第三話 予期せぬ供
門を出ると、少女がジョバンニを待ち受けていた。
「リーナ、どうした?」
見れば、リーナは旅支度をしている。メイド見習いがどうしたことか。
「若様。リーナはジョバンニ様のお供をさせていただきます」
「リーナ、僕はランスフォード家を追放されたんだ。だから、お前の主人でもなくなったんだ」
「いいえ、ジョバンニ様。わたくしはランスフォード家からお暇を頂きました。只今からはジョバンニ様のメイドとしてお仕えさせていただきます」
「父上の命令かい?」
「マッシモ様のご意向もありますが、これはわたくしが望んだことです」
リーナはジョバンニと同じ十歳。ジョバンニ付きのメイドとなるべく、三年前から見習い奉公を始めていた。
「ジョバンニ様は御家を離れますが、御家としても無下に切り捨てた訳ではありません。わたくしが独り立ちのお助けをさせていただきます」
「分かったよ。右も左も分からない平民の社会で、リーナが助けてくれるならとても心強い。でも、僕にはなんの力もないから、リーナの生活を支えてあげられるかどうか……」
「ご心配要りません。内々ではありますが、奥方様から月々のお給金を送って頂ける事になっています」
「母上から……」
「はい。ですからジョバンニ様は何のご懸念もなく、リーナに供をお命じください」
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