第7話 おっさん、街に着く
ゴブリンを倒した後は、特に何かと出くわすこともなく、無事立派な城壁に囲まれた町に着いた。
どうやら街に入りたい人達が、門の前に並んでいるようだ。
列はあっという間に進み、すぐに自分の番となった。
「身分証になるものは何かありますか?」
「ないです」
「それでは犯罪歴などを調べるのでこちらに手を当ててください。それから入場料は銀貨5枚ですが払えますか?」
「払えます」
「確かに銀貨5枚受け取りました。町に入ったらこの証明書を持ってどこかのギルドで身分証を発行してもらうことをお勧めします。この証明書をなくすと、身分証発行のために新たに銀貨5枚かかるので注意してください。ようこそエーゲルの街へ」
どうやらここはフンガーリア王国のエーゲルという街のようだ。
街はとても賑わっていて、あちらこちらに露店がでている。
肉の焼ける匂いや、葡萄酒の上品な香りがあちこちから流れてきて空腹を刺激する。
「すみませーん、この串焼き10本とジュース1杯ください!」
「串焼き1本銅貨3枚、ジュース1杯銅貨2枚だから合計…」
「合計銅貨32枚ですね!はい、これでお願いします」
「おう!坊主ちっこいくせに礼儀正しい上に計算もできるなんてすごいな!ほい、これはおまけ。このコップに飲み物を入れて貰えば、この街の中なら銅貨1枚割引してもらえるぜ!毎度〜」
「おおーありがとうございます!また来ますね!」
10本も買ったが、3本だけ食べて残りはアイテムボックスに突っ込むことに。
しばらく歩いたところで、冒険者ギルドの看板が現れた。
「もっとごっついイメージしてたけど意外と小綺麗な建物なんだな…」
扉を開けるとcafe & bar のような小洒落た内装になっていた。手前にcafe & bar のカウンター、奥にギルドの受付があるようだ。
「こんにちはー冒険者登録しにきたんですけど…」
とりあえず受付に行って声をかけると、奥から綺麗なお姉さんがでてきた。
「えーっと、君が登録者であってるかな?とりあえず何か身分証明になるものを提出するか、銀貨5枚で発行できます。あ、年齢は15歳以上だよね?後でちゃんと確認するからごまかすことは不可能だけど…」
「これ、門で発行してもらったものです。一応年齢は15歳だから大丈夫かと」
「はい、確かに受け取りました。そしたらこの水晶を握ってください。これにあなたの情報を登録します」
差し出された水晶を握った瞬間、水晶が温かくなった。やがて熱がおさまって手を広げてみると、綺麗な紫色になっていた。
「はい、登録完了です。この水晶玉が身分証明になるから無くさないように、この紐に通して肌身離さず持っておいてください。初心者は全員紫色です。依頼をこなしていくことで、紫、緑、青、赤、黄、無の順番にランクが上がります。便宜上、一番下のランクをE、一番上のランクをSと呼んでいます。魔力を通すことによって名前と年齢と見せたいステータスを相手に見せることが可能です。依頼は、常にボードに貼ってあるのでそれを見て受けてください。基本的にCランク以下は常時依頼のみとなっています。何か質問はありますか?」
「今のところ特にないです。関係ないことでひとつ、この辺でいい宿ってどこですか?」
「この辺なら月見亭っていう宿がギルドと連携していて安心安全低価格ですよ。その水晶玉を見せれば割引が受けられます」
そういうわけで、無事冒険者登録ができたので宿に向かうことに。
「こんにちはー今日からの連泊って可能ですか?」
「いらっしゃいませ!お部屋は空いておりますので可能です!冒険者の方なら、一泊朝夕食事付きで銀貨5枚のところ銀貨4枚になります!」
「そしたらとりあえず10日分で金貨4枚で大丈夫ですか?」
水晶玉を見せてマジックバッグからお金を取り出す。
「毎度ありがとうございます!ちょうど三階の角部屋が空いているのでそこに案内しますね!」
部屋は割と広くて綺麗だった。そしてなんと浴槽付き!
街歩きをしてこの辺の土地勘をつけようかと思ったが、まだこの世界に来てからちゃんと魔法を使っていないことに気づき、休憩がてら神様にもらった魔導書を読むことに。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます