ジェネス

「は?何言ってるの?バカ響?」 


突然出た言葉に魅里ちゃんは

声を低くして威嚇するように問い詰める



「……今回の依頼はあまりにも危険だ…だから」


「そんなの、受けたときに分かってたことでしょ!?」


魅里ちゃんの言う通りだ…

それなのに何で今さら


「…理由を聞いてもいいかな響?」


「……今回の件、ある人物が裏にいるらしいんです」


「…ある人物?」


誰だろう…そんなドラマみたいな展開なの?

例のあの人的な?


「…知ってるさ響」 


「ナナシさん…知ってたんですか?なら、分かるでしょ?」


「だからこそ何だ響…1人では動いちゃダメ…お願い」


「なら、せめて秋兎さんと行かせてください!」


「ダメだ。」


「何でですか!?」


「…あいつが関わってる件でアー君は使えない。必ず暴走する」



「それって、どうゆう…」


話しに付いていけていない私の横で魅里ちゃんが

ワナワナし始め



「いい加減にしなさい響!何をふざけたこと言ってるのよ!当事者のアタシ達置いてけぼりじゃない!」



「あ、すまん…つい」


「ついじゃないわよバカ!珍しくしんどくなるまで飲んでるから変だな?とは思ったわよ!そう!そんなことウジウジ悩んでた訳ね!情けない!」



「ぼ、僕は二人が心配で」


「心配はありがたいけど、信用してよ!一緒に危ない依頼も頑張ったじゃない!アタシのこともっと信用しなさいよ!バカ!」



「…だ、そうだよ響?お姫様をもっと信頼してもいいんじゃないかな?」


「………分かりました。」


響さんは渋々納得したようだ。


「それはそうと良く知ってたねアイツのこと」


「…昨日メリーさんに名前を聞いて…飲んでる時に秋兎さんに質問しました。」



昨日?いつの間にメリーさんと…あぁ洋服見てる時か


「なるほど…私とお出掛けしてたのに嘘付いて女と密会してたわけね…」


魅里ちゃん?

私もいたよ?そして、好意の殺意が表に出てるよ?


「それは、悪かった…どうも引っ掛かるところがあってな…調べてもらったんだよ」



「なるほど…アー君に聞いちゃったわけだ…何か言ってた?」



「いえ…軽い説明をしてくれたあとに」


『いいか?…響、そいつの気配を感じたら逃げろ…何があろうと逃げろ関わるな?ん?気配何か分かるのか?あぁ、分かるさ誰でもな』




「と、そんなことは言ってましたが…」


「なるほど…まぁ、分かるだろうねアイツが居れば」


「ナナシさんは…詳しいんですか?アイツのこと」


「裏では有名人だからね…ジェネスは」


あ、言っちゃうんだ名前…

せっかく響さん簿かしてくれてたのに



「言っちゃうんですね」


「言うだけなら…名前を知るだけなら何の問題もないからね…関わらなければ」



「そんなにヤバイの?ジェネスってやつ」


私が質問するとため息を付いて

ナナシさんは口を開いた



「ジェネスは裏社会の科学者でね…所有してる研究所で…公にできない実験を自分の好奇心のために行い副産物で生まれた売れそうな研究結果や発明は政府や企業に売り込み莫大な金を動かしてる…まぁ技術力で国を裏から牛耳るイカれ野郎だよ」




「公にできない実験…」


「急に生き物関係で突拍子の無い発表があった時はジェネスの存在を疑った方がいいレベル」



「マジですか…」


「国なんてそんなものよ…大きな得のためなら少しの犠牲はカウントしない…いつものことじゃない。」



魅里ちゃん本当に14歳?


「ねぇ響、気持ちは痛いほど分かるけどワタシの事をもう少し信用して?ワタシにだって考えはあるんだからさ」



「すみません…こんなの初めてで1人で怖じけてしまってました…」



「情けないわね響?…アタシは大丈夫よ、もっと信頼してよね…バカ」



この子は将来有望だなと魅里ちゃんを

見ながら思いつつ


「そうですよ、信用してください」


私も乗っかった


「二人とも…ありがとう」


響さんまだ、少し不安そうだが

先程より吹っ切れた笑顔になり


「んじゃ準備するか。作戦は決まってるから説明するな?」


こちらを笑顔で見た

やっぱり…



「あんたは笑顔が一番よ響」


優しい笑顔で響さんを見る魅里ちゃんを

見て私も満足していた



「おはよ~…深花起床」ネムネム


所に猫背で髪ボサボサの深花ちゃんが

ログインしてきた 


「おそようございます!」

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