第9話 イメチェン⁉︎

「おい、アイツ今日は来ねぇのかよ。」

「もしかして、学校来るの嫌になったとか?」

「マジ?」

コイツら、優也がいないからって、好き放題言いやがって…。

「ゆーくん〜?いないの?」

「あ、天乃さん。俺、優也の友達の修斗です。今日遅れてくるみたいで5限から来るみたいです。」

「そうなの?ありがとう‼︎」

 少し寂しそうな顔をして教室へと彼女は帰っていった…。

     

  〜昼休憩〜

「あの人誰⁉︎めっちゃイケメンなんだけど…声かけようかな。」

「ダメだよ…絶対彼女いるって。」

 コソコソと話してる声が聞こえる。そんなに変だろうか?心配になってきた…。

 やっぱり俺には、まだ早かっただろうか…いや、もうここまで来たんだ。今更帰れない。

    コツン、コツン

一つまた一つ歩くたびに周囲からコソコソと話声が聞こえる……あまり良い気分ではない。

   ガラガラ 

俺は自分のクラスの扉をゆっくりと開ける。

周囲の視線が一気にこちらに向く。

「誰⁉︎」

「めっちゃイケメン…あんな子いた?」

俺は、自分の席へ向かおうと思ったのだが…

一人の女子が声をかけてきた。

「ね、ねぇ…君凄くイケメンじゃん。アタシと付き合ってくれない?ほら、アタシって凄いスタイルいいし、付き合うならアタシしかいないと思うけど。」

 コイツは、急に何を言ってるんだ? 

 まさか、俺(優也)って事に気づいてないのか?

 まぁいいや、コイツの事は無視して俺は、

自分の席に向かう。

「おはよう修斗。」

俺は一人で昼飯を食べている親友の名前を呼ぶ。

「ゆ、ゆゆゆ優也?お前なのか⁇」

「う、うん優也だけど。やっぱり変?」

次の瞬間

『え〜〜⁉︎⁉︎⁉︎』

クラス全員が声を上げて驚いていた。

「い、いや変じゃないと思うけど…変わりすぎじゃね?」

「髪の毛を少し切っただけなんだけど……。」

「いやいや、それどころじゃねぇーよ。何その髪型?少しセンター分けをしつつも、短く切ったおかげで、清潔感が出てる。それに…お前の顔そんなにカッコよかったのか?」

「そ、そう?自覚ないんだけど。そろそろ俺、天乃さんの所に行ってくるね。」

俺は少し不安になりながらも彼女の教室へと少し駆け足で向かった。

「お、おう…」

変わりすぎじゃね…アイツ…。


今度は天乃さんのいる教室のドアを開けた。

「天乃さん〜」

「え、あ、え⁉︎ゆーくん?」

「う、うん。」

「ダメだよ‼︎‼︎」

「?」

 やっぱり俺には似合わないって事なのだろう…要らないことをしたな。

「そ、そうだよな、やっぱり似合わないよな…。」

「違くて‼︎ 私のゆーくんが取られちゃうじゃん‼︎」

「⁉︎」

「ぅーもうカッコよくなりすぎだよ…顔を見れないよ…」

「なんて?」

「な、なんでもないもん‼︎」

彼女は少し頬を膨らませて、ヒュイっと顔を横に向き、目線をこちらに向けてくれない。

「ごめん…でも俺も天乃さんの彼氏らしくしたくて…頑張ったんだけど。」

 数秒の間が空いてから彼女は、スゥーと息を吸ってから、もう一度俺を見ながら話した。

「私、ゆーくんに『彼氏らしく』してなんて、私言ってない。それに、急にカッコ良くなったら、私どうすれば良いのかわからないよ…」

 まさか、俺が勝手に『彼氏らしく』しないと、て思い込んで、勝手に行動しただけなのか……。

 彼女は少し落ち込んでいる。俺のせいだ。

「ごめん。俺が天乃さんとこれからも付き合うなら、このままじゃ駄目って思ったんだ。

だから、容姿だけでも変えてみようって思って…本当にごめん。

それでも、一つだけ言わせて欲しい。」

 口が勝手に動く、言葉を紡げとそんな想いが…

   ドクン、ドクン

 な、なんだ心臓の鼓動がどんどん早くなってそれに、この感情はなんだ?手放したくない、そんな感情が、いや、彼女に対する別の

 『想い』が俺の中にあるってことか?

「俺は、天乃さんの事を手放したりしない。これだけは約束する。」




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