第3話朝から心臓が持たないのですが?

「おはよう」

「おはようございます美怜さん。ずっとこの状態だと学校に行けないんですが…」

「行かなくてもいいんじゃない?」

「拓也社長に怒られますよ?」

「お父様は今日からドバイに出張でいないから大丈夫」

「え!?」


拓也社長がいない。さらにメイドさんが来るのは、最近美怜さんが家事もするからと朝の9時まで来ない。ということは…

「あれー?どうしたのー?顔が赤いよー?」

「だって今僕達以外…」

「誰もいないから、何でもできるね?」

「な、何でも!?」


何でもって、つまりそういうことだよね!?

いやまだ僕高校生になったばかりだよ!?


「じゃあこの状態から解放されたいなら、うん。」

「え?」

「お目覚めのキス」

「はい!?」

「早くしないと遅れるよ?」


まだ心の準備が…というか何でこんなに美怜さんは冷静なんだ!? いつもクールな感じだけどちょっとくらい恥ずかしがっても…

ええい!しちゃえ!


「よく出来ました。私の王子様」

顔を赤くして頭を撫でてくる。

「それじゃあ準備しようね」


かっこよくもありかわいくもありってズルくないですか?朝から心臓が持たないのですが?

「ぼ、僕着替えてきます!」

僕は美怜さんの部屋から飛び出して爆速で準備した。


「今日は帰りに行きたいところがあるから行こう?」

「お仕事はどうするのですか?」

「それは帰った後でもできるから大丈夫だよ」

と普通に話しているけど、普段と違う。

「君の手柔らかいね」

手を繋いで歩いている。


周りの人からの視線が生暖かい時もあれば、男の人からは何故か冷たい視線が当たる。


学校が近くなっても離さない。

「あの〜美怜さんそろそろ離した方がいいんじゃないですか?」

「気にしなくていいよあの猿も学校には来ないし、私たちが付き合ってるってこともみんな知ってるから」

「え!?」

海先輩がいない?

「何で学校に来なくなったのですか?」

「あー海外で仕事するためにだったんじゃないかな?」

「そうなんですか」

ちょっとほっとした。


「学校でもまさを呼ぶこともあるかもしれないからその時は手伝ってね?」

「はい!分かりました!」

学校でも美怜さんと一緒にいれる。

そう思うと嬉しかった。


美怜さんと別れた後、教室に着くと

「よぉー!雅也!聞いたぞ!まさか美怜さんと付き合ってたなんてな!」

「おはよう遥斗」


肩を組んでくるのは友達の紫藤遥斗。

紫藤ホールディングスの跡取りでもあり、

スポーツ万能、勉強も僕とする時以外しなくても学年2位を取ってくる天才でもある。

そんなやつが僕と仲良くしてくれるのは嬉しい。同じ部活だからというのもあるかもしれない。


「ホームルームまでゲームしようぜ!」

「いいよ」

僕があまりやってこなかったゲームを教えてくれる先輩でもある。


「そこ!攻めろ!」

「分かった!」


僕はチャイムが鳴っても先生が来ないからと来るまでやり続けてクラスの人から白い目で見られた。






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