道具

そうだ…確かにそうだ

言われてみれば警察に出すのが普通だ

私達はあくまでも何でも屋の様なもの

正直、私なら依頼なんかしない。

真っ先に警察署に行って手続きをする。




「…そ、それは…と、遠いのよ警察署!」


「でも、交番でもいいよね?交番なら近くにあるよ?」


どうしたの深花ちゃん?

さっきまでのポワポワ消えてるよ?

名探偵だよ?


「そ、そんなの私の勝手でしょ!?いいからネコタロを私に渡しなさいよ!?」



「渡さないよ…だって酷いことするんでしょ?」


「な、なにを言って…」


「ネコタロの体を見た…リボンの下アザが一杯…いったい何回蹴飛ばしたの?」



「蹴飛ばしてなんかないわ!?なに言ってるの!?」


私は深花ちゃんが言った場所

かわいいリボンを外して見た

綺麗な毛並みに隠れてるけど皮膚が紫になっている

顎の下から前足のつけ根当にかけて…

嫌でも理解したこいつはアレと同じだ



「あなた、最低ね」


私は軽蔑しかこもってない目で飼い主…いや

女を見た



「…もういいわよ…返してくれないなら無理やりにでも」


そう言うと女は折り畳みナイフを取り出し


「そ、そこまでするの!?」


「…ねぇ偽者さんにとってネコタロは何なのかな?」


深花ちゃんは静かに女を見ながら質問した


「ストレス発散の道具!着せかえしてもよし!男を釣るもよし!蹴りあげてもよし!少量の残飯と水で動く、私のおもちゃ!それなのに逃げ出した!私のなのに!所有物なのに!私が買ったのに!!!」




ペットを家族じゃなくて完全に道具としてみてる

命を何だと思ってるの?

この子はそんなエゴのために産まれてきたんじゃ

無いんだよ?

この子の幸せは…どこにあるの?



「セツナちゃん、ここにいてね?」


そう言うと深花ちゃんはゆっくりと女の方に

足を進める


「待って!危ないよ深花ちゃん!」


私の力で吹き飛ばせば…切られに行けば出るかな?

私は深花ちゃんの言うことを無視して動こうとする



「ストップ!セツナちゃん!」


すぐさま、少し怒鳴るように深花ちゃんは

声をあげる


「ここは深花に任せて?」


ニッコリとでも怒ったように笑い

とうとう女のナイフが届く距離に



「あ、あんた?バカなの?なに近づいて来てるのよ!?本当に刺すわよ?」



「やってみたらいいよ?」


「…刺せないと思ってるでしょ?」


「うん。あなたは臆病者の弱虫さんだから」


すごい挑発…別人じゃん


「ふざけんな!」


とうとうぶちギレたらしい女が

ナイフをまっすぐ深花ちゃんに突き立てようとする


「深花ちゃん!」


それを深花ちゃんは左にステップでかわし

ナイフを持っていた右手を掴んだ

瞬間だった



女の手首から上が干からびたのは

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