に行くとはな、あの社長令嬢随分お前を可愛がってるじゃないか」
「う、うん」
「なら金はたんまりあるだろ?寄越せよ」
あらかたこんな理由で僕に会うと思っていた。
バイトしていたころもこうして何度も聞いてきた。
「嫌だよ。これは渡せない」
「そんなこと言わずによー」
僕のカバンを奪われそうになる。
「やめて…」
「うるせぇ!今まで誰のおかげで生きれたと思ってんだよ!」
無理やり取られたせいで僕は尻もちをつく。
「返して!」
僕はお父さんにしがみつく。
「うるせぇ、お前は黙ってろ!」
殴られて蹴られる。
痛い。
「お前に言ってやろうか?お前のお母さんは病気で亡くなったんじゃない。あれは親戚のデタラメだ。お前のお母さんはこの家を捨てて首を吊ったんだ。お前を捨てて。
最後にあいつ言ってたぞ「お前を産まなきゃ良かった」って。母からも必要とされてないんだな。どうせあの社長令嬢からも必要とされてないんだろ?」
「ち、違う」
「強がんなって、お前からはそう見えてもどうせあいつみたい最後は必ず裏切って必要とされなくなっておさらばだ。親戚達もそうだしな。
俺のおかげでここまでこれたんだぞ?感謝しろ」
僕は必要とされてない…最後は裏切られる。
「泣いてんの?お前泣かれると困るのは俺なんだよ!お前のせいで!いつも!」
痛い、痛い、痛いよ。
苦しい。息もしにくい。
助けて。
「まさ!」
「美怜さん…」
「お前…ぐはぁ!」
美怜さんはお父さんを蹴り上げる。
「大丈夫!?あちこちに痣がある。怪我もしてるじゃん!」
「大丈夫ですよこのくらいは…」
「SP早く来い。ああ10秒で。こいつを捕まえて警察に出せ」
「お前この…」
「黙れ」
美怜さんは後ろにいるお父さんを後ろ蹴りした。
「怖かったよね。ごめんね。私がいなかったせいで。ごめん」
抱きしめられる。
SPさん達が本当に10秒で来たみたいだ。
「早く連れていけ」
「おい!離せ!雅也!お前もなんか言え!」
僕は震えた手を抑える。
《少し残酷な描写ですが暖かく見守っていると嬉しいです(*^^*)》
読んでいただきありがとうございます( _ _)
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