第13話 デート(2)

次に彼女が行きたいと言ったのは、お化け屋敷だった。

俺は、お化けなど信じない人だが、お化け屋敷なんてものに足を運んだ事は一度もない為、少しビビっていた。

「お化け屋敷か…」

ここは、正直に伝えたほうが良いのだろうか? 何秒か悩んだ末に出した答えは…

「まぁ、俺も初めてお化け屋敷なんてものに行くんだけど…結衣が行きたいなら行こう。」

彼女の意見を尊重したのだ。

「そうなんだ⁉︎ゆーくん初めてなんだね、楽しめそう〜」

初めて知ったのか結衣は、少し驚いた表情で言葉を発した。


店員さんからこのお化け屋敷の説明やルールを聞いた。ルールと言っても簡単なものだ。物を蹴ったりしない事それだけだった。

俺達はその説明を聞き、薄暗いドアを開け出口を目指してお化け屋敷へと、入っていった。

「ねぇ、ゆーくん意外と怖いね。」

「あぁ、思ったより怖いな。」

部屋全体が暗く、目の前も見えないほど暗く、隣にいる結衣が少し怖がっている事ぐらいしかわからない。

キャー‼︎‼︎

「⁉︎」

思わず俺は、驚きビクッとなってしまった。

「もう〜怖がりだな〜」

彼女もまた、足を震えていた…俺は、流石に見逃す訳にもいかなく…

「手繋がない?」

「え!?あ、うん…」

「その方が、怖くなくなるだろお互い。」

そう言い俺達は、お化け屋敷で初めて手を繋いで歩いた。最初俺は、少し抵抗があったが、彼女の細くて優しい指に触れた瞬間、【守らないと】という気持ちと、このままずっと繋いでいたい……そんな気持ちだった。

 そして、そして…気がつけば俺と結衣は、恋人繋ぎをしてお化け屋敷を出ていた。互いの指と指を絡めながら、ギュっとほんの少しだけ力を入れて握っていた。

 今の時間は…

「12時か…」

「お昼ご飯食べない?」

「そうだな、ちょうどいい時間だし。」

俺達は、近くにあったレストランでお昼ご飯を食べる事にした。

俺が頼んだのは、遊園地のキャラ、チーちゃんハンバーガーを食べることにした。

「結衣は、何か決まったか?」

彼女はうーんと声に出して迷っていた。

「じゃあ、私は、これにしようかな。」

遊園地のキャラ、チーちゃんのパンケーキだった。

「手、繋いじゃったね。」

俺の耳元でそっと呟いてきた。

「あ、あれは…互いに怖かったから仕方なかった事で…。」

「私からすれば、やっと手を繋いでくれた〜って感じだよ〜。」

まさか…最初からそれだけを狙っていた?流石に有り得ないと思い、これ以上深く考えなかった。

「お待たせいたしました。」

頼んだ料理が届きお昼ご飯を食べる。

「いただきます。」

ハンバーガーの見た目は、とても可愛らしくチーちゃんの特徴である、片目を閉じた笑顔がバンズの上に焼き印されていた。

「美味しそうだね〜」

味は、美味しく、パテに胡椒が効いていた。

「あぁ、食べてみるか?」

「うん‼︎」

彼女は、ゆっくりと口へハンバーガーを運んだ。

「とっても美味しいねこれ。」

「そうだな。」

「口を開けて。」

彼女に言われたので、指示どうりに口を開ける…その瞬間、柔らかく、しっとりとしているパンケーキが、口の中へ入ってきた。

「⁉︎」

思ってもない出来事に俺は、一瞬驚き、体温が上昇していくのがわかった。

「美味しい?」

「凄く美味しいよこれ。」

 ちょっと、待てよ…か、かかか、間接キス…?

その事に気づき俺は、瞬間湯沸かし器のように一瞬で顔が赤くなってしまった。

「どうしたの?ゆーくん?」

 俺の顔を見て心配になったのか、彼女は優しい声で話してきた。

「い、いやなんでもない。大丈夫だ。」

 なんとか誤魔化しいているが…今にも爆発しそうなぐらい俺の心臓が、ドクンと強くて、速い鼓動だった。 

 なんやかんやあったが、昼ごはんを食べ終えまた、遊園地を歩き回っていた。


「ね、ねぇ、あのさ、あの人達みたいにしてみたいな。」

「?どれだ…って、さっきもやっただろ。」

「さっきのは、怖さを紛らわす為今やるのは、恋人として…ね。」

恋人…としてか、それもそうだな。と納得して俺と結衣はもう一度手を繋いだ。今度は、恋人として…



時間は6時とそれなりに経っていた。俺達は、ずっと手を繋いで歩いていた。

「ね、ねぇ。」

「ん?」

彼女は、繋いでいた手を離し、少しモジモジした様子で話した。

「きょ、今日は、誘ってくれてありがとう。ゆーくんと一緒にデートなんて初めてだったから、ずっとドキドキしてた。」

「あぁ、俺もずっとドキドキしていたよ。結衣が、可愛いくてもしかしたら夢なんじゃないのか…って一瞬思った。」

 俺が直接、可愛いと言ったからか、彼女の顔はどんどん赤くなっていた。

「その、これからもずっと隣でいられたらって。」

「奇遇だな、俺も同じ事を思っていた。」

「本当?じゃ、じゃあこれからもずっと、ずっと…」

一瞬言葉が止まった。

「どうした?」

心配になって声をかけたが…

「な、なんでもないの、ただ…これからも沢山の思い出作ろうね♪」

そういい、彼女は少し照れながらも笑顔で笑っていた。

その姿を見て俺は、今日誘ってよかった。と思った。

「あぁ、こちらこそよろしく。」

俺は、笑顔で彼女に言った。

こうして、俺達の関係は更に深まった……

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