第19話初めての喧嘩ですが?

自分の持ってるもの全て生かしてテストに臨んだ。テストの直前まで頑張って覚えた。

2日にわたるテストの後全てのテストが返されて今日は結果が出る日。


「結果も同じ所に貼りだされてるから一緒に見に行こう?」

「うん」

僕は美怜さんにあえて点数は言っていない。

なぜなら結果を言ってしまうとあまり良くなかったからだ。

美怜さんの過去問でできるかと思いきやまた別の種類の問題をどの教科も出されそこで点数が取れなかったからだ。

さすが名門校。一筋縄ではいかない。

次からちゃんと勉強しよう。


とは言っても僕の名前がランキングになるかさえ分からない。以前のを参考にしようとするけど僕と遥斗のしか見てなかったからそれ以下の人の点数を覚えていない。


もしランキングに載ってなかったりしたら、美怜さんに…

美怜さんは優しいけど周りが…

ネガティブ思考はやめよう。


「大丈夫?緊張してるの?」

「ちょっとね」

「大丈夫だよ」

その大丈夫が心に刺さる。


僕達は学校に着き貼りだされた順位を見る。

1位は遥斗968点。

2位は906と続き、10位は843。

そして僕の点数は740。

ランキングには載っていない。


そして美怜さんは

1位で1000点。

僕は何も言えずに、美怜さんの方を見れずに立ちすくんでいると

「美怜!また1位じゃん!」

「相変わらず、すごいな若田さんは」

「え、ちょっと…」

美怜さんは2年生の人に囲まれているみたいだ。

美怜さんはすごい。

僕はあの中に飛び込めないのでもう教室に行くことにした。


勉強を計画的にしてなかった僕が悪いのかな。そもそも中学校では馬鹿なやつが名門校で上位にいれるはずがない。あの1位はたまたま運が良かっただけ。みんなが最初は勉強してなかっただけなのかもしれない。


こう考えてしまうのは僕の悪い癖だけど今回ばかりは筋が通っている。

僕は美怜さんの彼氏だから頭が良くないと周りから僕はともかく美怜さんもバカにされてしまうかもしれない。


「まさ!」

美怜さんが駆け寄ってくる。

「どうして急にいなくなっちゃったの?」

「どうしてって美怜さん話しかけられていたので」

「そんな順位表に載ってないだけで気を落とす必要はないよ」

僕はその言葉に敏感だった。

「1位から急に圏外になったらみんなから笑われ者だよ。いいよね美怜さんはずっと1位で落ちることなんてないから」

こんなこと言ったら傷つくって分かってるのに。

「急にどうしたの?別に圏外でもまさは頑張っていたよ?」

と頭を撫でられる。けど僕はその手を振り払って

「そうやって子供扱いしないで!」

美怜さんは困ったような顔をしている。

僕は困らせたくないのに。

頭を撫でられるのも本当は好きなのに。


今は疲れからか、自分に対する苛立ちからか言ってしまう。

「僕は美怜さんみたいに天才じゃないし、中学生の頃はバカだった。それで美怜さんにふさわしくなれるように努力したのに」

「今からでも間に合うよ」

「美怜さんならでしょ?そうやって自分基準で考えてそういうところが…大嫌い!」


僕は走って自分の教室に向かう。幸いこの会話はみんながまだ順位表で固まってること、朝早く来たことで誰にも聞かれていないと思う。

けど言ってしまった。

本当はそんなこと全然思ってない。

自分でも嫌になる。いつも助けてくれて、一緒にいてくれる美怜さんに最低なことを言ってしまった。

彼氏失格だ。






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