突拍子の無いこと

そして依頼当日の朝が訪れた。


「ちょっと飲みすぎたな…」


リビングに行くとそこには

水を飲みながら少し元気が無い響さんが

ソファに座っていた。


「あれ?セツナちゃん早いね?」


「早いですか?」


「まだ、6時だからね…」


私は時計を確認する

おぉ…確かに気持ちが先走りすぎてた


「セツナちゃん部屋に時計無いの?」


「そういえば無いですね時計」


「時計は大事だよ?意識して時間を刻むのとただ過ぎていく時間は違うからね?」



「確かにそうですね…」


最近私にも分かるようになってきた

前は無意味に過ぎていた時間だけど

今は意味があるって…一分一秒が大切なんだって


「うお~…飲みすぎた」


せっかく自分の成長?を噛み締めてるときに

例のフードの男がリビングにやってきた



「秋兎さん、おはようございます…昨日はなかなか飲みましたね?」



「おはよう響…そうだな、久々にあんなに飲んだわ…」


「二人は一緒に飲んでたんですか?」


「うん。昨日はタマミさん休みだったみたいでね、ご厚意で三人仲良く飲んでたんだ」



「ゴンさん強いんだもんな…死ぬかと思った」


「何か羨ましい」


「お前も成人したら一緒に飲んだらいいさ…でもそれだと魅里が…まぁ魅里はジュースでも飲ませりゃいいか」



「子供扱いはやめてください秋兎さん」


「あら、おはよう早いな魅里?」


「おはようございます秋兎さん…そして永眠してください」


「相変わらず手厳しいな…」


「響も今日仕事なのにお酒臭い…なめてるの?」


おこな魅里ちゃん…

これはこれでありね


「大丈夫、ちゃんとセーブしたから仕事までにはちゃんと抜けてるよ」



「ふん…まぁ響はそうゆうのちゃんとしてるものね」


「うお~…しんど」


「秋兎さんとは大違い…秋兎さん!一番年上なんだからしっかりしてください!」



「え?」


今、魅里ちゃん何て言った?

一番年上?…これが?


「おいこらセツナ…そんな目で見るな…流石の俺も悲しくなるぞ?」



「なら、もうちょっとしっかりしたら?」 


「こりゃ手厳しい…」


そんな賑やかな朝はあっという間に過ぎていき

朝御飯を食べた私達

野暮用があると出ていった秋兎を見送って

ようやく起きてきたナナシさんにコーヒーを

出して少し落ち着いていた私達の沈黙を破ったのは

響さんだった



「なぁ…ナナシさん」 


「何かな響?」


「この仕事…」


真剣なトーンで口を開き

私達を一瞥した後ナナシさんの方を向き



「この仕事、僕だけで行くのはダメかな?」


突拍子の無いことを響さんは口にした



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