第四話 初めての友

「うん、ありがとう。でも、平民の僕に召使がいるのはおかしいよ。供ではなく友として同行してくれ」

「友ですか? わたくしなんかが」

「僕にはほかに友達はいないからね。リーナが初めての友達だ」

「――はい! リーナはジョバンニ様の友人として、お供いたします」

 リーナは大きな目を輝かせて、勢いよく頭を下げた。

 赤い短髪が目を引くリーナは、まだ幼さが体つきに残るものの、成長すれば美人になるだろうと想像される整った顔立ちをしていた。

「じゃあ、行こうか?」

 なぜか顔を赤くしたジョバンニを、リーナは無邪気に見返した。

「はい。どちらへ?」

「そうだな。まず南に向かおう」

 南に進めばやがて王都に至る。都に上れば仕事も探しやすいだろう。ジョバンニにはそんな考えしかまとまらなかった。

「はい! 南ですね」

 リーナはにこにことジョバンニに従って歩き始めた。

 しばらくジョバンニの後を歩いていたリーナが、ふと眉をひそめた。

「ジョバンニ様、南門に向かうなら道が違うようですが?」

 首から上だけ振り向かせたジョバンニは、落ち着いて答えた。

「ああ。南に向かう前に、寄るところがあるんだ」

「寄るところですか?」

 そうこうする内に、ジョバンニはある場所で脚を停めた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る