インディゴトルマリンのトカゲ
「――ッ!?」
とっさに昂輝はうしろへ
「いってぇッ!!」
ズキズキ痛むところを手でさすっていると、またあの鋭利な刃が襲いかかってくる。慌てて真横へ避けると、それは大木を一刀両断してしまった。ぞっと背筋が寒くなる。
昂輝は鋭利な刃から徐々に視線を移していくと、その存在に目を疑った。
「…え?」
それは、猫か小型犬ぐらいの大きさをしたトカゲだった。でも、ただのトカゲではない。
(――地球外生命体!?)
見たことない生物に、昂輝は感動を覚える。しかし、すぐにわれに返った。
(いやいやいや! 感動している場合じゃない! 俺はこのトカゲみたいなのに命を狙われているんだぞ!)
そう自分に言い聞かせ、昂輝はトカゲから距離をあける。
トカゲは昂輝を警戒しているのか、グルル…とうなり声をあげていた。
「お…落ち着け…。どうどう…」
昂輝は両手をあげ、トカゲに語りかける。
「お…お腹空いてないか? ビーフジャーキー食べるか?」
「肉を乾燥させた食べ物だよ。歯ごたえあってうまいぞ〜」
昂輝は袋からビーフジャーキーを一本だして、トカゲに差しだす。しかし、トカゲはビーフジャーキーを尻尾の刃でパシッとなぎ払った。
「ナー!! ナナナナナ!!」
お気に召さなかったのか。トカゲは
昂輝はビーフジャーキーを払い落とされたショックもあるが、それ以上に衝撃を受けたのは――。
「変な鳴き声ぇぇえええッ!!」
トカゲの鳴き声だ。奇妙な鳴き声をしていたため、思わず叫んでしまった。
「…ナー」
昂輝の発言に頭にきたのか、トカゲは眼をつりあげる。相手の首を狙って刃を振りあげた。
「うおっ!!」
昂輝はしゃがんでかわすも、トカゲの攻撃は続く。
「ちょっ…!! 落ち着けって!! 変な鳴き声って言って悪かった!!」
トカゲの攻撃をなんとかかわしていた昂輝だが、うっかり足をすべらせて転んでしまう。
「――あ」
あお向けに倒れると、トカゲが胸に飛び乗ってきた。鋭利な刃が、昂輝の喉を貫く寸前――。
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