第9話ショッピングモールでデートなのですが?

迷う。

けど早く決めないとまさを長く待たせてしまう。

「うーん」

ここはちょっとかっこよくいくか、

それとも清楚の感じを出すか、

迷ってるとドアが開く。

「お嬢様、お決まりになりましたか」

「まだ決められない」

この人は私のメイドの広瀬さん。

私が生まれる前からこの家の家事をしてくれている。


「私も昔はよくこんなことがありましたね」

「広瀬さんもですか?」

「主人と初デートは特に迷いました」

やっぱり最初は誰でも迷うのかもしれない。

広瀬さんと一緒に考えて決められた。

「行ってきます」

「いってらしゃいませ」

広瀬さんがいてくれて助かった。

まさを待たせているので少しでも早く向かう。

~~~~~~~~~~~~~


美怜さんが走ってくる。

「待たせた?」

「いや、全然大丈夫ですよ」

一言目なんて褒めればいいんだろう?

かっこいいし、その中に上品さもあるっていう完璧さ。

モデルさんみたい。


「その服すごく似合ってますよ」

「ありがとう」

お互い顔を合わせられない。

僕の服装は大丈夫だよね?SPさんにも良く似合ってるって言われたから…

「まさのもかっこいいよ」

「ありがとう///」

かっこいいと言われるとかわいいよりダメージがでかいかもしれない。


「手繋ごう?」

「う、うん」

いざ言われると緊張する。いつも登校する時は当たり前みたいになってたけどデートは別だ。

それから駅で切符を買った。

美怜さんはあまり電車に乗らない。

変な人がついてこられたりしたらしい。

「僕が頑張って美怜さんを守ります!」

と言うと

「私も君をまもるからね」

倍返しをくらった。


電車ではドア付近で手を繋いで色々話した。

遥斗はゲーム脳とか、そういえばテスト期間中だったとか。

「ごめんね?今日丸一日あったのに」

「僕勉強よりも美怜さんとデートしてる方が何百倍も楽しいです!」

と言ったら周りの人が静まり返った。


大きな声を出しすぎてしまった。

美怜さんの顔が赤い。

まぁ事実を言っただけだからいいよね!!


「着いた」

ショッピングモールなんてあの頃を考えれば行く余裕なんてなかった。

もしかしたら初めて来たかもしれない。

「どうしたの?」

「僕、来るの初めてかもしれないです」

「そっか。じゃあ思いきり楽しもうね」

普通こんなこと言われたら引くのが自然だと思う。けどこんな言葉が返ってくるのは美怜さんしかいない。


「おい?あの美女誰だ?」

「モデルなんじゃない?」

「隣にいる人弟か?」


やっぱりカップルより兄弟に見えちゃうんだ…

「周りの人なんて気にしなくていいから」

「でも…」

実際僕は152で美怜さんは167と15cmものさしくらい離れている。

「私は君が好きで彼氏なんだから自信を持って。そのためにまずは髪を切りに行こう」


髪?確かに僕の髪の毛は少し伸びている。

「いらしゃいませ美怜様」

「こんにちは」

「本日はどのようなご要件で?」

「彼をかっこよくしてほしい」

「かしこまりました」

美怜さんの知り合いかな?


「ここ私がオーナーしてるから安心して」

オーナー!?

「って言ってもほとんど関われてないけどね」

「そんなことないですよ。いつも副オーナーは店が繁盛しているのは美怜さんのおかげって言ってますから」

副オーナーとは美怜さんの代理の役割の人らしい。

す、すごい。

「それではかっこよくしていきますね〜」

最初来た時には広瀬さんが切ってくれた。

それまでは伸ばしたままであれは大変だった。

しばらく僕は店員さんと話した。


するとあっという間に終わった。

「はい、完成です!」

見ると少し目にかかり気味だった前髪も綺麗に整えられていて、全体的にかっこよくなった気がする。

これがプロ。

「どうですか?美怜さん?」

「かっこいいと思う」

「本当ですか!?」

嬉しい(*^^*)


「服は家にも私が選んだ…じゃなくてネットで買ったものがあるから良くて、次は私のアクセサリー一緒に選んでもらおうかな」

「アクセサリーですか?」

あまりアクセサリーに触れたことがないから心配。

「もちろんまさのも」

「僕のもですか?」

アクセサリーって女性がするイメージがあるけど最近は男性用のアクセサリーもたくさんあるらしい。


「まさはどれがいいと思う?」

「僕は…」

こういうセンスはあるか分からない。けど

「これですかね」

小さい四角の中にルビーがある銀のネックレス。

あ!値段見てない!これ10万もする…

「やっぱり違うやつの方が…」

「値段は気にしなくていいよ。それにまさが選んでくれたものだから気に入ってるんだよ?」

センスは悪くはないかもしれない。


「これかこれかな」

次は僕のを選んでいる。1つはゴールドのシンプルなもの。もうひとつは小さい四角の中にサファイアが入ったもの。

「これって」

「私のとペアルックなもの」

ペアルックって結構嬉しい。

結局ゴールドの方もネックレスを持ってないからということで買うことになった。

美怜さんはたまに買ったりするらしい。


高校生で買えるものじゃないけどね。

そこはお金持ちだと思った。

「合計で30万になります」

「30万!?」

入るお店を間違えたのかもしれない。

けど美怜さんがいる手前やめることなんてできない。

美怜さんが来る前に下ろしていた30万。全部使うつもりはなかったけど…

「ちょうどお預借りします」

え?

「美怜さん」

「うん?」

「自分のはせめて払いますよ」

「ダメだよ。私がまさに買いたいから買ってるだけだから」

理由がかっこよすぎた。






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