大切な家族

Dr.ドリトルのような展開に正直

ワクワクと不安があるけど

すごく自信満々の深花ちゃんは

とんかつ君に話し掛けていた



「ねぇ、とんかつ」


「ぶぴ?」


すごい不思議そうに首をかしげている

何だこの組み合わせ、かわいい


「首にね、大きなリボンを付けた猫さんが何処に居るのか分からないんだって…なにか知らない?」




んな無茶な…

深花ちゃん、もし知ってたとしても

どうやって理解するの?

それこそDr.ドリトルの世界だよ?



「ぶぴぃ~…」


ほら、分かんないけど凄く顔が険しいよ

悩んでるよ?

大丈夫?動物虐待じゃない?


「ぶぴ!」


どうしたの?とんかつ君?

出口の方に向かって…も、もしかして


「案内してくれるの、とんかつ君!?」


かしこ!?

秋兎よりかしこい!


「あ、あの…」


「ん?あぁ、とんかつ何か思い出したんだろ?先生には俺から言っとくから追いかけな?」



ジョッシュ君…頼れる



こうして、私達はとんかつ君の後ろを家来のように

着いていった。



「ずいぶん、人気の無い所に来たね…」


「そうだねセツナちゃん…まぁ、距離はたいしたことないから、とんかつの行動範囲内だよ」



とんかつ君えらいな自分で散歩してるのか…

確かにメリーさんの事務所から200m位しか

移動はしてないけど、この小さな体で



「お前は偉いな…とんかつ君」


「ん?セツナちゃん、あれ!」


私がとんかつ君を賛美していると

深花ちゃんが木の下を指差し…って!?


「ネコタロ!?」


ネコタロとおぼしき猫が

すこしぐったりして木の下で寝ていた



「大丈夫、ネコタロ君!?」


私は急いでかけより

体をゆっくり抱き上げる

…よかった息はしてるし少し弱ってるだけみたい…

早く動物病院に!



「ネコタロ?」


私が色々考えていると後ろから女性の声がし


「ネコタロ!?あぁ!よかった!ネコタロ!」


「あ、あの…どちら様ですか?」


「…あぁ、ごめんなさい?私はネコタロの飼い主です」


あぁ、飼い主さん…ってことは依頼してきた人だよね?

よかった、なら早く引き渡して病院に連れていって貰わなきゃ!



「あの!」


「待ってセツナちゃん。」


私が飼い主さんの方へ駆け出していこうとすると

いつもより明らかに低い声で深花ちゃんは

私を止めた



「渡しちゃダメ」


「何で?飼い主さんだよ?」


「そうですよ!ほら、早くネコタロを!」


「ん~…深花、あなた嫌い」


「「は?」」


好き嫌い?


「し、深花ちゃん?好き嫌いで決めちゃダメだよ?」


「分かってる…でもねセツナちゃん、深花やっと分かったの…お兄ちゃんやメリーさんが言ってたこと」



「きな臭いとか、胡散臭いってやつ?それってどうゆう…」


「深花、何でかなって一生懸命考えた…それで今、違和感に気付いた」



「何を訳の分からないこと言ってるの!?いいから早く渡して大切な家族なのよ!?」


「そう…飼い主さんは取り乱すくらいネコタロをそばに置きたい、今すぐにでも取り戻したい」



「当たり前でしょ!?大切な家族なんだから!?」


「じゃあ、そんなに大切な家族なのにどうして…」


深花ちゃんは凄く冷たい目を飼い主さんの方へ向け

私が気にしてなかった当たり前のことを言った




「警察じゃなくてうちに依頼書を出したのかな?」

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