第17話お義母さんと初対面なのですが?

「拓也と会った時に「美怜に彼氏兼執事ができた」としか言われてなかったからびっくりしたわ」

「そうだったんですか」

拓也社長に若干救われたけど情報が足りなさ過ぎじゃない?


僕は美怜さんのお義母さんと向かい合って座っている。

美怜さんは会社の人から電話がかかってきて対応しているため今隣にいない。なんでこのタイミングで…


「僕、佐藤雅也っていいます」

「私は若田シーナ。呼び方は…好きに呼んでいいよ」

「分かりました。シーナさん」

シーナさんは美怜さんとすごい似ている。それにまだ30代くらいに見える。実年齢は聞かないでおく。


「それで雅也君、美怜とは上手くやっていけてる?」

「はい!仲良くやっていると思います!」

「まぁ確かに一緒にお風呂入る程だからねー?」

僕は飲んでいたお茶がむせた。

「大丈夫?」

「す、すみません。ちょっとむせちゃって」

「それにしても驚いたわ、美怜があんなに楽しそうにお喋りしてるところ。随分今までと変わってて」

「そんなにですか?」

僕から見れば…いや確かに最初の方はしゃべってる時もシンプルに緊張してたもんなー。


「それに長い間、しかもそれを何回も家を開けているから毎回気づくことしかできないなんて母親失格みたいなものね」

「そんなことないです!美怜さんはシーナさんのことを常に母親だと思っています!」

「そ、そう?ありがとう」

僕が勝手に言えることではないけど、美怜さんは少しだけシーナさんのことを話してくれた時、ずっと笑顔だった。


「美怜にはそれこそ生まれた時から苦労させてきてるからね」

「苦労、ですか?」

そういえば美怜さんの小さい頃や中学生の頃を聞いたことがない。

「もしかして聞いてない?あの子はこういう話自分からしないからね。少し長くなるけどあの子も帰ってくる気配もないし、ちょっとだけお話しよっか」

「お願いします」


「まず若田財閥は美怜の祖父が築いたものなの。だから拓也もそれなりにやってきた。でも小さい頃はやんちゃだったみたいだから半分見放されてたみたいね。けど美怜は大人しい子でしかも一人っ子だからおじいちゃんとおばあちゃんは完璧な人間を求めていたの」

「完璧な人間ですか…」

「そう。でも美怜は私はデザイナーの仕事で拓也もたまにしか帰ってこなくて頼りになるのはおじいちゃんとおばあちゃんくらいしかいなかったから期待を裏切らないように、勉強、語学、武道、作法などあらゆることを完璧にこなした。それで中学生の頃に天才少女だとかテレビや雑誌に載ったけどおじいちゃんやおばあちゃんはあまり認めなかったわ。むしろより多くのことを覚えさせた。まぁこれも全て若田財閥の存続のためでしょう。心が壊れかかってる娘を見過ごせなくて私も言ったけど、所詮は北欧から来た女だから口を出すなって親戚にまで反対されたわ。それでも美怜は期待を裏切らないように頑張ってた。で、高校生になっておじいちゃんおばあちゃんが亡くなると心にぽっかり穴が空いたみたいだったわ。笑顔も、やりたいことも消えていた時にちょうどあなたが来てくれた。

そのおかげで美怜は楽しく過ごせている。

改めてありがとう。」

「僕も美怜さんと楽しいことをたくさんして過ごさせてもらってありがとうございます」

美怜さんからしてもらうことはたくさんあるけど僕からしてあげられることは少ないと思うから少しでも力になれているなら嬉しい。

「最初拓也に言われた時は私が見極めて最悪別れてもらうつもりだったけどそんなことなさそうね。」

「美怜さんとこれからもずっと一緒にいたいので良かったです」

「って言われてるよ?彼女さん?」

「え!?」

いつの間にか近くにいた。

「私もこれからも一緒にいたい///」


「けどまだ高校生だから愛し合うのはもうちょっと待ちなさいよ?まぁお熱いキスとかならしてもいいと思うわよ?」

「シーナさん!?」

「まぁ今は控えます」

「美怜さん!?」


やっぱり親子は同じ考えになりやすい…?


《読んでいただきありがとうございます!残りの夏休みは少し勉強に力を入れようと思いますので投稿頻度が4日に1回ペースになりそうです。》



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