とんかつ
翌朝、私達は軽く朝御飯を済ませると
ナナシさんに軽く挨拶をし
タマさんからの投げキッスを弾いて
外に出た。
「さて…どこを探そうか?」
ここら辺の地理はいまいちよく分からないから
深花ちゃんを頼りたいけど…大丈夫かな?
「深花に任せて!猫は深花が見つける!」
「…き、期待してる」
すごく笑顔の深花ちゃんに私は
何も言えずに作り笑顔で返す。
ちなみに昨日秋兎に一緒に行かないか
と聞いたのだが
『胡散臭いからパス』
だ、そうだ。
猫探しのどこが胡散臭いのだろう?
「よっしゃ!見つけるよ!」
そう言って深花ちゃんは
依頼書と一緒にもらった写真とにらめっこ
している。
「首に大きなリボン…すごくメルヘン!」
あなたが言うの?と突っ込みを入れそうに
なったが長くなりそうなのでスルー
「でも、猫なんてどこを探せば…」
「そうだよね…ん~…仕方ないあの子に聞いてみよう!」
「当てでもあるの?」
「まっかせて!」
「……………………………わかった!」
「凄く溜めたね?」
「凄く気のせいだよ?」
「ならば良し!」
騙せた。チョロい、かわいい
って訳で当てがあるらしい深花ちゃんに
ついていくことにした。
すこし心配だけど何だかんだ先輩だし…
大丈夫でしょ!
決して、あれ?ここ、昨日のラブホに向かって
ない?
とか、またメリーさんだよりなの?
とか思ってないよ?
でも、深花ちゃん?明らかに見たことある
ルートだよ?知ってる外壁だよ?
大丈夫?もう他の人頼るの?
まず、頑張らないの?
「ね、ねぇ、深花ちゃん?」
「どうしたのセツナちゃん?」
「メリーさんとこ行くの?」
「よく分かったね!」
合ってた…
「いきなり、人に頼るのはどうかと…」
「でもね、セツナちゃん、飼い主さんはすごく心配してるはずだよ?だったらプライドとか色々捨てて頼れるものは頼るのが一番なんだよ?」
「な、なるほど」
すごくまともに返された…
「さてと…」
なんやかんや着いてしまった昨日のドアの前
コンコンと可愛らしいノックのあとに
ジョッシュ君の声が聞こえ
「はいはい、開けますよ…あら、深花さんどうしました?」
「えっとね」
相変わらずかわ…カッコいいジョッシュ君
が不思議そうに深花ちゃんを見ている
…私も見てほしい
そんな邪なことを考えてる私の横で
すこし考えた深花ちゃんが口を開く
「えっとね、とんかついる?」
…なに?ジョッシュ君食事に誘いに来たの?
狙ってるの?
「いますよ?」
…はぁ~…そうですかジョッシュ君
着いていくんですか。
食べ盛りですもんね!深花ちゃんかわいいもんね!
…危ない危ない…何か出そうだった
私が殺意の波動を抑えていると
ジョッシュ君は一回中へ戻り
何かをつれて…ん?
「ジョッシュ君…その子は?」
「はい!ミニブタの【とんかつ】君です!」
ジョッシュ君はキメ顔でそう言った
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