第12話 寝室

「お部屋の準備ができました」


食堂から出てリビングのような広い部屋でアーガイル一家と俺でゆっくりしていた時、トマスが伝えにきてくれた。


トマスに着いていき、部屋を確認する。


「ひろっ!」


いくらエリート使用人でも、部屋はビジホか、せいぜいリゾートホテルぐらいの広さだろうと思っていた。


でも、眼下に広がったのはスイートルーム顔負けのめっちゃ広い部屋だ。


「お手洗いはあちらの扉で、その隣がシャワールームになります」


風呂トイレもついててしかも別って神じゃん!


あっ、、、でもバイクどこに置こう?

ここは2階の部屋だ。

エレベーターとかスロープとかそんなものはない。

さっきも階段を使って上がってきた。


「トマスさん、、バイク、魔道具どうしましょう?」

ひょっとしたら馬の厩舎とか倉庫とかがあって、そこに置かせてもらえるかもしれない。


「おや?クロエお嬢様のお部屋に置かれるのでは?」


「クロエのお部屋?隣の?」

階段あるじゃん。


「あーいえいえ、庭にある小屋ですよ。趣味のための作業場になってます」


お部屋って言うのか?まぁ貴族なりの事情があるのだろう。


「そうなんですね。そら、寝室にあんなの置くわけないですよね」


多分隣の部屋はクロエの寝室なのだろう。寝室にバイク置いて寝るとか、どんなに好きなんだよ。たまに居るけど。


「まぁ、寝室もほぼ作業場みたいなもんですけどね」


「えっ」

どんなところで寝てるのか気になってしまったが、流石に覗くのはしない。


でもこれからクロエの側付きとして働くなら、部屋に入る機会ぐらい、










あったわ。めちゃくちゃあるわ。

こりゃ屋敷の使用人はつとまらんわ。

朝起きるなりいきなり部屋に連れ込まれて、工具箱を外の小屋に運ばされた。





「そこ、風魔法か息使って火強くしておいて」

なに魔法??


わからないからとにかく釜に息を吹きかけ火を強くする。


「よし、もういいわ。今回は型に流すだけだから楽なの」

もうなんなんだろこのお嬢様。


鼻歌歌いながら熱々の鉄みたいなやつ型に流し込んでるし。めっちゃ暑いし。日光でもないのに日焼けしそうだし。


バイクは火の粉があたらないように入り口に置かれている。


昨日充てがわれた部屋でシャワーを浴びてそのまま寝たんだけど、、、朝が来るなり、クロエに扉を叩かれて起こされて、朝ごはんを急いで食べさせられて今に至るわけだ。


「あの美味しい朝ごはんが名残惜しい」

ついつい口に出てしまった。


「これからいつでも食べられるわ」

うん。毎回急かされて食べることになるのだろう。

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