当たり前じゃない

「ゆっくり寝すぎた…」


怪しいお店の裏側で暮らし初めて

初めての夜


「時間分からないけど、すっごく寝た気がする」


多分、人生で一番寝た

赤ちゃんの時を除けばね


「……どうしよう。」


怒られるかしら?

住まわせてもらった挙げ句

こんな時間まで寝て、朝ごはんも作らないなんて


どうしよう…どうしよう…


謝らなきゃ謝らなきゃ謝らなきゃ


「謝らなきゃ…」


私は身支度を急いで終わらせると

リビングに向かった。



「お、早かったな?」


そこにはエプロン姿の秋兎と


「…早く座りなさい。」


既に食事をしている

彼女が座っていた。


「は、はい…ごめんなさい」


私が色々含めて頭を下げた


「いいから座りな?」


そう言われて私が席に着くと秋兎は

私の前に味噌汁、焼き鮭、白ご飯、お茶

を置いてくれた



「ザ・朝ごはん…」


「何なら納豆もあるぞ?俺は要らんが」


「私も要らないわ」


すごいわ…起きたら朝ごはんが出てきた。

しかも目の前にまで運んでくれた

当たり前なの?…いや、でも


「当たり前じゃないわよ。」


そう言うと彼女はこちらをまっすぐ見つめて


「だから、感謝しなさい。」


「お前が言うなナナシ。」


「私はやりたくないだけ。」


「はいはい。」


「朝ごはんが終わったら買い物でもしてきたら良いわ。お金は給料から引いておくから」



「あ、ありがとうございます…」


「うん。」


そう言うとナナシさんは

味噌汁をすすった。


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