第8話 おっさん、魔法を使う
気が付いたら辺りはすっかり暗くなっていた。
一通り魔導書を読み終えたため早く魔法を使って見たい気持ちもあるが、まずは夕食をとることにする。
部屋に案内された時に渡された呼び鈴のようなものを押す。これを押すことで時間に関係なく食事を部屋まで運んでくれるらしい。
特に待つこともなく運ばれてきた夕食は、シチューのようなものとパンだった。
異世界の食事は、激マズ!ってことはなく、シチューのお肉は柔らかく煮込まれているし、パンも少し硬めのフランスパンといった感じで、予想以上に美味しかった。今後の食事も楽しみだ。
食器を外に下げて部屋にもどると、さっそく魔法を使ってみることにした。
「とりあえず、室内で発動しても問題なさそうな魔法を試してみようかな」
魔導書には、属性についてや魔法発動のためのイメージのやり方、詠唱方法などがつらつらと書かれていた。
なんとなく1人で詠唱するのは恥ずかしかったので、イメージをして無詠唱を試してみる。
豆電球の光をイメージする。手のひらの上に明るい光が1つ。
「できた!イメージしやすいように手のひらの上に出したけどどこにでも出せるのかな?数はどうだろう?」
次々と浮かぶ疑問を解消するために、どんどん魔法を使っていく。
その結果、イメージさえできればいくらでも同時に発動することができること、一度発動したものは、意識しなければ3〜5秒で消えること、ただし意識すればその間保ち続けることができること、発動場所もしっかりイメージすれば見える範囲で可能なことなど様々なことがわかった。
また、魔法を使えば使うほどMPは減るが、ある程度使うと経験値が溜まった結果、MPの最大値が100増えることがわかった。
「これは明日外で使うのが楽しみだな」
にやにやしながら、心地よい疲れを感じてベッドに入ると、あっという間に眠りに落ちた。
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