第15話美怜さんはクールでいたい
「起きてないよね?」
心臓の音で起こしてないか不安だ。
だってまさからあんな事言われるなんて思わなかったから。
いつもなら私が優位に立ってあれこれ好きなこと、起きてない時はあんなことまで…やっていたのにあの時は逆転していた。
おかげで調子が狂ってしまった。
「悪い子だね」
たまには…ああいうのも、あり、なのかもしれない。
けど今はそんなことばかり考えていられない。
今日、まさを休ませたのには理由がある。
「今日私達がいなくて大丈夫でしたか?」
「私がいたから問題ない」
SP達には情報収集をしてもらっていたから。SPはただのボディーガードだけでなくこの道のプロである者を雇っている。
なるべく多くの情報が欲しいから家の警護の者も全員にしてもらっていて、家はがら空きだったからだ。毎日のように若田財閥の資産を狙ってくる人はいる。高い柵を乗り越えて。
まさの勉強している姿を見ながら時折外に出て家に入って来ようとするやつを倒していた。
ちょっと痛めつけるくらいだから自力で帰れるくらいには手加減している。
「それで情報は?」
「はい。主犯格はグループのリーダー的存在、朝井圭介。その取り巻きは…」
と3人の人物を挙げる。
「そして朝井圭介の家族構成ですが、3人家族で、父親は政府の官僚で母親は専業主婦です。」
「そうか…」
圭介を3年間いじめていたやつだ。こいつはそれなりの罪を償って貰うが、人の家庭崩壊するところばかり見ていては私も心がいたたまれない。
「父親は浮気するクズか…」
もしまさが浮気なんてしていたら、どう思うんだろう?やっぱり泣いちゃうのかな?
まぁまさはそんな人ではないと分かりきっているから大丈夫。
だけどこれでは母親だけしか救えないか…
「親にも多少の責任はある。いじめの証拠は?」
「専門の者に頼み、スマホ内のアルバムからいくつか入手しました」
「そうかそれを明日あいつのことについて話に行く時に見せて、学校にも送ったと言え。さらに浮気の証拠も見せて、母親には息子は海外で働く所があると言えば任せてくれるだろう」
「分かりました」
~~~~~~~~~~~~
「取り巻きは学校に送って退学程度にしておいて」
私はこの若田財閥でSPをさせてもらっているがその娘さんである美怜お嬢様は頭が回る。天才少女というのはここに来る前知っていたがこの分野まで分かるとなると少し怖い。しかも良く考えておられるからすごい。
「それでは行きますか」
私は美怜お嬢様を車まで案内し、とある港の倉庫まで連れていく。
ここまで来るのに時間はあまりかからないから美怜お嬢様は利用されてる。
口も手も足も縄で縛られた、朝井圭介がいる。私も外国でSPをしていた時は良く見慣れた光景なので驚きはしない。
「口だけ外せ」
「おい!ここはどこだよ!それにお前はあいつの…」
前懲らしめた人もそう言っていた気がする。
「別に教えるつもりはない。それに君は私の彼氏を3年間いじめていた。散々バカにして楽しかった?」
「あいつは…」
「それ以上喋ると…」
一瞬で私の横から移動しナイフを突きつけている。この速さだと私も対応できない。確実に戦っても負ける。
「私はもうこういうことはしたくない」
雅也様に合わせる顔がなくなってしまうからと前聞いたことある。
「君には2つ選択肢をあげる。1つは鉱山で働くかもう1つは石油を掘るか?」
「は?鉱山?石油?俺高校生だぞ。そんなところで働くかよ」
「いや、もう君は高校生じゃない。君のいじめた証拠はもう学校に送った。退学だ。」
「は?何勝手なことしてんだよ!そんなことで…」
「そんなこと?いじめられた側にとってはそんなことで済まないから。まぁいい。さっさと選べ」
「どっちもやだよ」
「じゃあ人手不足らしいから石油の方に行け」
「だから!俺はどっちもヤダって言ってんの!」
「知らない。連れて行け」
仲間がそいつを連れていく。
「お疲れ様です」
「明日は学校なのに…」
「実はお嬢様、専門の者に会った時ついでに調べてもらったのですが」
と私は1つスクショされた紙を見せる。
「これは…」
雅也様が美怜お嬢様が出ているネットニュースにコメントしたものである。
実は最初、普段私共にも優しくしてくださる雅也様がどういったものを調べているのか気になったのでついでに調べてもらった。
もちろんああいう系のものは美怜お嬢様には言わないつもりであったが全くそういった物がなかった。
しかし、調べていたところ雅也様のアカウントのコメントを見つけたので美怜お嬢様に報告した。
「あ、ありがとう」
「いえいえ」
ちょっとお節介かもしれないけどこれを機会に最仲良くなって欲しい。
~~~~~~~~~~~~~~
私は帰ると着替えてすぐに抱きしめる。
「ただいま」
安心する。
それにしてもあいつときたら、あんなものを見せてくるなんて、
**かっこいい**
と書かれていたコメントだった。一見普通のちょっとしたコメントに過ぎないが、あいついわくまさのアカウントらしい。
となると、価値は数億倍に上がる。
「かっこいいって」
そのネットニュースは朝見られていたファッション雑誌のものが取り上げられていた。
「もう少しクールな方がいいのかな?」
学校では基本的にクールっぽくいるが最近はからかい過ぎてしまったところもある。
「でも、かわいいところを見せるからつい」
私はその紙を証拠隠滅のためにシュレッダーにかけ、空が少し明るくなるまでクールっぽくいつつ、からかえる方法を模索していた。
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