　先ほどまでの落ち着きぶりとは違って、今のジョバンニは年相応の少年に見える。

「レンタル・メンタルって一体どういうスキルなんでしょう？」

　リーナは首を捻った。

「使っている内に分かって来たんだが、性格を借用するってことは『その人になりきれる』ってことらしい」

「「その人になりきれるって、どういうことですか？」」

「「えっ？」」

「「どうして声が揃うんですか？　きゃあ～、気持ち悪いー！」」

　リーナは耳を抑えて座り込んだ。自分と全く同じタイミングでジョバンニが同じ言葉を発したからだ。

「ごめん、ごめん。これがスキルの効果なんだ」

　ジョバンニはリーナの腕を支えて、立ち上がらせた。

　リーナはまだおどおどしていた。

「わたくしの心を読んだのでしょうか？」

「違うよ。リーナの反応（・・）を先読みしただけさ」

　レンタル・メンタルは相手の性格、思考パターンを写し取る。それにより特定の状況で相手がどう反応するかが、自分のこととして分かるのだ。読心術ではないので、何を考えているかは分からない。

「ふうん。でも、結果を見たらほとんど読心術と一緒じゃないですか」

　リーナは改めて驚いた。

「これって外れスキルなんかじゃなくて、とんでもないユニーク・スキルじゃありません？」

　ジョバンニは頭を掻いた。

「使い方次第って感じがする。何かが強くなるわけじゃないからね」

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